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機関紙『自治体の仲間』2018年 11月号 Vol.540 知識 技術 経験 住民を支え、守る人員体制を

知識 技術 経験

住民を支え、守る人員体制を

岡山市職労現業評議会

▲給食調理のノウハウを住民に説明する組合員

全国の自治体で、現業職員の採用抑制・退職不補充が続くなか、この間の災害対応での現業職員の知識と技術に、あらためて注目が高まっています。一昨年から現業職の採用を再開させた岡山市職労現業評議会の地域住民共同のとりくみを紹介します。

「縁の下の力持ち」だけでは住民生活を守れない

岡山市は、2007年、当時の市長による職員採用凍結が多くの職種で強行されました。人員削減計画のなかで「技能労務職は退職不補充」となり、現業職の新規採用が長く凍結されました。

採用凍結が続くなかでも岡山市職労は粘り強くとりくみをすすめてきましたが、住民からの監査報告で、現業職の業務内容が十分に理解されていないことが明らかになりました。

清掃職員でもある岡山市職労の岡本芳行委員長は「現業職員は『縁の下の力持ち』と言われます。そのことに確信をもってやってきましたが、『縁の下』のままでは誰もわかってはくれない。わからないものは切り捨てられます」と、地域へ足を踏み出して、住民の理解と協力を得る重要性を語ります。

住民に具体的に理解してもらえるように、住民向けリーフレットや学校用務員の実践集である『学校用務員の力』を作成。自ら作成することで組合役員が住民の前に出て仕事の役割を語れるようになりました。また、市議会議員への要請にも活用してきました。

▲学校用務員の実践をリーフレットに

現業職の採用再開 災害対応にも備えさらなる人員増を

岡山市職労のたたかいのなかで16年度には給食調理員や環境整備員、学校用務員の新規採用試験を実施させることができました。翌17年度にも給食調理員と環境整備員の採用を実施させました。

「現業職員として培ってきた知識と技術、経験の蓄積を継承できる人員体制の確立が求められています。近年全国で災害が多発しています。岡山は災害が少ない地域と思っていましたが、7月の西日本豪雨でその脆弱性が明らかになりました。住民のいのちとくらしを守るためにはマンパワーが不可欠。新規採用を勝ち取り地域を守り支えたい」と、岡本委員長は人員予算闘争に向けて決意を固めています。

つくりあげてきた地域住民との共同

岡山市職労は自治研活動に力を入れ、市民団体などと実行委員会をつくり「市民のつどい」を開催してきました。この地域版として市内西大寺(さいだいじ)地区で、2002年から「言いたい!知りたい!西大寺」を開催しています。

「言いたい」とは「自分たちのとりくみを知ってもらいたい」こと、「知りたい」とは「地域でとりくまれていることや地域の課題、話題を知りたい」という意味で、住民と対話を重ねながら、スタートしました。最初はリレートークと現在も続く学校給食の試食からはじまりました。第3回からは「どれだけ有意義な内容であっても、参加者が少なければ成果は期待できない」と給食部会、環境部会、学校図書館部会、保育園支部、地域団体が工夫を凝らしたブースを開き、オープニングでは地元中学のブラスバンド部や子どもたちの演舞も登場するなど、地域に定着したイベントとして約500人の住民が参加しています。

毎回、各団体の課題を共有し、「岡山市職労の役員以上に、参加団体から積極的な意見が出されることがこれまで継続できてきた理由」と岡本委員長が話すように、地域とつながる大きな力になっています。

▲「言いたい!知りたい!西大寺」は、毎年500人以上が会場に訪れる地域の恒例イベント


10・15現業統一行動

人員増は待ったなし

岩手自治労連 盛岡支部現業評議会

岩手自治労連盛岡支部現業評議会は10・15現業統一行動として総決起集会を紫波(しわ)町で開催しました。

集会に参加した単組からは「昨年度、突然『学校再編基本計画』が出された。小学校11校が5校になる。給食センターの委託の話も出ている。攻撃に負けずにがんばる」(紫波町職労)、「賃金闘争で5級水準めざしがんばりたい」(矢巾町職労)、「調理員の年度当初での欠員が生じるなど、正規職員を採用してこなかったツケが深刻に。人員増は待ったなしだ」(盛岡市職労)、「人事評価制度を賃金リンクしたいと当局から話があった。交渉を強化していきたい」(八幡平市職)との決意表明がありました。最後に、参加した60人の仲間とともに集会アピールを確認しました。


「安心して働ける職場」合言葉に

すべての仲間と力を合わせて 2018秋季年末闘争

▲一致する課題への共同を求めて地方3団体へ要請(写真右は全国市長会)

公務員の賃金と労働条件の抜本的改善を

一致する課題で共同を 地方3団体へ要請

自治労連は、地方自治の拡充と防災体制の強化、公務員の賃金・労働条件の改善をはかるため、10月1日に全国知事会、全国市長会、全国町村会の地方3団体へ要請を行いました。

各団体へ、「災害からの復旧復興に奮闘しているが、人員不足により過労死などを生み出す異常な長時間労働が蔓延している。労働時間の上限規制は喫緊の課題になっている。人員確保のためにも賃金の地域間格差の是正は必要」と、一致する課題で共に国に対して声をあげていくことを要請しました。

「トップランナー方式は地方の財源確保の努力のインセンティブを阻害するものだ。地方財政の要求はみなさんとも一致する」(全国知事会)、「市町村合併、広域化、職員の削減で、地方は限界に来ている。公務員の人員は少なければよいという風潮は、いかかがなものか」(全国市長会)、「国は、市町村合併を押し付けず地方自治を尊重すべきなのは当然。町村では、技術職職員の確保に苦労をしている。災害対応のためにも人員確保は必要だ」(全国町村会)と一致点が示されました。

18秋季年末要求実現へ 10月15日 総務省交渉

自治労連は10月15日、2018年秋季年末要求書にもとづく総務省交渉を行いました。

交渉では、地方自治体の賃金決定について、「地方自治体の自主性・主体性を尊重すること」を確認しました。また、自然災害等での自治体の防災体制・災害救助体制の確立、会計年度任用職員制度導入では、国の責任で臨時・非常勤職員の労働条件の改善に必要な財源を確保することなどを求めました。

▲自治体臨時・非常勤職員の地位・待遇改善を求める要請書を総務省へ提出する自治労連桜井眞吾副委員長(左)

10・15全国統一行動 職場・くらし守る要求高くかかげ

若い世代からもっと声をあげよう

18秋季年末闘争の勝利に向けて、自治労連が全国に10・15全国統一行動を呼びかけ、全国各地で早朝宣伝、職場集会、決起集会が行われました。

福島・郡山市職労は、15日早朝に庁舎前で機関紙配布を行いました。人事委員会勧告の問題点や、職場から出された切実な要求と声を載せた機関紙を登庁する職員一人ひとりに手渡しました。職員からは「朝早くから、お疲れさまです」と声がかけられました。

岩手・大船渡市職は15日に早朝宣伝を実施。行動には平均年齢30歳の執行委員が全員参加して、本庁前で職員に機関紙300枚を配布しました。

菅野(かんの)巧書記次長は、「低額とはいえ岩手県人事委員会に月例給、一時金の引き上げを勧告させたのは組合の運動の成果。全国的に初任給基準の見直しがすすんでいるなか、岩手で初任給基準改善の勧告をしなかったことは問題だ。自分たち若い世代がもっと声を上げていくべき」と決意をあらたにしました。

▲機関紙を手渡す福島・郡山市職労の仲間

▲岩手・大船渡市職の早朝宣伝

正規も非正規も大幅賃上げを

北九州市職労

北九州市職労は10月15日、確定要求にもとづく第1回団体交渉を行いました。今年の人事委員会勧告は、月例給の引き上げがなく、50歳以上の職員は来年3月で現給保障が終了となり、月例給が最大で約2万円、年収で約30万円もの引き下げとなるため、抜本的な賃金改善を求めました。

また、福岡県の最低賃金が814円となることから、一般事務の臨時職員の日額6110円(時給で約814円)が、このままでは来年は最賃以下となるため、今年度の賃金を改定する必要があることを訴えました。

また、現場の実態をふまえ「再任用前に3級にすること」「人員を増やすこと」「非常勤職員の病気休暇制度の新設」などを訴えましたが、当局は「現行制度を改める考えはない」と回答。

北九州市職労は、確定要求署名と、本庁前の総決起集会を行いながら交渉を継続していきます。

▲北九州市職労の第1回団体交渉


沖縄県民の民意は「辺野古新基地NO!」

もう基地はいらない

沖縄県新知事に玉城(たまき)デニー氏

▲支援者とマスコミに囲まれ、手を振り当選を喜ぶ玉城デニー氏

翁長雄志前知事の逝去にともなう沖縄県知事選挙は、9月30日投開票で行われ、翁長前知事の県政を引き継ぐ「オール沖縄」が擁立した玉城デニー氏が初当選しました。自治労連は沖縄県知事選挙を「辺野古新基地建設ストップにつながる重要な選挙」と位置づけた運動方針にもとづいて、支援行動を呼びかけ、全国の仲間がかけつけました。

沖縄現地では「応援している。がんばらなけりゃ」と共感の声援や、支援行動への飛び入り参加が現れるなど、現地に入った自治労連の行動参加者も励まされました。9月22日に行われた「うまんちゅ大集会」には自治労連も参加。登壇した翁長前知事の妻・樹子さんが「140万の沖縄県民に対し、政府はすべての権力を行使して、わたしたちを愚弄するように民意を押しつぶそうとする」と訴えました。

対話による解決を沖縄県民とともに

玉城デニー新知事は、就任直後に安倍首相と会談し、沖縄の民意を伝え対話による解決を求めました。しかし、沖縄防衛局が行政不服審査法を濫用して、沖縄県の承認撤回に対する「執行停止」を申し立て国土交通省大臣が「執行停止」を認めるなど、沖縄県民の民意を無視して、基地建設を強行しています。

知事選挙後、豊見城(とみぐすく)市長選挙と那覇市長選挙で「オール沖縄」の候補が勝利し、「普天間基地撤去・返還、辺野古新基地反対」の民意がより鮮明になっています。辺野古新基地建設の是非を問う県民投票条例も可決され、辺野古新基地建設をめぐるたたかいは新たな段階を迎えています。


人手不足・過重労働を告発

憲法を いのちを 社会保障をまもれ

10・11国民集会

▲集会後、白衣で銀座をパレード

医療・介護分野で働く仲間が10月11日、社会保障制度の拡充と人員増・処遇改善を求める「国民集会」を東京・日比谷野外音楽堂で開催しました。

自治労連は実行委員会に参加し、全国から3700人が参加した集会では、人員増や労働条件の改善とともに「いつでも、どこでも、誰でも、必要な時に、安全・安心の医療・介護が受けられる」ことなどを訴えました。

現場からのリレートークでは、医師、患者団体など5団体の代表が発言し、医療現場の過密労働など深刻な職場実態の告発が続きました。

自治労連は介護現場から訴え

自治労連からは、岩手自治労連・藤野とも子さんが介護現場からの発言として、介護職場での人手不足・過重労働を告発し「仲間づくりをすすめ、よりよい介護のために現場からがんばっていきたい」と訴え、会場からは大きな拍手が送られました。

最後に集会アピールが読み上げられ、会場全体で10・11国民集会の成功を確認しあい、厚生労働省に向かってシュプレヒコールを行いました。

集会後には「憲法25条をまもれ。いのちをまもれ。医師・看護師を増やせ。地域医療をまもれ。平和憲法をまもれ」と元気にアピールしながら銀座パレードに出発しました。白衣をまとい、アピールボードをかかげるパレードは道行く人たちの注目を集めました。


主張 臨時国会と秋季年末闘争

改憲阻止・要求実現、沖縄で示された共同の力を全国で

10月24日に臨時国会が開会され、安倍首相が所信表明を行いました。この間、国民の不信を招きいまだに説明責任が果たされていない「森友」「加計」問題には一切触れないまま、改憲については強硬な姿勢を示し、消費税については十分な説明もなく10㌫への増税を前提としています。

また、「沖縄のみなさんの心に寄り添い」と述べながら、沖縄県知事選挙などで「辺野古新基地建設反対」の民意が示されたにもかかわらず、県の「埋め立て承認撤回」に対して行政不服審査法を悪用するなど、寄り添う姿勢をまったく示していません。

こうした強権的で立憲主義をないがしろにし、民意を無視する安倍政権の即刻退陣の世論をさらに大きくしていく必要があります。

更なる共同を全国で展開しよう

9月30日投開票で行われた沖縄県知事選挙は、過去最多の県民が投票所に足を運び、「辺野古新基地建設反対、普天間基地の即時撤去」の願いを玉城デニー氏に託し、得票数も過去最多となる圧勝でした。住民が力を合わせれば、強権政治をはねかえし、政治を変えられることが実証されました。

また、翁長前知事の努力によって、全国知事会は「日米地位協定抜本見直し」を求める「提言」を『全会一致』で採択し、政府に対し具体化に向けて要請がされました。「日米地位協定見直し」で、全国で共同できる基礎が築かれています。沖縄知事選挙の経験を全国で展開するチャンスです。

政治課題と職場要求を一体に秋季年末闘争を

生活改善にほど遠い人事院勧告に続いて、地方人事委員会勧告も国に追随した勧告が出されています。人勧制度は始まって今年で70年になりますが、これまで公務労働者だけでなくすべての労働者の賃金を抑制する役割を果たしてきました。人勧制度を代償にして公務労働者の労働基本権がはく奪されたことも、アメリカの軍事戦略によるものであり、さまざまな政治課題と私たちの賃金労働条件は切り離せない課題です。

18年確定闘争では「会計年度任用職員」も重要な課題です。憲法改悪や消費税増税阻止など、あらゆる政治課題と、賃金労働条件改善のとりくみを一体ですすめてこそ要求実現につながります。

職場を基礎に地域住民とともに要求実現に向けた秋季年末闘争を大いに展開しましょう!


台風24号が吹き荒れて

子どもたちを見守り長時間停電のなか保育

浜松市職

▲台風24号による停電状況(ピーク時10月1日AM4時00分時点)

9月30日から10月1日にかけて東海地方を横断した台風24号の影響で、倒木などによる電線の断線などで中部電力管内でピーク時96万1330戸の停電が発生しました。

病院や市役所などを中心に電力復旧が優先的にすすめられましたが、復旧作業は長期間にわたり、特に浜松市では、市内の一部で最大6日間およそ140時間も停電した地域がありました。

市役所では、電源を住民に開放して、携帯電話の充電などに利用してもらうなど対応をすすめました。

非常時の体制改善を 組合で対策を要請

保育職場では、停電の状態のなかで通常保育がすすめられましたが、延長保育の時間では、園内にあるすべての懐中電灯を集めて、一部屋に集まり子どもたちを見守り続けました。

時間帯での勤務シフトのため、最後の時間帯は保育士が2人だけになってしまった職場もあり、「暗闇のなか、子どもたちの安全に不安」との声が組合に寄せられました。

浜松市職は、担当課に「危機管理上、こうしたときは他の保育士の残業応援で、子どもたちに気配りができるようにしてほしい」と体制の改善と大規模停電への対策を要請しました。


すすむ非正規公共評(47)

学童指導員160人の雇用を守れ 市は責任ある対応を

埼玉県本部 埼玉県学童保育指導員労組 春日部支部

▲埼玉・非正規公共の集会で春日部学童について訴える県学童保育指導員労組の小川裕子書記長

埼玉・春日部市の学童事業(指定管理)を20年間続けてきた社会福祉協議会(以下、社協)が、「春日部市が積算した委託金額では、赤字になるから応募は断念せざるを得ない」と、来年4月からの公募(5年間)を突然辞退しました。

今年7月5日の団体交渉では、次期指定管理について「前向きに検討している」と答え、保護者へも同様の説明をしていたにもかかわらず、同月18日に行われた理事会で、わずか1時間の審議で覆りました。

埼玉県学童保育指導員労組春日部支部(以下、組合)は、社協に理由を示すよう求めましたが、社協は納得のいかない回答に終始し、このままでは、社協に雇用されている指導員約160人が解雇になります。指導員のうち、51人は来年4月に労働契約法にもとづく無期雇用転換権が発生し、すでに組合を通じて文書による無期雇用への意思表示を行っていました。

組合は春日部市にも責任ある対応を求めてきましたが、春日部市は「市は関係ない。社協がすべきこと」と責任を社協だけに押しつけています。また、春日部市による保護者説明会で、「仕様書があるから保育の質は下がらない」「応募してきた業者が指導員を確保できると言っている」と、保護者にも労働者に対しても無責任な対応です。

組合は、春日部市に対して、「事業実施者としての責任を果たすこと、予算の増額、仕様書の厳格な実施状況点検と指導、指導員の雇用継続と労働条件の維持」を求めて、父母会連絡会と連名で署名にとりくむことにしました。組合は、12月議会に向けて、最後まで諦めずたたかう決意です。


青年部で昇任選考対策講座

青年の不安に応えたい

東京 板橋区職労

▲講座には申込者数73人、のべ200人が参加しました

18年度から特別区(東京23区)の人事制度が改定されました。係長選考試験が廃止され、板橋区では主任職の昇任選考方法が今までの筆記試験(択一式試験)に、小論文と面接が加わりました。

行政職は従来の行政職給与表1級から3級職が統合、全員が新1級職(係員)とされ、切替昇任選考によって、新2級職(主任)となりました。主任の職責は、係長(新3級)を補佐し、係長をめざす職とされています。しかし、特別区の係長は、民間や国に比べて極端に少なく、現場では過重な責任と負担がかかっているなど、職員から不安の声が多く出されるようになりました。

板橋区職労青年部は、「主任職昇任選考対策講座」を、7月25日から開催。講座では、金原善弘青年部長が試験対策テキストづくりから講義まで行いました。毎回、講座終了後にアンケートをとると、「試験に対する不安な気持ち」や「モチベーションが保てない」などの参加者の声がありました。

金原青年部長は、「アンケートの意見を講座に活かすようにしてきた。回数を重ねるごとに、会場内に信頼関係が生まれてきた。『講師の本気度、熱意が感じられた。モチベーション向上につながった』との記入があった」と手ごたえを感じています。

信頼と期待に応え労働組合の存在示す

また、アンケートで板橋区職労青年部の存在や活動について尋ねると、「今回の講義を通じて知った」と約半数が回答。金原青年部長は「単なる試験対策だけでなく、新たな主任職に期待される役割や新試験制度導入に至った背景なども説明した。組合と当局との交渉により、筆記試験合格後に面接で不合格となっても、翌年の筆記試験が免除となる成果も伝えることができた」と、労働組合の存在を知ってもらう機会となっています。


第13回「久慈給食まつり」

食育の重要性を体験

岩手久慈学校給食協会職組

▲体験コーナーで「五平餅づくり」を楽しむ住民と組合員

10月13~14日に行われた「久慈給食まつり」は、久慈学校給食協会職組が「日々の仕事について、広く市民に知ってほしい」と始めた企画です。「食に携わる者として子どもたちや保護者、市民のみなさんに食の楽しさ、食育の重要性について肌で感じてもらおう」と、体験型のまつりを開催してきました。近年は、事業主である久慈市学校給食協会と共同のとりくみとして開催しています。

今年で13回目を迎え、毎年恒例の「体験コーナー」は市民や子どもたちに大好評です。

今年の体験コーナーは、「五平餅づくり」です。親子をはじめ老若男女が訪れて体験しました。ご飯のつぶし方がポイントで、みそだれの香りが香ばしいです。

激励に訪れた岩手自治労連・中野盛男委員長は「13回も続けていることは素晴らしい。一人ひとりの組合員の要求と仕事の誇りを結びつけたとりくみを全県に広げたい」と語ります。

▲参加者手づくりの五平餅


シリーズ17 いちから学ぶ仕事と権利

誰もが安心して働き続けられる職場を

定年の引き上げ

人事院は8月の勧告とあわせて、定年の引き上げに関する「意見の申出」を行いました。

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年齢を理由とした賃下げの根拠なし

人事院は、8月10日の勧告と同時に、定年の引き上げに関する「意見の申出」を行い、定年を現在の60歳から65歳へ段階的に引き上げ、60歳以降の給与水準については、60歳前の7割程度にするとしています。

しかし、人事院が賃金抑制の根拠とした民間企業の実態は、60歳超の定年を採用する企業は全体の13㌫であり、しかもそのうち60歳を超えた労働者に対して給与減額を行っている企業は約3~4割(全企業の5㌫程度)と少数で、年齢を理由とした賃下げには根拠がありません。まだ定年に関する法制化は具体的な提案がされていませんが、すでに55歳からの昇給停止もあるなか、職場からは「こんな給料では生活できない」と不安の声が上がっています。

すべての職員の希望を尊重した制度設計を

職員一人ひとりの健康や特殊業務や交代制勤務などにより定年の引き上げが困難な職場もあるなど、職場の実態と職員の希望を最大限尊重した制度設計が必要です。

自治体当局の使用者責任を明確にし、労使合意での再任用制度や退職制度の改善が求められます。

定年引き上げは民間よりも公務が先行しており、地域経済や住民生活にも影響します。民間労働者や住民とも共同しながら、公務公共サービスの向上と誰もが安心して働き続けられる制度をめざしていきましょう。


地域の課題や運動の経験を出し合い

“地方自治のあり方”を考える

第14回 地方自治研究全国集会in高知

▲高知自治労連青年部による歓迎行事「よさこい鳴子踊り」。華麗な演舞に会場は盛りあがりました

隔年で開催される地方自治研究全国集会は、10月6~7日の2日間にわたり高知で開催され、全国からのべ1600人が参加しました。1日目は全体会・ナイター講座・青年企画、2日目は25の分科会・2つの現地分科会が行われ、住民・自治体公務公共関係労働者・学者・議員が一緒になって地域・職場の課題を議論・学習し解決策を探りました。

権力側が隠すことを明るみに

記念講演

全体会・記念講演では、日本歯科医師連盟のヤミ献金事件(2004年)をスクープするなど、現在も活躍中の東京新聞・社会部記者の望月衣塑子(いそこ)さんが講演。「権力側が隠そうとすることを明るみに出すこと」が自身のテーマだと話します。

政治家・官僚・企業への取材を重ねるなかで、「当局にとって不都合な真実は隠したい。取材で嘘をつかれるのは当たり前で、でも隠すことにすべての関係者が納得しているわけではない。キーマンを見つけて何度も質問することで嘘と真実の見分けがつくようになる」と話します。

望月さんの取材スタイルに対して、政府の記者会見などでは、質問への回答拒否や威圧など妨害が多くありますが、「委縮してはいられない。ジャーナリストの信念や五感を信じ、疑問や疑念が解消できたのか、力の弱い多くのひとが幸せになれるかと問うこと」が重要だと話しました。

▲記念講演をする東京新聞・社会部記者の望月衣塑子さん

これからの地域づくりを探る

基調フォーラム

続く全体会・基調フォーラムでは、「防災」と「福祉」を切り口に、これからの地域づくりについて討論を行いました。

福祉現場の証言者として、大阪府職労・前田治敏さん(児童福祉司)は、自身の職場、大阪府・子ども家庭センターの事例から、住民のくらしを守る職員の人員・働き方について問題提起。

今年8月に発表された児童虐待相談の対応件数が過去最多「13万7778件」となったことに触れ、「特に児童の目の前で起こる〝面前DV”にかかわる事案が急増している」と報告。

センターは、ここ10年では増員したものの、これから経験を重ねていく若い職員のフォローや家庭との両立など課題は多いと言います。「自分の生活より担当ケースを何とかしたいという福祉精神に頼る体制では、いつか破たんする」と訴え、最後に「虐待は許されません。しかしその当事者をめぐる背景をつかむ必要がある。非正規化や貧困など問題が山積している社会を変えていく必要がある」と発言しました。

▲基調フォーラムでは参加者がツイッターで参加できるようになっており、共感の声が映し出されました

▲基調フォーラムで現場からの証言者として登壇した大阪府職労の前田治敏さん

▲「憲法カフェ」では寸劇やグループトークで憲法の重要性を学びました

とことん学んで話し合う

夜も続くナイター講座・青年企画

全体会終了後も企画は続き、「くらしの基盤を確立し、安全・安心で環境にやさしい地域を」「人間らしく生きるために、社会保障を充実する」「くらしを支え、自治を育て、住民本位の自治体をつくる」をテーマとした3つの講座、自治労連青年部が主催する青年企画も行なわれ、「Let’s憲法カフェ 知って語って感じる身近な憲法」と題し、グループ討論を深めました。

各地の実践を交流

2日目は高知市内8カ所の会場で25のテーマ別に分科会を開催。現地高知県実行委員会が主催する2つの現地分科会「日本国憲法の原点、土佐の自由民権めぐり」「南海トラフ地震と南国市の防災津波避難タワーと自主防災組織のとりくみに学ぶ」も行われました。参加者からは「記念講演、フォーラムともに大変勉強になった。参加してよかった」「仕事にいかしていきたい」などの感想が寄せられました。

参加者から 勉強するために!

地方自治研究全国集会に初参加の笹岡亮介さんは、佐川町職の青年部長になったばかりです。

「佐川町は林業に力を入れています。森林を重要な資源と位置付けて、山林の所有者が木の伐採から搬出、出荷までを自力で行う『自伐型林業』が持続可能な経営となるよう支援しています」と笹岡さんの仕事を紹介してくれました。

しかし、現在の人口は1万3000人を下回っており、「各自治体のとりくみを勉強するために、『人口減少問題』の分科会に参加しました」と話してくれました。


今月の連載・シリーズ

図書館の本棚
10冊目
ユッシ・エーズラ・オールスン著 吉田薫訳
特捜部Q カルテ番号64

早川書房 2013年5月発行 単行本 582ページ 定価:2000円+税 (文庫本 上・下 2014年12月 各780円)

いい旅ニッポン見聞録
第32録
疲弊する農村を立て直した実践家 大原幽学
世界初の協同組合「先祖株組合」

千葉県旭市大原幽学記念館

かがやきDAYS
〔51〕
愛知・豊橋市職労 䦰目(くじめ) 将大(まさひろ)さん
変化する風景 切りとり油絵に
まちコレ
Collection51
吹田くわい
栗のような食感 「目出たい」縁起物

大阪府吹田市

うレシピ
第82品
福岡・北九州市職労 永倉 久恵さん
かぼちゃのサラダ

おいしさはじけて、お口の中がパン♪プキン♪

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