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第142湯 原生林と露天風呂、グルメと歴史体験の米沢へ

悠湯 旅情2012年8月号 Vol.465

吾妻連峰北側1300メートルの秘湯 姥湯(うばゆ)温泉 山形県米沢市

原生林と露天風呂、グルメと歴史体験の米沢へ

 福島県から山形県に入り、国道13号線から山道を14キロ走ると、行き止まりの先、地獄谷の景色の下に一軒宿の姥湯温泉があります。名の由来は、室町時代、鉱脈を求め山中を歩く鉱山師が山姥(やまんば)の入っている湯を発見したとされます。  泉質は単純酸性硫黄泉、PH値2.5の殺菌力抜群で皮膚病などに抜群の美肌温泉。噴き出す6カ所の湯口のうち使っているのはひとつだけ、あとは川に流しているという豊富な湯量です。源泉は51度で加水・加温・循環なしの源泉100%完全掛け流し温泉です。混浴(女性時間帯有)・女性専用露天風呂・内風呂がそろい、女性もいつでも大自然を満喫できます。立ち寄り湯客が多いので、宿泊がおすすめです。  ブナ・コメ栂(つが)・ダケカンバの原生林が見事で、秋の紅葉は絶景だそうです。さらに自然に触れるには、姥湯から高山植物を見ながら45分で露天風呂から見上げる薬師森山頂に着きます。さらに百名山の飯豊山(いいでさん)・吾妻山(あづまやま)など山登りとセットでも楽しいでしょう。  料理は山菜・山形牛・米沢鯉などを中心に工夫され、料金も1万4000円以内とお手頃です。営業は4月27日〜11月5日で冬季は休業なので要注意。  米沢八湯のひとつで、近くの滑川(なめかわ)・五色とともに吾妻山温泉とも言われ、名湯を競っています。八湯のなかでも白布・新高湯・小野川温泉など「通」にはこたえられない温泉群です。  米沢市は、上杉家が15万石に削られながらも明治維新まで続いた城下町です。上杉家廟所には、川中島の戦いの謙信、直江兼続とともに家康に対決した景勝、天下の名君とされる鷹山などの廟が並び、上杉ファンには魅力です。上杉神社には鷹山の「為せば成る、為さねば成らぬ何事も、成らぬは人の為さぬなりけり」と刻まれた銅像もあります。山形県出身の作家・藤沢周平は県内の出来事を歴史小説に多数書いていますが、『密謀』の直江と景勝、遺作となった『漆の実のみのる国』の鷹山など読んで出かけるのもいいでしょう。  グルメでは米沢牛が有名で、1800円の米沢牛丼は贅沢な味です。飯豊連峰を挟んだ、喜多方ラーメンの向こうを張った米沢ラーメンは、市内に130軒もの店があります。

▲上杉家廟所。四角の宝形造りが鷹山の墓。ケヤキの社造りから杉材も使われ質素が御廟にも

▲源泉の噴き出す地獄斜面の下に掛け流しの露天風呂

 


温泉メモ

【姥湯温泉桝形屋(ますがたや)】

所在地/
〒986−0766
山形県米沢市大沢姥湯1
電話/
090−7797−5938
(冬季は0238−35−2633)
交通/
東北自動車道「福島飯坂IC」から約60分 
JR奥羽本線峠駅(送迎有・要予約)
HP/
http://www.ubayuonsen.com/

▲木々に囲まれた一軒宿