日本列島 おどろき・おもしろミュージアム2012年3月号 Vol.460

山口市湯田温泉 中原中也(なかはらちゅうや)記念館

湯田温泉に生まれた昭和の叙情詩人

 「汚れつちまつた悲しみに」「サーカス」など、近代文学を代表する叙情詩人・中原中也。  1907(明治40)年、山口県湯田温泉に広い敷地を持つ医院の長男として生まれ、「中原中也記念館」はその生家跡の一部に1994(平成6)年に開館しました。湯田温泉駅から徒歩10分程度、足湯や温泉宿に囲まれた、2階建ての白い立派な記念館です。  1階の常設展示室では、中也の生涯と業績を時代を追ってパネルで紹介しています。小学校高学年より雑誌や新聞の歌壇に投稿を始めた中也は、次第に文学にふけり中学3年で落第。転校のため京都へ、そして1925(大正14)年、18歳の時に上京し、その間に詩人の高橋新吉、小林秀雄、大岡昇平などと出会い、中也は詩人としての道を歩み始めます。  1階と2階をつないでいる「中也記念室」は木製の階段・本棚・ベンチで広く落ち着いた空間、中也の詩集を手にとって読むことができます。さらに中庭を開放し、四季に応じた中也の詩を屋外展示しています。2階は資料検索室やビデオ放映室、数カ月サイクルの企画展示室などがあり、充実しています。  1934(昭和9)年、第一詩集『山羊の歌』を出版した中也は、2年後の1936(昭和11)年、フランス詩の翻訳も手がけ、訳詩集『ランボオ詩集』を出版します。しかし同年に長男・文也が2歳で病死したことに痛手を受け療養所に入院、1937(昭和12)年、鎌倉で30歳の短い生涯を閉じます。  生前、ふるさとである湯田温泉へ帰ることを夢見ながらまとめていた第二詩集『在りし日の歌』は、中也の亡くなった翌年、小林秀雄によって出版されました。人生を詩に捧げましたが、生前は充分な評価を得ることのないまま、志半ばで亡くなった中也。残された詩の数は350を超えます。もっと生きることができたなら、さらなる名詩を残せたであろう才能が忍ばれます。

▲大きなガラス窓や吹抜で、自然の光を感じられる記念館。1998年には公共建築百選に選ばれました

▲玄関を入るとソフト帽をかぶった中也の写真。18歳の頃です

 


ミュージアムメモ
所在地/ 山口県山口市湯田温泉1-11-21
問い合わせ/ 083−932−6430
交通/ JR山口線「湯田温泉」駅より徒歩10分
開館時間/ 午前9時〜午後5時(5〜10月は午後6時)
入館料/ 一般310円、大学生210円、小・中・高校生150円、70歳以上は無料
休館日/ 月曜日、毎月最終火曜日、12月29日〜1月3日
HP/ http://www.chuyakan.jp