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学童保育(放課後児童クラブ)の「従うべき基準」の廃止に断固抗議する(談話)

日本自治体労働組合総連合

書記長 中川 悟

 安倍内閣は12月25日の閣議で、地方からの提案等に関する対応方針を決定し、「学童保育(放課後児童健全育成事業)」の「従うべき基準」を「参酌すべき基準」にすることを決めた。学童保育(放課後児童クラブ)の「従うべき基準」の廃止は、全国の学童保育関係者が約50年の年月をかけ、子どもたちの権利と安全、そして保護者の勤労する権利を守るために、全国一律の「最低基準」を確立してきた歴史に逆行する行為である。自治労連はこれに対し断固抗議する。

 学童保育(放課後児童クラブ)は、1997年に放課後健全育成事業として法制化され、児童福祉法に基づく公的な事業となった。その後、国が2015年に「1教室に原則2人以上の職員を配置し、そのうち1人は都道府県の講習を受けた放課後児童支援員とすることを『従うべき基準』」として定めた。

 国は、自らが定めたその基準を誠実に守る義務があり、有資格・常勤指導員の専任・複数体制を維持させるため、予算を大幅に増やす責任を有するはずである。そして、なにより公的責任を発揮し、子どもの権利を守り、その生活の場をより豊かにするために十分な施策を行わなければならない。

 しかし、省令制定からわずか3年で、政府は人材確保の困難さや地方団体の要望を口実に、この義務を放棄しようと、「従うべき基準」の廃止・参酌化を一方的に進めることを閣議決定し、来年の通常国会に児童福祉法「改正」案を提出しようとしている。

 自治労連は、地域社会のなかで重要な役割を果たす学童保育には、何より子どもたちの権利と安全が優先されるべきと考え、市区町村に対し「従うべき基準」に責任を持つよう働きかけてきた。これに対し、ひとたび無資格の職員1人体制を許容してしまえば、市町村格差の拡大と子どもたちの安全と質の低下が避けられないと考え、全国学童保育連絡協議会が提起した「学童保育(放課後児童健全育成事業)の『従うべき基準』を堅持することを求める」請願署名を、地域の保護者や住民とともに全国各地で取り組み、短期間で20万8993筆を集め国会に届けた。このことは、仮に「参酌化」されても基準を下げないことを明言する市町村も現れるなど世論を動かし始めている。

 自治労連は、引き続き、子どもたちの権利と安全を守るため、国に対する「従うべき基準」の「参酌化」を許さない取り組みと予算の確保を求め、市区町村に対し条例「改正」をしないよう、保護者や住民と連携し、強く働きかける運動を広げていく。

 

 自治労連は、あらためて政府の動きに強く抗議し、学童保育(放課後児童クラブ)の確立と拡充を図っていくために、以下のことを求める。

① 国は、子どもたちの安全で豊かな放課後の生活を保障するために、学童保育の「従うべき基準」を堅持するとともに、自治体にその堅持を求め、そのための適切な予算計上を図ること。

② 全国的な「人手不足」を抜本的に解消するために、指導員の社会的な身分の確立とそれに見合う処遇改善をすすめること。

③ 子育て支援に関わる予算を大幅に増やし、地域や運営形態による格差・子どもをとりまく様々な格差を無くし、誰もが安心して働きながら子育てができる社会、子どもの権利が保障される学童保育(放課後児童クラブ)の拡充を行うこと。

以上

 

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