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機関紙『自治体の仲間』2018年 12月号 Vol.541 よりよい保育の実現はみんなの願い

よりよい保育の実現はみんなの願い

▲若手保育士らの大合唱。つながりあそび・うたの第一人者、二本松はじめさんも登場して、参加者も歌って踊るオープニング企画で会場は大きく盛り上がりました

11月3日に「子どもたちによりよい保育を! 11・3大集会」(同実行委員会主催)が東京・日比谷野外音楽堂で開催され、全国から保育士・保護者ら3000人が集まりました。集会には保育士や保育事故で子どもを失った保護者も参加し、人員不足や低賃金の実態、現場の実情を発言し、保育の充実・予算確保の必要性を訴えました。自治労連は大集会終了後に意思統一集会も開催しました。

もっと公的保育拡充を

11・3保育大集会

保育現場からは、「持ち帰り残業など厳しい労働環境におかれ、改善がみられない」という保育士の告発、「保育士が足りない。どうにか解消したいが、募集に応募がない」と運営に苦しむ民間保育所の園長の訴えがありました。

自治労連からは、岡山市職労の平松康子さんが、「子どもの権利がしっかり保障される保育、保育士の待遇改善など、保育の充実をめざし奮闘する」と決意を語りました。

保育事故をくり返さない

「保育ママ」を利用し、うつぶせ寝で4カ月の子どもを亡くした母親は、「息子の死因は司法解剖で窒息死と判明したが、市と保育ママは突然死だと言う。保育環境を明らかにするために提訴した。こんなに苦しい思いをもう誰にもしてほしくない。事件の再発防止と公的保育の充実を求め行動していく」と発言し、大きな拍手が沸き起こりました。

子どもの権利が保障される幼児教育・保育無償化を

11・3意思統一集会

自治労連の意思統一集会には全国から120人が参加しました。集会では、政府が拙速にすすめようとする「幼児教育・保育無償化」の問題点を明らかにし、職場・地域に広げること、職場訪問で保育士の労働実態を把握し、改善に結びつける活動が提起されました。

また、実効性のある待機児童解消策と、子どもたちの権利が保障される幼児教育・保育無償化の実現に向け、国会請願署名をすすめることを確認しました。

保育・学童ともに保育の質を守って

特別報告を行った大阪自治労連・仁木将さんは「政府による規制緩和は学童保育の『無資格問題』を引き起こしかねない」と問題点を明らかにし、「保育・学童がともに手をとりあって保育の質を守っていこう」と呼びかけました。

公立保育所の堅持かかげた新人町長が当選

報告に立った京都市職労の鴫畑(しぎはた)美穂さんは、京都・大山崎町長選挙で、公立3保育所の廃止をかかげる現職に対し、保育所の堅持をかかげ、新人が当選したことに触れ、「小さな町の大きな勝利は、公立保育園の役割が認められた結果だと思う。今後の保育行政に期待する」と発言。また、来年2月開催の「第27回自治体保育労働者の全国集会in京都」への参加を呼びかけました。

行動を起こすと何かが動き出した

参加した愛知・清須市職労の寺島靖乃さんは、「愛知でとりくんだ保育労働者実態調査の結果が県内で活用されている」と報告。「市職労も清須版のパンフレットを作成し学習会を行った。執行部も前向きにとりくみ、当局がはじめて全園へのヒアリングを行うなど、少しずつだが、何かが動き出しそうとしている」と発言しました。

▲特別報告をはじめ全国の実態と運動の成果を共有・交流した意思統一集会


「政府の幼児教育・保育の無償化」の問題点

保育の市場化は質の低下をまねく

自治労連保育部会 高橋光幸部会長

「幼児教育・保育の無償化」はすすめるべき施策です。しかし、現政権の「無償化」は、女性労働力の確保と保育市場の拡大という観点から設計されており、問題だらけの中身になっています。

消費税増税とセットでの実施とされ、すべての世帯が無償化になる結果、高所得であるほど恩恵を受け、給食費の実費徴収が予定されていることを合わせると、低所得者は負担増になる可能性すらあります。

個々の収入に応じた応能負担原則を崩壊させ、保育を児童福祉の枠外に置いた完全自由化へと道を開くことになりかねません。

無償化のための費用負担は、民間施設の場合は国が半分負担するとしているのに対し、公立施設では全額が自治体負担となっており、民営化に拍車がかかります。

さらに、「子ども・子育て支援新制度」が法制化されたときに政府が約束した「消費税が10%になったときには、職員配置基準の引き上げなどで保育の質を向上させる」ことさえ反故にされようとしています。

国会請願署名にとりくもう

待機児童の解消も、施設間格差や自治体間格差の解消にも手を付けず、保育の質の向上をなおざりにし、所得による格差を拡大させ、公立保育所の民営化をすすめるという「無償化」を認めるわけにはいきません。

職場・地域に「無償化」の問題点を伝え、国会請願署名を中心としたあらゆる運動にとりくみましょう。


2018秋季年末闘争の山場

職場の要求を勝ちとろう

11・8 中央行動

▲国会に向けて全国の仲間が請願デモ

全労連と国民春闘共闘委員会の呼びかけで11・8中央行動が行われ、全国から自治労連の仲間195人を含む1400人が参加しました。賃金引き上げを求め、府省前行動や請願デモ、国会議員要請を行いました。また、公務労組連絡会主催の公務公共職場で働く非正規労働者の集会も行われました。

賃金引き上げと人員増 まともな働き方を

内閣人事局前行動では、主催者の公務労組連絡会の岡部勘市代表幹事(国公労連委員長)が公務労働者の賃上げ、人員増、定年制などの秋季年末闘争での前進、ILO勧告にもとづく公務員の労働基本権回復を訴えました。

自治労連現業評議会の岸本弘幸議長が、現業職場の実態を報告し「現業つぶしは住民サービス削減そのもの。災害が続くなかで現業労働者が専門性、公共性をいかして奮闘している。リストラ提案をはね返したい」と決意表明をしました。

厚生労働省前行動では、まともな働き方を求め、東京自治労連の喜入肇書記長が、長時間労働の実態を職場から告発し人員増や36協定締結、超勤手当予算を確保したたたかいなどを報告。「職員の健康と住民サービス充実につながる職場づくりをすすめよう」と訴えました。

▲厚労省前で「まともな働き方」を訴えました

期限の定めのない任用 仕事に見合う賃金を

デモ終了後、公務労組連絡会主催で「公務公共職場で働く非正規労働者の雇用・待遇改善をめざす院内集会」が開催され、講演、職場報告、方針提起がされました。職場報告では、自治労連から豊橋市職労非正規嘱託職員連絡会の水越豊子さんが発言。毎年アンケートを実施し多くの嘱託職員が正規と同様の仕事をしていることが明らかになるなか、「予算に関する仕事も行っている」「正規職員に仕事の指導をしている」など現場の声を報告しました。水越さんは「昇給は初年度更新の月200円のみ。それどころか『正規も下がるから』と報酬が3回も下がり、以降そのまま」と訴え、「私たちの多くは常時勤務を要する職の要件を満たしている。できるだけ正規化すべき」と、期限の定めのない任用、労働に見合った賃金と待遇の改善を求めてたたかっていく決意を表明しました。

▲院内集会には300人が集まりました


18確定闘争に全力

嘱託一時金改善、給料表改悪は協議継続へ

岡山・倉敷市職労

▲確定交渉のなか、全員集会を開き、賃金引き上げを求める思いを確認しあいました

倉敷市職労は11月16日、賃金・一時金確定交渉に臨み、深夜まで続いた交渉は一定の改善と改悪案を継続協議とさせ、「大筋合意」としました。

当局は人事院勧告準拠での改定と給料表見直し(国公給料表の導入)を提案。この見直しは給与水準を改悪するもので、初任給1万円引き下げと55歳昇給停止を含む内容でした。また嘱託・臨時職員の処遇改善はゼロ回答でした。

交渉団は「豪雨災害で、職員みんなで復旧復興にあたっているなか、不本意な提案だ」と批判。嘱託・臨時職員の代表は「生活が苦しい。引き上げなしでは仲間に説明できない」と口々に改善を求め、深夜24時5分、当局が「要求をふまえる」とし、給料表見直しの年内継続協議、週30時間以上勤務の嘱託職員の一時金改善など、再任用を含む全正規職員の年収改善を引き出しました。


春日部の学童保育を守れ

埼玉県学童保育指導員労組

▲春日部駅前で「春日部の学童を守ろう」と署名を訴えました

春日部市の学童保育事業(指定管理)を続けてきた社会福祉協議会が、赤字を理由に来年4月からの市の公募を突然辞退し、学童保育事業そのものと指導員160人の雇用がなくなるという問題が発生しており、埼玉県学童保育指導員労組が奮闘しています。

子どもたちを第一に 保育の質落とさないで

自治労連埼玉県本部は、11月23日に「春日部学童労組激励集会」と街頭宣伝、署名行動などを呼びかけ、県内外から児童の保護者などを含め150人を超える参加がありました。

集会では、全国から集めた署名1万6522筆を、父母会などの代表者とともに11月20日に市のこども未来部長と保育課長に、「子どもたちの事を第一に考え、保育の質を落とさないで」と手渡したことが報告されました。また、小谷野匡弁護士による労働者の権利に関する学習会も行われました。

激励会終了後は、東武春日部駅前で宣伝活動を行い、署名への協力を求めるチラシの全戸配布行動も行いました。


病院の統廃合を地域の力で押し返す

住みなれた場所で安心の医療を

第9回 地域医療を守る運動全国交流集会

▲東京・有明ビックサイトでの集会で各地のとりくみが報告され交流が行われました

自治労連も参加する「地域医療を守る運動全国交流集会」実行委員会は、11月23日、今年で9回目となる全国交流集会を東京・有明で開催。全体で155人、自治労連からは47人が参加しました。各地の状況と実践を交流し、住民の願いにもとづく地域医療を守り充実させる運動をすすめることを確認しました。

午前のシンポジウムでは、佛教大学・横山壽一(としかず)教授が、現政権の「地域医療構想」の強権的な推進を批判しました。その後、全国各地からとりくみが報告されました。

三重県からは、みえ自治労連の新家(しんけ)忠文委員長が、みえ労連や市民と連帯して、医療・介護を一体としたとりくみと、松阪市民病院の突然の統合検討に対して、「統合」を提言させなかった運動の経過を報告しました。

新家委員長は「地域医療を守る運動の軸をつくるために、みえ労連と共同して実行委員会を発足し、病院労組や医師会、議会、自治体・病院幹部へ呼びかけた地域学習会を開催。地域医療構想に詳しい城西大学・伊関(いせき)友伸教授を招き病院統廃合の問題点を話してもらった。一連のとりくみで、統合は不要という認識をつくることができた」と述べ、「社会保障への攻撃を、社会保障運動の強化と地域労連の結成・強化のチャンスに」と発言しました。

午後の全体会では、愛媛自治労連、津島・吉田病院局労組書記次長の石村孝彦さんが、西日本豪雨災害の経験から学んだ災害対応の重要性について話しました。

▲みえ自治労連委員長 新家忠文さん


ぜったい止めよう改憲発議

11月3日国会前、全国で大行動

▲国会行動に1万8000人が参加して「改憲発議は許さない」と声があがりました

日本国憲法公布の日にあたる11月3日、「安倍改憲NO! 3000万人署名」を呼びかける全国市民アクションと総がかり行動実行委員会の共催による、「11・3国会前大行動」が行われ、国会周辺には1万8000人が集まりました。全国各地でも集会や行動が行われ、全国の自治労連の仲間が参加しました。

臨時国会での「改憲発議は許さない」と、国会前大行動には、野党4党代表がそれぞれあいさつ。野党共闘の大切さをアピールし、改憲を阻止し、安倍退陣へ力を合わせようと決意を述べました。また、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)の国際運営委員を務める川崎哲さんや、「オール沖縄会議」共同代表の高里鈴代さんなどがスピーチしました。

スピーチした川崎さんは「11月1日の国連総会では『核兵器禁止条約の署名・批准を広げようという決議』が出されたが、日本は反対した。改憲論議をするヒマがあったら、一刻も早く平和憲法の原則に則って核兵器禁止条約の署名・批准をするための議論を行うべきだ」と訴えました。

高里さんは「沖縄県知事選挙は、米軍新基地建設ノーの一点で共同して勝利した。私たちは、憲法改悪を許さない、安倍政権を倒す、の一点でつながって行動しましょう」と訴えました。

▲大阪市で行われた「おおさか総がかり集会」には1万2000人が参加しました

▲京都では「11・3憲法集会 in 京都」が開かれて2200人が集まり、パレードも行われました


主張 消費税増税と社会保障

消費税増税に頼らない社会保障拡充を

安倍首相は来年10月からの消費税率10%引き上げを、予定通り実行すると明言しています。

社会保障改革推進法によって貧困と格差がすすむ

2012年の社会保障改革推進法の成立以降、社会保障の解体攻撃が加速し、2013年から2018年度までに国の社会保障予算は累計で1兆5900億円も削減されています。

一方で生活保護基準以下で生活する世帯は、全世帯の28%に達していると言われています。そのなかでの生活保護の捕捉率が12%程度にすぎません。

他方、日産のゴーン元会長の50億円を超す所得隠しが発覚するなど、貧困と格差がいっそうすすんでいます。

「全世代型社会保障改革」の名のもとに消費税増税を企む政権

社会保障財源のうち、国の公費負担分は、主に消費税で賄う仕組みをつくり、社会保障充実を望むなら、消費増税を受け入れよと、国民に迫るやり方は、国民に社会保障の責任を転化するものです。

また、消費税増税を前提とした幼児教育や高等教育の無償化などの一方で、高齢者には介護保険などの給付の削減、自己負担の引き上げを行い、国民の間に新たな分断を生じさせています。

さらに、公益性の高い社会保障の領域を大企業や、投資市場に開放し金儲けの対象にし、社会保障制度の解体・市場化をねらっています。

まやかしの「需要低迷対策」

景気が回復していないもとでの消費税引き上げは許されません。その声に対し、「需要低迷対策」として、自動車や住宅の取得への減税のほか、カード使用によるポイント還元5%(消費増税引き上げ分を上回る異常さ)まで、打ち出してきましたが、低所得層は恩恵が受けられず、さらに格差を生むものです。

軍事費削って住民のくらしにまわせ

社会保障のためにと、消費税が導入されたもとで、大企業・富裕層への大幅減税と、軍事費の連続拡大がすすめられ、近年では、オスプレイやイージス・アショアの導入など、米国からの武器購入に巨額の費用をつぎ込もうとしています。税金の集め方、使い方を応能負担・必要給付へ改めれば、消費税増税は中止できます。


当局による不当労働行為事件

市民と共同で勝利和解

神奈川 鎌倉市職労 鎌倉市政を市民と働く仲間に取り戻す会

▲解散総会では、多くの支援団体が駆けつけ勝利和解をよろこびあった

神奈川・鎌倉市当局による鎌倉市職労に対する不当労働行為事件は7月19日、中央労働委員会において和解が成立しました。

このたたかいを支えてきた「鎌倉市政を市民と働く仲間に取り戻す会」はその任務と役割を終え、11月11日に解散総会を開催しました。

総会では、専門的な知見を提供し「取り戻す会」を支えた専修大学・晴山一穂名誉教授と立正大学・高橋賢司准教授からあいさつがありました。

市民の皆さんから勇気づけられて

労働委員会への対応を担った川本美保弁護士からは事件の要点と経過報告が行われ、会場に駆け付けた多くの支援団体からも、たたかいの意義と成果、困難さ、課題などが述べられました。

鎌倉市職労の芳賀秀友委員長からは「3年前、組合が力づくで押し潰されようとしていたときに、『取り戻す会』が結成され、この会場に入りきれない程集った皆さんに勇気づけられました」と改めて感謝を述べ、「寒い日も猛暑の日も、坂道の多い鎌倉で、毎回多数の参加者でチラシを配布した。8週間4駅の駅頭宣伝で、チェックオフ廃止を阻止し、泊まり込み61日間で組合事務所保全活動も貫徹できました」と振り返りました。

最後に「組合員拡大と役員体制の充実に努め、市民のいのちとくらしを守る市政に、市職員が市民とともに、生きいきととりくむことができる鎌倉市をめざす」と決意を表明しました。

主な和解の内容(4点)

●市と組合双方は本件紛争が円満に解決したことを確認し、ともに鎌倉市民のために働く公務員として正常な労使関係を構築する。
●市と組合は今後の団体交渉において誠意をもって十分に交渉をつくし、労使が合意した事項についてはその実現に向けて最大限努力する。
●組合は本件再審査申立て及び神奈川県労働委員会申立てを取り下げる。
●市と組合は本件和解条項に定めるほか、何らの債権債務が存在しないことを相互に確認する。

これまでの経過

鎌倉市は2014年に「新たな人事・給与制度」として、大幅な給与削減や特殊勤務手当廃止など大幅な賃金引き下げを提案しました。鎌倉市職労は激変緩和措置を設けることで労使合意。しかし、条例改正の際に、市議会が激変緩和措置を全面削除で修正可決しました。

その後、鎌倉市長は特殊勤務手当について一方的に交渉を打ち切り、また、組合事務所追い出しやチェックオフ廃止など一部の市議会議員とともに不当労働行為が続きました。労働委員会への救済申し立てを行い、あわせて15年12月に労働組合や民主団体・個人が参加して「鎌倉市政を市民と働く仲間に取り戻す会」を結成し、市や市議会への要請、市民宣伝、労働委員会傍聴などをとりくみ、解決をめざしてきました。


住み続けられる地域づくりへ新たな決意

地元の魅力再発見

第59回 地方自治研究愛媛県集会

▲午前に行われた「加計学園獣医学部施設見学」

愛媛・今治市内で10月21日、「第59回地方自治研究愛媛県集会」が行われ、商工業者や住民を含む128人の参加で成功しました。

また、集会には、菅良二今治市長から歓迎メッセージが寄せられました。

午前は、まちづくり・地域活性化「加計学園獣医学部施設見学」や社会保障分野、青年講座など、5つの分科会が開催されました。青年講座では、「他の自治体の人と交流できる貴重な機会で有意義な時間を過ごすことができた」と参加者の声が寄せられました。

午後の全体会では、「地場産業振興と地元雇用を考えるシンポジウム」が開かれ、無名であった地元今治タオルをブランドに押し上げたとりくみについて、渡邊利雄さん(渡邊パイル織物社長)が、「今治タオル業者はバブル経済を機に減少を続けたが、2006年にブランド化をめざした。1社や数社が良くなったのではなく、産地全体が復興してきた。自己満足ではなく、お客様が幸せに感じる商品をつくり続けていく」と、情報発信の努力から地元での雇用なども語られました。

参加者からは、「今治タオルはいつの間にか有名になったなぁと思っていましたが、地元組合や会社の戦略や努力があったことが改めてわかった」と感想が寄せられました。

また、愛媛大学社会共創学部の山藤篤助教からも「地元の兼業・高齢農家に寄りそう産直運動」をテーマに、地域活性化へのとりくみが話されました。

▲青年講座「いまと理想のライフプランを考える」


「収束」見通せない原発事故

福島県本部 自治体キャラバンで懇談

▲今も避難が続いている双葉町との懇談

福島県本部は11月から県労連とともに自治体キャラバンにとりくんでいます。昨年に引き続き、県内全ての自治体を訪問し、地域経済の状況や当該自治体に働く職員の労働条件などについて懇談を深め、問題点を共有しています。

11月8日は楢葉町(ならはまち)と富岡町を訪問しました。両町は東京電力福島第一原子力発電所事故により全町避難を余儀なくされた楢葉町は2015年に、富岡町は昨年4月に避難指示が解除され帰町しています。楢葉町との懇談のなかで「住民の約半分が戻っているが地域経済は厳しい。企業誘致をしても地元に労働者がいない。時給1000円でも人が集まらない」と担当者が打ち明けます。一方の富岡町の担当者は「避難解除されたが、町民が5%しか戻っていない。昨年は役場職員の早期退職が多く、町外出身者の新規採用が増えたことで、これまでの経験の蓄積が薄くなっていると感じています」と、職員の震災と原発事故の継承が課題と話します。

11月22日には、今も避難指示が続いている双葉町役場を訪れました。現在、双葉町はいわき市内に役場機能を移転している他、郡山市や南相馬市、県外には埼玉県加須市、茨城県つくば市に連絡所を設置し、避難している町民との関係をつないでいます。双葉町は2020年度にはJR双葉駅周辺を復興拠点にして帰町をめざしていますが、「戻ってもインフラ等の整備はこれから。何より原発事故の収束が読めない以上、ゴールが見えない。本当に町を残すことができるのか」と不安を隠しきれません。

福島県本部では、このキャラバンを通して寄せられた声や原発事故被災地への継続的な支援を、国や福島県、東京電力に直接訴える予定です。

▲楢葉町では厳しい地域経済の状況が語られました


シリーズ18 いちから学ぶ仕事と権利

4月に上限規制が罰則付きに 各職場で労使協定を結ぼう

長時間労働規制ルール

人事院規則にも時間外労働の上限設定が設けられることになり、総務省は地方自治体に対して、これに準じた条例・規則改正を求めています。時間外労働規制は勤務条件の問題であり、労使交渉事項です。来年4月からの制度化にあたってあらためて学びます。

公務公共職場では、これまで労働時間管理がしっかりされていない職場も多く、残業代不払いの温床にもなってきました。

そもそも自治体職場も、原則として36協定(労基法36条)を結ぶことなしには使用者が時間外労働を命ずることはできません。例外として、本庁等の職場では、労基法33条の3項「公務のための臨時の必要」がある場合に限り36協定を結ばずに時間外労働を命ずることができ、長時間労働の原因ともなっています(図表太枠内を参照)。しかし、総務省も「上限規制は必要」と認めています。

職場の実態に合わせた議論と要求を

今回新しくできる上限規制は、原則として月45時間・年360時間とし、臨時的な特別の事情がなければこれを超えることはできません。臨時的な特別の事情があって労使が合意する場合でも、年720時間以内・複数月平均80時間以内(休日労働を含む)・月100時間(休日労働を含む)を超えることはできません。また、原則である月45時間を超えることができるのは、「年間6カ月まで」です。

労働時間規制については、原則的には時間外労働を命ずる根拠となる36協定をどう締結するかが重要ですが、除外規定がある職場もあり、自分たちの職場がどの枠組みか確認しながら、職場で議論をしていきましょう。

労働時間の把握をしっかりさせよう

また、労働安全衛生法も改正され、事業主に対し、タイムカードやパソコンの使用記録など、客観的記録による労働者(管理職含)の労働時間把握を求めています。

客観的な労働時間を任命権者が把握するよう求めるとともに、私たち自身も、超勤申請をしっかり行いましょう。


文化財は保護から活用へ

埋蔵文化財は人が生きてきた証

京都・宇治市職労 歴史まちづくり分会

▲史跡「宇治川太閤堤跡」の発掘調査現場で説明をする大野さん(写真中央)豊臣秀吉が宇治川・淀川につくらせた堤防で、当時の石積みの護岸施設が残っています

全国で歴史をいかしたまちづくりがとりくまれており、埋蔵文化財行政が担う役割は文化財の保護から活用へ広がりつつあります。あらためて埋蔵文化財行政の仕事と役割について、京都・宇治市学芸員の仲間に話を聞きました。

歴史文化いかしたまちづくりへ

都市整備部歴史まちづくり推進課で働く大野寿子さんは、市内の文化財発掘や保全を行っています。開発工事で壊れてしまう前に遺跡を発掘調査し、記録に残したり、重要な遺跡を文化財に指定して保護し、遺跡の価値をわかりやすく示す業務もあります。また、市内の景観についても、名勝や文化的景観に指定し、後世へ伝えていくための修繕工事なども行っているそうです。

宇治市では多くの文化財に加え、近年は歴史文化をいかしたまちづくりをめざしてさまざまなとりくみを行っているため、文化財の仕事は増えていると言います。このような仕事を、専門の正規職員4人と非正規職員5人が担っています。職員数に比べ仕事が多く、情報を共有する時間が取れないため、専門的な知識・経験の豊富な先輩から十分な引き継ぎができないことが課題だと言います。現在、「職場の非正規職員を正規職員化へ」と組合で職場要求にまとめようとしています。

昔のくらし発見し地域に愛着と誇り

人員不足のなかでも笑顔でがんばっている大野さんは、埋蔵文化財の仕事の魅力や夢も語ってくれました。

「埋蔵文化財はその土地で人が一生懸命生きてきた証。昔の人のくらしの痕跡を掘り出す楽しさと、一緒に作業をした地元のおじちゃんやおばちゃんのあったかさにはまります。また、発掘現場や出土品を見た人たちが、自分がくらす土地への愛着や誇りを持ち、これからのくらしやまちづくりを考える材料になるといいなと思います」と話し「私たちが扱っている文化財は国民共有の財産である一方で、埋蔵文化財が眠る土地や文化財指定された建物や美術工芸品は個人の持ち物である場合が少なくありません。文化財の保護にご協力いただくためには相手の立場を理解する努力と、できるだけ丁寧に説明をするように心がけています」と教えてくれました。

埋蔵文化財の仲間と学び交流

自治労連では、文化財にかかわる仲間が、情報交換と交流、地域文化財の展望や郷土の歴史的資産の活用を考えることを目的とした埋蔵文化財関係職員交流集会を定期的に開催しています。

大野さんも「文化財をとりまく状況が変化するなか、さまざまな工夫や失敗を重ねながら奮闘している仲間の話を聞いて勉強しています」と、参加してきました。

今年度第23回は19年1月に名古屋市内で開催されます。大野さんも「全国の仲間と学び交流しながら、職場改善をすすめていくために、私も参加します」と話してくれました。

第23回 埋蔵文化財関係職員交流集会

2019尾張の国から発信!原点から現在・将来をみつめて!

とき 2019年1月26日(土)~27日(日)
場所 自治労連愛知県本部大会議室(1日目)愛知県労働会館会議室(2日目)
主催 「第23回埋蔵文化財関係職員交流集会」実行委員会
後援 自治労連教育部会・自治労連非正規公共評・自治労連愛知県本部


初出場で初優勝 滋賀 大津市労連チーム

熱戦を制して優勝へ

第30回自治労連全国スポーツ大会軟式野球(長崎市)

▲初優勝に笑顔かがやく大津市労連チーム

第30回自治労連全国スポーツ大会・軟式野球大会が、11月9~10日に長崎市内で開催されました。大会前日の雨が一転した秋晴れのなか、全国の予選を勝ち抜いてきた代表10チームが激闘をくり広げました。

決勝は、前回初優勝し連覇をねらう長崎市役所チームと初優勝をめざす大津市労連チームが対戦。大津市労連は、初出場ながら全国大会で強豪チームと対戦するたびに勢いが増し、その勢いは決勝戦でも止まりませんでした。2回裏に先制し4回と5回裏にも追加点を入れて長崎市役所をリードします。前回優勝と地元開催の意地を見せた長崎市役所も5回と7回の表に点を取り最後まで追いかけますが及ばず。5―2で大津市労連が滋賀県勢としても初の優勝を果たしました。記念撮影後、チーム全員で、応援に駆けつけた小川治彦委員長を胴上げしました。

大津市労連のピッチャー太田陽さんは、今大会でノーヒットノーランを達成するなど好投を見せ、チームの優勝に貢献しました。

みなさんに感謝 来年も全国大会へ

梅根健志主将は、「声をあげるのが取り柄のチームです。雨も降らず、けがもなくてよかった。大会を開催するために奮闘されたスタッフをはじめ、みなさんに感謝します」と全国大会初参加・初優勝の喜びと感謝を語りました。

最後に、「近畿ブロック予選は強いチームがあって勝ち抜くことは難しいが、来年も全国大会出場したい」と、次の全国大会出場にむけて決意を新たにしています。

▲大津市労連チーム 梅根健志主将


今月の連載・シリーズ

図書館の本棚
11冊目
高野秀行 著
謎のアジア納豆 そして帰ってきた〈日本納豆〉

新潮社 2016年10月発行 四六判変型 350ページ 定価:1800円+税

いい旅ニッポン見聞録
第33録
かがやきDAYS
〔52〕
福島・郡山市職労 WHITE PEACH
組合も音楽も楽しむことが大事
まちコレ
Collection52
うレシピ
第83品
福島・郡山市職労 山内 恵美さん
じゃこトースト

おいしいんじゃこのトースト

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