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第30回千葉県地方自治研究集会

「住民のためのいい仕事」のあり方を

熱心に語る

第30回千葉県地方自治研究集会を開催

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 千葉県本部は、7月5日(土)に「第30回千葉県地方自治研究集会」を、千葉商工会議所第1ホール、千葉県教育会館、自治体福祉センターを会場に開催し、20単組・県本部121名、未加盟単組や住民団体、個人、議員など全体で153名が参加しました。

 千葉県自治研集会は、午前が全体集会、午後からは5分科会・1講座が開催されました。全体会の冒頭、斉藤県本部委員長は主催者あいさつで「憲法尊重擁護義務が、憲法第99条に規定されていることを確認した上で、住民のためのいい仕事をしたい、そのために地方自治研究の活動に力を入れよう」と訴えました。 

「持続可能な地域づくりを」 ―記念講演、岡田知弘先生が熱く語る

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 記念講演は、岡田 知弘氏(京都大学大学院教授)が、「憲法と地方自治をいかし、住民のくらしといのちを守る自治体づくりを」と題して行いました。先生は、第2次安倍内閣がめざす国のかたち、「アベノミクス」のねらいを、「戦争ができる普通の国」づくり、多国籍企業のための「国のかたち」であるとし、「デフレ」の原因は賃下げ・社会保障給付削減と海外生産品の逆輸入による物価低落と指摘しました。続いてTPPが暮らし、地域経済、国民主権・国家主権も破壊するということ、道州制や地方制度調査会など地方制度改革をめぐる動向とその矛盾を指摘。これに対抗するかたちでの各地の実践を紹介しながら、「自然と共生し一人ひとりの人生を大切にした持続可能な地域・日本をつくることが重要」と強調されました。

 

すすまない復興に被災者は「我慢の限界」

特別報告、岩手自治労連の渡辺書記長が現地の「今」を報告

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 続いて特別報告として、岩手自治労連の書記長である渡辺さんから「『3.11東日本大震災・津波』から3年…現状と課題について~地域住民のライフラインとして~」と題して報告いただきました。現状を写真で確認した後、あらためて被害状況を確認し、住民懇談会などをとおして明らかになった被災者の実態が報告されました。住宅の確保が最も切実な課題であるものの土地・資材・大工の不足で着工までに時間がかかる上に建築単価も高騰。またJR山田線・大船渡線は、黒字のJR東日本が復旧は地元負担でとしている一方で、三陸鉄道が全線開通していることなどなど…。さらに派遣職員など3名の犠牲者にもふれながら、「職員の保健室」を例に「復興の担い手を守れ」=地域と住民のライフライン、すべての職員を守り、住民とともに歩む震災復興にとりくんでいることが様々な「想い」を込めながらの語りが印象的でした。全体会は、實川自治研事務局長の基調報告の後閉じました。

 午後は、5分科会と、1講座が、開催されました。

第1分科会「社会保障の原点を学び、今を考える」(8名参加)

 自治労連自治労連の田川中執(憲法政策局長)を講師に、「社会保障制度をめぐる歴史と現在を学ぶ」と題して、憲法の基礎理念を学び、今の日本社会の実態を再確認するとともに社会保障の歴史を振り返り、本来あるべき姿=社会保障の基本的な考え方をまず押さえた上で、制度を執行する自治体職員と住民との「対立」を生んでいる原因がどこにあるのかについて確認し、それぞれの「対立」の悩み=身近な話を出し合い交流しました。

第2分科会「看護労働の改善、自治体病院の役割と地域医療、予防医療を考える」(24名参加)

 まず「医療・介護総合推進法」と県内自治体病院への影響などを学び、その上で、看護職員の労働実態、長時間夜間労働の実態アンケート結果と改善の課題について意見交換しながら交流を深めました。

第3分科会:シンポジウム「子どもの耀き、子育ての喜び、いま必要なこと」(38名参加)

 子ども子育て支援新制度について、日本福祉大学の中村先生を講師に、その背景から制度の概要や問題点をあらためて学び、その上でシンポジウムを行いました。シンポジウムでは、学童保育や無認可保育所の話題まで扱い、この新制度によりどのような影響が予測されるのか、その問題や課題について交流し理解を深めました。

第4分科会:地域に元気を呼ぶ交流集会「県内の地域活性化のとりくみから学ぶ」(31名参加)

 午前の記念講演に続き岡田先生にコーディネーターをお願いし、先生からの問題提起の後、いすみ市からは移住・定住のとりくみ、南房総市からは間伐材を活用した施設園芸のエネルギー転換のとりくみ、勝浦市からは「ビッグひな祭り」など行政と市民が一体となった地域活性化のとりくみの報告。

 フロアーからは、浦安市の震災後のとりくみ(「浦安絆の森」)、山武市の山武杉を活用したとりくみの発言がありました。この後質疑応答の後、再び岡田先生からグローバル競争に左右されない個性あふれる地域経済・社会の再構築と自治体の役割について先進事例を含め講演いただき、地域づくりの方向性をお互いに確認しました。

第5分科会:現業評議会職種別交流集会「現業の仕事と職場を守る提案型の運動を」(26名参加)

 八千代現評から「清掃業務の新たな提案ととりくみ」、船橋現評から「ふれあい収集の提案ととりくみ」、松戸現業労組から「調理員の定数化と採用のとりくみ」、野田現評から「用務の定期的な交流と要求の抽出・提案・交渉」についてそれぞれ報告がありました。その後、二つの分散会に分かれ、第1分散会では「私たちの仕事は決められたこと以外に付加価値をつけた作業をしなければならない」、第2分散会では「職種を守るのか職場を守るのかのバランスを考えていかなければならない」というテーマで議論し、全体会で今回の集会を新たなスタートに提案を実践していくことを意志統一しました。

 

地方自治講座「憲法・地方自治を活かした自治体・地域づくり」(11名参加)

 自治労連の久保中執を講師に「憲法と地方自治をいかした自治体・地域づくり」と題して道州制から公務公共サービスの民間委託事例まで幅広く講演をいただき、八千代市の財政分析や船橋市の「市民と職員の学習フォーラムのとりくみ」の報告を交え「住民のためのいい仕事」について語り交流しました。

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