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子どもの権利を軽視した「子ども・子育て支援法施行規則及び内閣府関係国家戦略特別区域法施行規則の一部を改正する内閣府令案」に対する自治労連保育部会長見解

2017年8月26日

保育部会長 高橋光幸

 8月14日、内閣府は「子ども・子育て支援法施行規則及び内閣府関係国家戦略特別区域法施行規則の一部を改正する内閣府令案」を公表し、意見募集(パブリックコメント)を開始しました。期間は8月14日から9月12日までとなっています。

 その内容は、国家戦略特区内において小規模保育事業の入園対象年齢を0~5歳に拡大する特例措置を設けるために子ども・子育て支援法施行規則と内閣府関係国家戦略特別区域法施行規則の一部を改正するというものです。

 小規模保育事業は、待機児童が多い0歳児から2歳児までを対象とし、定員は6人から19人までとして、マンションの一室や商店街の空き店舗を活用して実施し、3歳児からは連携施設に通えるようにするもので、2015年4月の子ども・子育て支援新制度の施行に合わせて実施された事業です。2017年4月現在で全国に2429か所設置されていますが、2016年4月には定員19名から22名まで拡大してよいとする規制緩和が行われました。今回の措置はそれに続くものです。

 2016年にNPO法人全国小規模保育協議会が実施した「小規模認可保育の経営課題調査」では、「早朝・夜間の人員配置が難しい」「十分な人数の保育士・保育者を採用するのが難しい」「3歳以降の受け皿としての連携施設がみつからない」などの課題が浮き彫りになりました。さらに、3歳以降の受け皿となる連携施設の確保については、「認可保育所を設定している」と回答した施設が53%あったものの、「まだ連携施設を設定できていない」と回答した施設は32%にものぼりました。それが今回の「改正」の理由です。

 施行から3年もたたない間に2度も規制緩和が行われるということが、制度そのものの問題を露呈しています。そもそも、待機児童の多い0歳から2歳を保育する施設を、設置も撤退も簡単にできる上、B型(無認可保育施設からの移行)は有資格者の割合が半分でよく、企業が参入しやすい仕組みという安直なやり方が、度重なる規制緩和を行わざるを得ない状況を作り出した原因です。そして、そのつけは、そこに通う子どもに回ってしまうのです。

 0歳児から2歳児でも園庭など動き回れるスペースは必要ですが、3歳以上児であればなおさらです。また、0歳と2歳児でも発達に大きな差があり、遊び方は全く異なりますが、3歳以上児であればこれもなおさらです。また、3歳以上児にすこやかな発達を保障するには同年齢の集団の中で協力し合ったり競い合ったりすることが必要不可欠です。しかし、0歳から5歳までの小規模集団の中ではそれも叶いません。

 このような制度上の不備によって、子どもの発達が脅かされることなどあってはならないことです。待機児童の解消は、公立保育所を含む認可保育所で行うべきであり、小規模保育施設の規制緩和などという子どもの権利を軽視した施策に反対します。

以 上

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