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「不安だらけのマイナンバー制度 自治体のあり方が問われる」学習会を開催

  5月30日(土)、自治労連会館にてマイナンバー制度学習会「不安だらけのマイナンバー制度 自治体のあり方が問われる」を、12地方組織、1県事務所、共同する団体等からの総勢65名の参加で開催しました。

 開会にあたり、福島功副委員長から「10月から個人・法人に番号が通知され、来年1月から利用が開始されるが、制度がスタートする前から預金口座や健康診断とのリンクを図るための改正案が出され、2020年までには医療情報とのセットの動きもある。税と社会保障共通番号が、すでに官民の共通番号として導入されている韓国やアメリカのような状況が起きることが懸念される。某シンクタンクが民間企業10720社に対して行った4月時点の準備状況調査によると、62%がなにもしていないと回答しており、同様に番号通知を行う自治体の取り組みも遅れている。今日は①制度の概要と問題点を学ぶ ②自治体職場の状況や問題点や課題を明らかにする ③制度導入による影響や課題を明らかにする ④自治労連としての当面するたたかいの課題を明らかにする。以上4点の目的で行う。現場のみなさんからの4つの特別報告や質疑応答を通じて深めていただきたい。」と挨拶がありました。

image003 続いて「マイナンバー制度の問題点」と題して、坂本団(まどか)弁護士(日本弁護士連合会情報問題対策委員会委員長)から講演をいただきました。はじめに制度の概要と地方公共団体の位置付けや問題点を指摘いただき、続いてマイナンバー制度が持つプライバシーへの重大な脅威や、何のために導入されるのか、地方公共団体にとってはどうなのか、当面の課題としてどう対応していくのかなどについて、制度の持つ問題点等を地方公共団体との関係にひきつけてお話いただきました。

 特別報告では、東京、大阪、京都、神奈川の4人から、マイナンバー制度実施に向けた各自治体の進捗状況や、労働組合としての取り組みなどが報告されました。

 東京からは、東京自治労連の内村副委員長が昨年の11月から東京自治労連が行なってきた交流会議の取り組みについて紹介し、各区・各市において現状を把握し共有化をしていくことを目的に、2014年11月の第1回から2015年5月の第7回まで交流会を重ね、当局に対する解明要求やパブコメへの対応、機関紙での情報発信、弁護団見解づくりの様子などが語られ、住基カードでの住民票等のコンビニ交付の問題点についての指摘、マイナンバーカードの発行手数料が無料との宣伝がされているが、つくらない取り組みが大切ではないかとの問題提起がありました。

 大阪からは、吹田市職労から大阪での取り組みについて紹介し、大阪自治体問題研究所を中心に自由法曹団や大阪労連、大商連、全厚生、大阪自治労連など12団体で構成する「共通番号制反対連絡会」で学習会を重ねていること。1月に開催された自治労連税務部会を中心とした「地方税全国研究交流集会」の分科会でマイナンバー制度の講演と学習交流を行った事などが報告されました。

 京都からは、京都市職労から京都市の検討状況について紹介し、マイナンバー制度実施に当たり、共通プラットフォームへの接続のためにシステムの改修が必要になるが、京都市の電算システムが独自システムのために、マイナンバー制度問題とは別に5年計画でシステム改修をしている最中で、二つのシステム改修のために国の示すスケジュール通りにすすんでいない状況などが報告され、学習会から運動につなげる取り組みをすすめていきたいとの決意が語られました。

 神奈川からは、横浜市従から「管理する側、される側ふたつの立場にたたされて」と題して報告し、横浜市が制度実施にむけて準備を進める中で、カード発行や準備に向けた人員が配置されていない問題や、マイナンバーを使用することによる業務の「効率化」によって人員削減が狙われていることなどが明らかになってきた。この間、単組としてマイナンバー問題を重要な課題として総務局に申し入れを行い、カード発行業務や準備段階の諸課題、職員・嘱託などの個人番号の使用について具体的に明らかにさせながら随時交渉課題とさせてきたことなどが語られ、マイナンバー制度に関わる質疑応答などが紹介されました。

 学習会の最後に、國貞中執から自治労連としての当面するたたかいについての提起がされ、参加者全体で提起された当面のたたかいについて確認し、学習会を閉じました。