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機関紙『自治体の仲間』2011年 5月号 Vol.450 住民のいのち、くらしを守る

住民のいのち、くらしを守る

自治労連福島県本部

 東日本大震災により、福島県は、地震、津波、原発事故そして風評被害の四重苦となっています。そこには、自らも被災しながら懸命に働く公務公共関係労働者の姿があります。4月18日〜19日、福島県本部の笠原浩委員長と郡山市職労の影山和哉執行委員の案内で郡山災害対策本部、郡山市の保健師の活動を取材しました。

▲罹災(りさい)証明を発行している郡山災害対策本部
公務労働の役割を再認識
福島県本部委員長 笠原 浩さん

原発事故対策が課題

 笠原委員長は「原発事故対策が大きな課題。放射能汚染など不安な材料がつぎつぎと出され、不安がぬぐいきれない」と語りました。福島第一原発のある浜通り地方12市町村へはいまだに行けない状況が続いています。「町村の役場機能がよそに行くなんて考えられない。地元再建ができるのか、時間が必要だ」と言います。
 中通り地方は、地震による建物被害が多く出ています。

観光・農業・雇用が大変

 笠原委員長は「これから観光業、農業、そして雇用問題など経済面で大変になってくる」と話します。県本部のある郡山市では各地で道路の陥没や断水があいつぎました。地域の核になっている14の行政センター職員が、家にも帰らず夜通し働く日が続き、「あらためて公務員の役割を考えさせられた」と言います。
 現在郡山市役所では、本庁舎の屋上展望室の屋根が全壊して本庁舎そのものが閉鎖となっています。分庁舎と周辺公共施設で仕事をしていますが、「スペースが狭い、職場環境を点検し、改善をしていきたい」と言います。
 また、「今後はふくしま復興共同センターに結集して運動していきたい」と語りました。

▲原発事故に対する今後の課題を語る笠原委員長

東日本大震災…被災地で働く仲間たち

先輩たちの経験と仕事の蓄積
継続性が生きています

 被災者の健康保持のため奔走している浜尾綾子さんは、郡山市の経験20年のベテラン保健師です。1カ月が過ぎた避難所の様子について「みんな疲れが出始めています。風邪をひく人や要介護度が悪化した人もいます。メンタル面にも気をつけ、悩みを訴えている人には専門のカウンセラーの力を借りています」と話します。
 「避難所」での仕事の大変さをうかがったところ「たしかにこんな経験はありません。でも阪神・淡路や中越の震災を経験した先輩たちが教えてくれるので、まるっきり初めてだとは思っていません」と仕事の蓄積と継続性の重要さを語りました。
 浜尾さんも自分の子どものことを考えると、このままこの場所で仕事をしていていいのか悩んだと言います。しかし、それを吹っ切るように「今日はこれから病院の情報を地図に書いて持っていきます」と笑顔で話します。

▲保健師 浜尾 綾子さん(郡山市職労)

住民から「よくやってくれている」
被災者の役に立てるのがうれしい

 郡山市役所前の市民球場におかれている「災害対策本部」では市民相談や罹災(りさい)証明書発行業務を行っています。罹災証明の発行は、人手が足りないので経験者の応援も受けて行っています。経験者の一人、国保税収納課の薄井浩希さんは「現在の申請件数は約7800件。罹災証明の写真を見ると、あらためて被害の大きさを実感します」と語りました。「新しい建物でも地盤が弱いところでは家が傾いており、特に1981年の建築基準法改正前の建物に被害が多かったですね。担当の課ではいま被害状況を把握し、支援策を検討しています」と話します。
 「住民の方から『休みもなく、よくやってくれている』『大変だね』という言葉をいただきました。うれしかったですね」と照れながら話してくれました。「原発事故の問題など不安もありますが、最後まで腹をくくってやるしかないと思っています」と薄井さんは決意をにじませました。

▲国保税収納課  薄井 浩希(ひろき)さん
(郡山市職労)

主張
震災に便乗した地域主権
改革推進、企業優遇「特区」

住民自治を貫き 国の総力をあげた被災者支援と復興を

 大震災と原発事故という困難な事態のなか、「被災者の命とくらしを守りたい」、「地域社会・経済の再生を」という熱い想いで自治体労働者の奮闘が続いています。この想いを共有し、全国から仲間が行政支援やボランティアで被災者を支えています。

 こうした自治体労働者の被災者を支える奮闘をよそに、大震災と原発事故という事態を逆手に取り、一気に構造改革を進めようとする動きが露骨になっています。
 政府の東日本大震災復旧復興基本法素案では、国の復興への責任を後景に追いやり、地方自治体を「住民の生活の再建・地域社会の再生」の「第一義的な権限と責任を有する」として、自治体へ責任を押し付けています。さらに、住民には、「新しい公共」を推進する立場から、「相互共助精神に基づく助け合い」を求め、公務員には復興財源確保を口実に賃下げを強行しようとしています。大震災を利用して、「地域主権」改革の推進と公務員人件費引き下げを推し進めようとするものです。さらに、住み慣れた地域での再建をめざす被災住民の願いに背き、被災自治体の合併促進をめざす議論までされています。
 財界の要求も露骨です。日本経団連は緊急提言で、「道州制の導入も視野に」「復興特区やPFI手法の大胆な活用」を主張しています。御手洗前会長は「道州制の考え方を導入して東北全体を『復興特区』に位置付ける」「大規模な工業団地を整備し、力のある中小企業を集積させて、税制優遇などで企業群全体で復活を目指す」(『日経』4月5日付)としています。経済同友会は、「復興計画は財政健全化の道筋の中に描く」として、消費税増税や、TPPを目玉とする「新成長戦略」を「遅滞なく実行する」ことを迫っています。
 住民のくらしの安定と地域の復興のためには、住民の「住み慣れた地域に住み続けたい」という願い実現のため、集落など生活単位を基礎に、住民自治を保障し住民参画で地方自治体を主体とした生活再建・復興が必要です。
 そのためには、憲法に基づいて国が全面的に復興支援にとりくみ、財政と技術力で地域と自治体を支えることが不可欠の課題です。
 震災を利用した構造改革推進の流れを断ち切り、住民の願いと知恵を集めて、住民自治を何よりも大切にした地域の復興をめざそうではありませんか。


福島を再びとりもどす

ふくしま復興共同センター発足

 3月24日に発足した「東日本大震災・原発事故被害の復旧・復興めざす福島県共同センター(略称・ふくしま復興共同センター)」は、4月6日の東京電力福島地域支援室への申し入れ行動など、復興支援に全力をあげています。自治労連福島県本部の執行委員会では、復興センターとの連携についても話し合っています。


原発事故を早期に収束し、
コミュニティ生かした復興を

 福島県労連内の労組や民主団体でつくる「ふくしま復興共同センター」には、自治労連組織拡大専任者でもある小川英雄さんが事務局としてかかわっています。

原発の情報公開を

 現在の状況について小川さんは、「福島第一原発から半径20キロ圏内のデータを一切発表していない。第一原発の近隣の数値も日を追うごとに発表されなくなった。東京電力と経済産業省は放射能汚染についてのデータを隠蔽している」と告発します。
 「震災から1カ月以上たち、当初5万2000人いた避難者は、今は1万3000人に減りました。原発被害からの避難者は、浜通り地方12市町村の住民が中通り地方や会津地方、さらに県外へと二次避難の段階に入っています。原発がおさまらないと地元に戻れない」と話します。

雇い止めが多発

 雇用の維持がポイントです。「二次避難先の旅館・ホテルで賄いの仕事をしている労働者の解雇など、災害を理由にした雇い止めが深刻です」。さらに、「郡山市、白河市、須賀川市などでは地震の大きな被害が出ています。全体の被害状況を把握するためにも住民票にもとづいた点検が急務です」と強調します。
 今後の活動について、「東電・国そして県へあらゆる補償をせまる要請事項や地域のコミュニティを確立させながら復興していくことが課題」と語ってくれました。

▲ふくしま復興共同センター事務局(自治労連組織拡大専任者) 小川 英雄さん

▲地震で閉鎖となった郡山市役所

復興センターに結集し力あわせて
福島県本部1カ月ぶりの執行委員会を開催

 福島県本部には京都の仲間からの檄布が飾られていました。被災後1カ月ぶりの執行委員会では、みんな元気に顔を合わせることができました。お互いの職場の実態を出し合い現状を共有します。「いつもなら三春町の滝桜ツアーで郡山の旅館もかき入れどきだが、観光客がほとんど来ていない。パートの雇い止めも出ている」「地震の影響で本庁舎が使えず分庁舎では、狭くて環境改善が必要だ。郡山市職労として市長と連名でカンパにとりくんでいる」「学校では、子どもたちは4月中の外遊び禁止。給食が18日からやっと再開された」「県の避難所でノロウイルスが発生。指定管理者の職員や県の職員など混在していて指揮命令系統がハッキリしないこともあって、現場が混乱したようだ」「準備がないなか、浪江町住民が大勢で避難してきた時は一時パニック状態となった。二本松市職労として浪江町職員への激励メッセージの掲示や組合員にカンパを呼びかけた」など、深刻な事態について話し合いました。
 そして、引き続き「復興共同センター」と連携を取りながら、福島県や郡山市、二本松市当局への災害復旧対策への要望書の作成や自治体要請・懇談なども検討することを確認しました。

▲今後の対応について執行委員会で話し合いました

体力仕事と事務でチームワーク発揮

4・22自治労連が岩手で被災地ボランティアを開始

 4月22日から自治労連は市街地のほとんどが津波で流失した岩手県陸前高田市にボランティアセンターを設置。被災地救援活動をスタートさせました。岩手、東京、神奈川の仲間は、民家のガレキの撤去や床下の汚泥のかき出し作業を、埼玉の仲間は、横田中学校・横田小学校の体育館に山積みされた支援物資の仕分け作業を行いました。岩手自治労連の佐藤一則委員長もかけつけ参加者に感謝の言葉をのべました。

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▲ガレキの撤去作業を行う自治労連の仲間

「復旧・復興には国、自治体は
被災者の声を十分に聞いて」

4・14霞が関緊急要請行動

   「早期復旧・復興を!くらしと雇用を守れ!」の要求を掲げて全労連・国民春闘・東京春闘が共催で「4・14霞が関緊急要請行動」を実施しました。国土交通省、厚生労働省、東京電力への要請行動、国会請願デモ、院内集会を行い、700人が参加しました。


被災地の早期復旧、くらしと雇用守る院内集会

 「被災地の早期復旧、くらしと雇用を守る院内集会」を全国災対連の協賛も受け、衆議院第1議員会館で開催しました。主催者あいさつで、大黒作治議長は「被災者の願いを国会に届け、働くルールを確立するために、未来を切り開く一歩にしよう」と呼びかけました。被災地から宮城労連の佐藤春治氏が「石巻に入ったとたん景色が変わり、家が一軒もなく愕然とする。ライフラインの復旧状況も遅れている。復旧・復興には国、自治体が被災者の声を十分に聞いてほしい」と強調。福島県労連の斎藤富春議長は「福島は地震、津波、原発そして風評被害の四重苦です。福島ナンバーの車が給油を拒否されたとの報告もある。原発汚染水の放出も漁業関係者へ事前説明もなかった。着の身着のままで逃げてきたので生活資金も底をついている」と語りました。いわて労連の鈴木露通議長は「構造改革のなかで自治体・医療労働者は減らされ、地域の復旧・復興に必要な人手が足りない。全国の支援をお願いしたい」と訴えました。
 各労組・民主団体の代表から「いち早く対策本部を立ち上げた。4月22日から全国でボランティア派遣を開始する。自治体本来の役割が果たせるよういっそう奮闘する(自治労連)」、「雇い止めが増えている。復興のあり方はその国のあり方を決める(全労連・全国一般)」、「南三陸へ行ったら、現地の人から、こんなに大勢の医師を見たことがないと言われた。最後まで支援をする(日本医労連)」と力強く話しました。

▲「被災者の願いを国会に届けよう」と呼びかける大黒作治議長

「原発・核兵器―私たちの未来」

特別シンポジウム

東電・政府は情報公開を

 東日本大震災から1カ月目の4月11日、東京都内で原水爆禁止日本協議会主催で特別シンポジウム「原発・核兵器―私たちの未来」が開催され300人が参加しました。

 パネリストの一人、日本共産党の吉井英勝衆議院議員は、「原発災害は二重の人災」と話し、「第1は、2005年・2006年に、電源が使えなければ、炉心溶融すると警告したのに政府は対策を取らず。第2は、3月12日から13日に電源が止まったのに早急に手だてを取らなかった。この背景には東京電力、大手ゼネコン、銀行などの原発利益共同体ができあがり、国民の安全より企業利益第一主義に走ったのが最大の原因」と告発しました。
 日本大学専任講師の野口邦和さんは「原子力安全委員会は『約8〜10キロメートルの外側では防護措置は必要ない』と主張したが、この論拠は崩壊した。海洋の放射能汚染は拡大している。放射性核種の種類も濃度も一切公表されていないのは異常。東京電力は公表すべきだ」と厳しく指摘しました。

▲話に聴き入る参加者。フロア発言も目立ちました

Welcome to 自治労連

今日から仲間だよ!

 今年も4月が訪れました。新規採用職員のみなさんへ組合説明会や学習会、先輩からの歓迎メッセージを添えた組合加入呼びかけなど、全国で「新しい仲間増やし」がすすんでいます。熱烈歓迎ムード全開の新採職員歓迎会をご紹介します!


愛媛 新居浜(にいはま)市職労

新採さんに「ラブ注入!!」
アットホームな組合へようこそ

 4月16日、新規採用職員の歓迎会を開催し、90人(新採職員13人)が参加しました。
 手作りの「あいのり組合プロモーションビデオ」を上映後、不二浩道副委員長が「仕事で疲れた時、悩んでいる時も組合に来ればホッとする、そういう場所です。ぜひ加入して一緒にがんばりましょう」とあいさつ。高橋靖委員長の「新居浜市に足りないのは愛!」と、楽しんごの「ラブ注入」で歓迎会がスタートしました。
 今回のメイン「大改造☆笑撃的ビフォーアフター」では、委員長や組合役員がモデルとなり、「普段とは違う私に変身☆服装が変われば性格も変わる(笑)大変身」で会場をわかせました。その他、新採職員紹介やゲームなど、大盛況でした。
 「新採職員のみなさん!私たちと一緒にがんばりませんか?」と、青年部を中心に委員長や先輩が一緒になった手作りの温かい心の詰まった歓迎会は、新採職員に温かい心(ラブ)を注入したはず!
 「ようこそいらっしゃい!」とみんなで迎える組合に、新採職員からも「楽しかったです♪」「和気あいあいとしているのが伝わります!」と、加入届とともにうれしい声が届いています。

▲「新採職員のみなさんにラブ注入!」と歓迎会開始

▲「笑撃的ビフォーアフター」で組合役員たちの貴重な変身ショット

長野 坂城(さかき)町職

笑顔のハイタッチ!
ボウリングで先輩たちと交流

 坂城町職は、4月16日に坂城町新採職員歓迎会を開催しました。本年度は新採職員5人を迎え、ボウリング大会や食べ放題の交流会を27人の参加で実施しました。
 ボウリング大会で最初は緊張の面持ちだった新採職員も、体を動かし、先輩職員と交流することにより、徐々に緊張もとれてきたようでした。見事ストライクをとったあとのハイタッチのときの新採職員たちの輝く笑顔は特に印象的でした。
 ボウリング大会後に行われた食べ放題レストランでの交流会では、新採職員を囲み、大いに盛り上がりました。交流会のなかで行われた新採職員自己紹介では、意外な一面も垣間見え、お互いをよく知るきっかけとなり、5人全員が組合に加入しました。
 ふだん、職場ではあまり接点のない他部署の先輩たちとも交流を深めることによって、よりよい新社会人生活のスタートをきれたのではないかと思います。

▲見事なストライクでハイタッチもハイテンション

大阪府職労 府立病院労組

生きいきと働き続けるため
すべての新採職員と対話をすすめる

 4月9日、大阪自治労連医療部会主催の「新採歓迎バーベキュー大交流会」が、岸和田市牛滝温泉で行われ、大阪府下の自治体病院から100人を超える参加者があり、府職労府立病院労組からは新採職員を含め29人が楽しく過ごしました。
 当日は小雨のなか、バーベキューで暖をとりながら、ミニコンサートや職場紹介などで交流。お肉やビールでおなかがいっぱいになった後の大抽選会では、配属された病院名と氏名を記入するビンゴゲームを行い、新採職員たちは各病院のテーブルを走り回り、景品をゲットしていました。参加者から「他の病院の人とも交流ができてよかった」「組合がどのような活動を行っているのかよくわかった」「人を増やし、年休が取れるようになるなど労働環境が整うよう願っています」の感想が寄せられました。
 4月以降、組合説明会、喫茶店交流、各病院配属後の職場での訴えやランチタイム集会、そして今回の大交流会を通じて新たな加入が生まれています。今後も生きいきと働き続けるために、すべての新採職員との対話を重視していきます

▲元気に楽しく交流、おなかもいっぱいです!

元気の素は機関紙から第18号

京都府職労連『京都府職新聞』

府民目線、職場目線で問題・要求を追いかける

 京都府職労連の機関紙『京都府職新聞』は、4ページだて月2回(10日と25日)発行という現在のスタイルとなってから約10年になります。新年号は8面だてで一番力が入ります。取材を基本に職場訪問、組合員登場など府内を駆け巡ります。日本機関紙協会の「新年号機関紙コンクール」では例年入賞を果たし、昨年は最優秀賞、今年は優秀賞を受賞しています。

 編集部は4人ですが、1人が育休中のため、実働は3人。女性2人、再雇用の超ベテランが1人、今年4月から休職専従の教宣部長という「多彩」な顔ぶれです。佐藤良弘教宣部長は「企画会議の時間がなかなか取れず、遅れがちの作業が常態化しています。発行日が迫り、スピード取材、スピード執筆、スピード出稿という綱渡りです」と編集の苦労を語りました。
 企画会議は、昼休みや時間外に45分程度で済ますことがほとんど。新採を迎える新年度、メーデー、人事院勧告、夏の平和のとりくみ、定期大会、年末確定などといった、年間を通じての節はあるものの、会議では、いま何が職場で問題になっているのか、なろうとしているのか、職員の関心や府民要求とのかかわりなどの角度で議論することがしばしばです。「マンネリにならないよう企画するのは大変だが、府民目線、職場目線を大切に、タイムリーな企画で発行できるよう切磋琢磨していきたい」と佐藤部長の決意が光ります。
 現在は東日本大震災関連の企画がメインになっていますが、『京都府職新聞』でどのように報じられるのか注目したいところです。

▲ときには森吉治委員長(左から2人目)も企画会議に加わります

▲東日本大震災の支援行動を取り上げた3月25日付の1面

自治体労働者の役割と存在の重要性が

茨城・潮来(いたこ)市職

 3月11日におきた東日本大震災によって、茨城県潮来市も被災しました。特に日の出地区は、液状化現象による甚大な被害を受けました。
 霞ヶ浦や利根川など、周囲を水辺に囲まれた水郷潮来。日の出地区は1965年(昭和40年代)に土地区画整理事業・干拓工事により造成された約200haの住宅地で、潮来市の人口の約20%が居住する地区です。地震により地区のほぼ全域で液状化現象が発生、地盤が波打ち、地中の土砂が噴出し、ほとんどの住宅が地盤沈下で傾きました。ライフラインも寸断され、ほとんどの電柱は斜めに傾き、埋設された下水道管や水道管まで地表に露出するなど、想像を絶する光景が目の前に広がっています。

 潮来市役所では、職員に災害復旧の兼任辞令を発令し、日常業務は、市民課・税務課・福祉事務所などの窓口業務のみに縮小し、災害復旧最優先の体制で復旧作業を進めています。

住民生活の復旧・復興のために

 地震直後から多くの市民が避難所に身を寄せ、3月12日には5カ所1753人が避難し不自由な生活を送りました。4月18日現在は9人ですが、余震への不安や、住宅の損壊により不自由な生活を余儀なくされている住民もたくさんいます。職員は避難者の支援、被災者相談窓口の開設、地域への給水、破壊された道路・水道・下水道などのライフライン復旧のため、自治体労働者として昼夜を分かたず活動を続けています。
 災害ボランティア、そして組合に籍を置いていた職員OBなど、さまざまな協力を得ながら早期復旧に努めています。

潮来市職員も被災者健康管理が心配

 峰松剛志副委員長は「震災後、休みは子どもの入学式だけ。都市建設課なので土日も関係なく夜10時過ぎまでつづく復旧作業。日の出地区にある自宅での生活は無理なので、市内の実家に身を寄せている。自宅の修繕は当然後回し」と話します。「長期にわたるライフラインの寸断は、市民にストレスを与えている。組合員は兼任辞令も出されるなかで復旧に全力を注いでいるが、復旧作業の長期化で疲労困ぱいしている」と鈴木秀幸書記長は気にかけています。

「情報交換だけでもいいからあつまろう」

 潮来市職では、復旧作業の長期化と、疲労が蓄積する組合員の健康保持の観点から、労働時間の管理徹底と計画的な作業体制の確立、確実な休日の取得などを当局に要請しています。
 「土木や建設関係課の組合員は、休むことが許されない雰囲気に追い込まれている。組合執行部も顔を合わせるのは久しぶり。せめて昼食時だけでも組合事務所で情報交換をして職員の現状を把握しよう」と岩本英樹執行委員長は組合役員に呼びかけています。
 これまでに経験したことのない大災害が、自治体労働者としての役割と存在の重要性をより鮮明にしています。まだまだ復旧・復興には奮闘は続きます。

 「水郷潮来あやめまつり」は、1952(昭和27)年から開催されている、日本で最も歴史のあるあやめまつりと言われ、今年で60回を迎えます。会場の前川あやめ園も大きな被害を受けましたが、たくさんの方たちの支援を受け、5月21日から6月26日まで、一部縮小して開催する予定です。

▲液状化現象により被災をうけた日の出地区

▲昼休みに茨城自治労連と潮来市職とで懇談


今月の連載・シリーズ

悠湯旅情 第128湯
奇跡の景観と歴史を楽しむ散歩道
岐阜県中津川市
百名山の麓に広がる清流の流れと湯の里に安らぐ

My Way My Life (130)
東京・文京区職労 篠 聡一郎さん
落語はみんなを元気にします

ドキドキ世界見たまま 第131景
トルコ・エジプト
大阪市労組 江川 信雄さん
ピラミッドから独裁体制崩壊まで 衝撃のエジプト旅行

日本列島 おどろき・おもしろミュージアム 第111館
鹿児島県南さつま市 万世特攻平和祈念館
屈託のない笑顔残して戦地へ

たたかってこそ明日がある (95)
非正規・関連の仲間たち
ながの自治体一般栄支部
震災を理由の「解雇」を撤回させる
(長野県・栄村振興公社)