日本列島 おどろき・おもしろミュージアム2013年7月号 Vol.476

青森県青森市 棟方志功(むなかたしこう)記念館

板の命を彫り出した世界の「板画家」

『弁財天妃の柵』『ニ菩薩釈迦十大弟子』などダイナミックな造形で世界に名を轟かせた版画家・棟方志功。「板の命を彫り出す」と、自らの作品を「板画」と称し、木版の特徴を生かした作品を作り続けました。
棟方志功は1903(明治36)年、青森市で鍛冶屋を営む家の三男として生まれました。幼い頃に囲炉裏の煤で目を病み、弱視というハンディがありましたが、周囲から「絵馬鹿」と呼ばれるほど絵を描くのが好きな子どもでした。18歳の頃、友人宅で文芸誌『白樺』の挿絵に使われていたゴッホの『ひまわり』に出会い、画家を志し、21歳で上京。1928年、第9回帝展で油絵『雑園』が入選した頃、版画家・平塚運一と出会い、版画の道に入ります。
1939年に大作『ニ菩薩釈迦十大弟子』を制作してから3年後に発行した論集で「今後は『版画』という文字を使わず『板画』とする」と宣言しました。ブラジルの第3回サンパウロ・ビエンナーレ版画部門最高賞など、世界各国でも高い評価を受け、1970年には文化勲章を受賞します。1975年、東京都で永眠、72歳でした。
「棟方志功記念館」は志功が亡くなった同年に開館。建物は校倉造りを模し、庭園と池、噴水が美しく、落ち着いた佇まいを感じさせます。年4回の展示替えを行い、板画のほか、繊細な表現を見せる倭画(肉筆画)、ゴッホに憧憬した油絵、書など幅広く紹介しています。しかし、記念館としては決して大きくありません。展示室は「一点一点をじっくり見て欲しい」という志功の希望により、広さが決められました。
ゴッホに憧れ、青森から上京した青年は「世界の棟方」としてその名を広げました。板スレスレに顔を近づけ、何かにとりつかれたように一心不乱に命を彫り込んだ板画は、今も多くの人の心を動かし続けています。

▲校倉造りの棟方志功記念館

▲藤棚や小さな渡り橋もあり、四季の彩りが美しい記念館前の庭園



ミュージアムメモ
所在地/ 〒030−0813 青森県青森市松原2−1−2
電話/ 017−777−4567
交通/ JR青森駅より市営バス「横内環状−青森駅」「中筒井経由昭和大仏」乗車で約15分「棟方志功記念館通り」下車徒歩4分
開館時間/ 午前9時30分〜午後5時
休館日/ 月曜・年末
観覧料/ 一般500円、大学生300円、高校生200円、小・中学生は無料、20人以上は団体割引あり