My Way My Life2012年2月号 Vol.459

埼玉・川口市職労 野島 多栄(のじま たえ)さん

人形に「いのち」を吹き込むのは私

 アコーディオンで「イッツ・ア・スモールワールド」を軽快に奏でながら一人のピエロが現れました。ピエロはそばに座っていた子どもの人形を膝に乗せて自己紹介。「私は川口市の小学校で給食調理員をしている野島です。そしてこちらが人形の…」「サトちゃんです!」。それまで眠たそうにまばたきをしていた人形が、元気に自分の名前を教えてくれました。野島さんは組合行事や老人ホームなどにサトちゃんと登場し、楽しい会話でみんなを笑わせてくれます。
 子どもの頃から人形が大好きだったという野島さんは、給食調理員の仲間と人形劇をやっていましたが、仕事で仲間が集まりづらくなってきたことから、「人形を使って一人でもできるものを」と、10年ほど前から腹話術を習い始めました。
 相手役である人形のサトちゃんは5歳の女の子。野島さんがサトちゃんの背中から右手を入れ、まばたきさせたり、首・口・手などを動かし表情をつけます。野島さんと顔を見合わせ、「よかったね」「ふぅぅん」など相づち、時には「どうして?」などツッコミも入れられます。台本は野島さんの自作です。さらに野島さんは、にぎやかな会場でも注目を集めるためにと、ピエロ姿でのパフォーマンスを考えました。「ピエロになっちゃえば素の自分が隠れるから恥ずかしくないんですよ」と楽しそうです。
 野島さんは子どもの頃、家にいる時はもちろん、スキーや山に行く時も人形を抱いていました。「人形の力ってすごいと思うんです。人形の前では子どもの本音が出るし、無表情だったお年寄りがニコニコとサトちゃんに話しかけたりするんです」と人形の魅力を熱く語ります。
 サトちゃんとの会話では、自分で何でもできると言い張るサトちゃんに「じゃあ手を抜いちゃうよ?」と語りかけることもあります。「置いておけばただの人形、でも動かすことでいのちを吹き込める。私が人形を動かすことは『いのちの大切さ』のメッセージでもあります。どこまでできるかわからないけれど、それを伝えることが私の使命かな」と、やさしく笑います。
 野島さん、これからもさまざまな場面で、サトちゃんを生きいきと輝かせてください。

▲ピエロに扮装した野島さんとサトちゃん。ピエロのメイクは娘さんが考えてくれました

▲旧鳩ヶ谷市の学校給食民間委託反対のデモ行進でアコーディオンを演奏する(素顔の)野島さん