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第113館 よみがえった幻の城…戦国のロマン

日本列島 おどろき・おもしろミュージアム2011年7月号 Vol.452

滋賀県近江八幡市 滋賀県立安土城考古博物館
安土城天主「信長の館」

よみがえった幻の城…戦国のロマン

 旧安土町。町長・町議会のリコール、出直し町長選と住民が3度も近江八幡市との合併に反対の意志を示したにもかかわらず総務省が「停止は不可能」とし、昨年3月合併が強行されました。しかし、さすが信長ゆかりの地。住民はまだまだあきらめてはいません。安土町の復活をめざす「安土を取り戻そう」の看板がまちのあちこちに。
 考古博物館では弥生時代の農耕集落である湖南遺跡、近江の古墳時代の始まりを示す瓢箪山(ひょうたんやま)古墳を中心としたテーマ、完成された中世城郭の観音寺城跡、近世城郭の幕開けである安土城跡と織田信長を中心としたテーマが展示されています。
 圧巻は、信長館の「安土城天主(守)」です。1992年スペイン・セビリア万国博覧会で日本館のメイン展示として復元され、万博終了後安土町が譲り受け移築。発掘された瓦を元に再現した庇屋根、天人の飛ぶ様を描いた天井などが新たに加えられました。
 1579(天正7)年、信長の命によって建築された安土城は、日本最初の天守閣を備えた城でした。また世界初の木造の高層建築で、高さは46メートルもあったそうです。しかし、1582年の本能寺の変から半月、築城からわずか3年で焼失し、長い間、その外観、構造は解明されず、謎の名城とされてきました。近年になり加賀藩のお抱え大工に伝わる「天守指図」が発見され、史料や遺跡の発掘・実測調査などの結果、安土城のものであることが分かり、復元の手掛かりとなりました。
 天主5階は仏教の世界観による理想郷を象徴し、宇宙空間を表す八角形で、金箔の壁と釈迦説法図のふすま絵、総朱塗りの床と絢爛豪華なつくりで、激しい信長のイメージそのものの鮮やかな朱色に圧倒されます。
 昨今の歴史・城ブームに加え、NHK大河ドラマ『江〜姫たちの戦国』の影響もあり、若いカップルから年配層まで多くの訪問者が戦国のロマンに思いをはせています。

▲考古博物館は信長好みのセミナリヨ風。ドーム部分は吹き抜けになっています

▲「安土城天主」は観覧用の階段で間近で見学できます

ミュージアムメモ
通常料金/ 近江風土記の丘 滋賀県立安土城考古博物館:
大人400円・高大生250円・小中学生無料
安土城天主信長の館:
大人500円、学生300円、小人150円
※博物館・信長の館共通券/大人720円、学生400円
開館時間/ 午前9時から午後5時まで
休館日/ 月曜日(月曜日が祝日・休日の場合は翌日)、年末年始
交通/ JRびわこ線安土駅下車、徒歩25分、レンタサイクル9分、名神竜王インターより20分