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安倍政権による医療・介護総合法案の強行採決に抗議する(談話)

安倍政権による総合法案の強行採決に抗議する(談話)

2014年6月17日

日本自治体労働組合総連合

書記長 猿橋 均

 本日、参議院厚生労働委員会は安倍首相出席のもと「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法案(以下、医療・介護総合法案)」の質疑を行なった。審議途中、安倍首相は退席し、その後、厚生労働委員会委員長は質疑収束を一方的に宣言し、質疑打ち切りのうえ強行採決を行った。衆議院の委員会に引き続くこの暴挙に対し、自治労連は満身の怒りをもって抗議する。

 この法案は、医療提供体制や介護保険制度、医療事故調査制度など、19本もの法律を「十把一絡げ」で提案するという前代未聞の法案であり、その柱は、憲法25条の国民の生存権を保障する責任を政府自らが放棄し、自助・共助を第一にするものである。法案のどれ一つをとっても国民の暮らし、医療、介護の内容に甚大な影響を及ぼす中味であるにもかかわらず、衆議院における審議は、参考人質疑や地方公聴会をのぞくと実質29時間しか行われず、参議院においてもわずか27時間の審議という、与党がいう「審議は尽くされた」とは到底言えない。とりわけ、参議院厚生労働委員会の審議では厚生労働省が作成した資料の誤りが相次ぎ露呈し、たびたび審議がストップする事態が続いた。なかでも6月3日の委員会において、介護保険の利用料を2割に引き上げる根拠として厚労省が提出した「モデル世帯における消費支出データ」が共産党委員の指摘によりその根拠が崩れ、5日の厚生労働委員会で厚労大臣が謝罪のうえ撤回するという前代未聞の事態に陥るなど、この法案が欠陥まみれの法案であることがいっそう明らかとなった。

 自治労連はこの間、「社会保障改革推進法」や社会保障の連続削減(改悪)を定めた「プログラム法」、それに基づく今回の「医療・介護総合法案」に対し、断固反対し廃案を求める運動を全労連を中心として中央社保協や医労連等とともに運動を進めてきた。自治労連が4月に開催した「仕事・職場から憲法を地域にいかす全国交流集会」では憲法に基づく社会保障の拡充を自治体職員と住民の要求として前進させることを確認し、同じく5月末に開催した介護関係労働者の全国交流集会では「医療・介護総合法案」が住民や自治体に与える影響を検証、分析するとりくみも進めてきた。このなかで、医療分野では現在36万床まで進んだ手厚い看護で診療報酬も高い「7:1病床」を2年間で9万床削減し在宅医療へ転換する問題や、介護分野では予防給付のうち「訪問」「通所」介護を保険サービスから外し市町村に丸投げするという国の責任を放棄する問題、特別養護老人ホームへの入所を要介護3以上に制限する問題など、「保険あって給付なし」となるこの法案が圧倒的な住民に影響を及ぼす実態を明らかにし、地域、職場全体に広める運動を全力で展開してきた。自治労連の仲間が取り組んできた「社会保障の充実を求める請願署名」や「夜勤改善で安心の医療、介護の実現を求める署名」など、社会保障の充実を求めた各種署名の総数は既に18万6千筆を超えている。これらの運動を背景として6月に行なった厚労省交渉でも「医療・介護総合法案」の問題点について強く指摘してきた。

 いま、貧困と格差に喘ぐ国民にとって、この「医療・介護総合法案」はさらなる所得再分配の否定であり社会保障制度破壊をいっそう加速させるものである。自治労連はあらためて今回の安倍政権による「医療・介護総合法案」の強行採決を許さず、引き続く秋の臨時国会での廃案にむけて全力で奮闘していく。

以上

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