13人事院「報告」に対する声明

 8月8日、人事院は、民間賃金と国家公務員との「実際に支給されている賃金との較差(7.78% 29,282円)」ではなく、名目上の「俸給表上の賃金との較差(0.02% 76円」がごくわずかであり、また、一時金についても、支給月数は均衡しているとして、月例給・一時金ともに今年度の勧告を見送った。
 人事院が、当然行うべき給与改定を行わないということは、昨年に続いて、人事院勧告制度を無視して強行されている国家公務員の賃金削減措置を容認したものであり、「労働基本権制約の代償措置として社会一般の情勢に適応した適正な給与を確保する」とした人事院勧告制度本来の機能を放棄することにほかならない。
 人事院は、非常勤職員の賃金についても、何ら改善の方向を示していない。さらに報告では、今後、公務員賃金の水準や制度を引き下げることを示唆する「給与制度の総合的見直し」に言及した。
 アベノミクスが、労働者・国民には何ら利益をもたらさないものであることが明らかとなってきた今、直接的に600万人を超える労働者の賃金に影響を与える国家公務員賃金をさらに抑え込むことは、「すべての労働者の賃上げで景気回復をはかる」との国民的な世論の高まりから目をそむけるものである。
 厳しい人員削減のもとで、被災地の復興をはじめ、全国で奮闘を続ける公務労働者を顧みず職務を放棄・逸脱する人事院に対し、自治労連は強い抗議の意思を表明する。

非常勤・再任用の処遇改善は急務

 非常勤職員の処遇については、今年の交渉においても、「平成20年に定めた指針に基づき、適正な処遇が図られるよう努める」とし、休暇についても「引き続き民間の動向に注視して適切に対処する」などの回答にとどまり、具体的な改善を見送った。安倍内閣による最賃引き上げ要請の趣旨を踏まえれば、真っ先に改善すべきであるのは言うまでもない。
 同様に、定年退職後の再任用職員の賃金改善も先送りされた。この4月から段階的な年金支給開始年齢の引き上げが進められ、退職後の無年金という現実に直面しようとしているもとで、民間における実態を口実にして勧告を先送りすることは許されない。まず公務が率先して生活できる高齢期雇用の拡充をはかるべきである。

差別と分断を拡大する「給与制度見直し」

 人事院が本来の役割を放棄する一方、報告には、その役割を逸脱した数々の問題点を指摘せざるを得ない。
 報告に盛られた「給与制度の総合的見直し」は、2005年の給与構造改革で進められた公務労働者の賃金抑制策の強化であり、なお存在する官民較差の解消に向け、①民間の組織形態の変化への対応、②地域間の給与配分の見直し、③世代間の給与配分の見直し、④職務や勤務実績に応じた給与、を行うというものである。
 「賃金構造基本統計調査」で民間賃金が低い12県をあえて比較することは、地方でいっそうの賃金水準の低下を意図したものであり、年齢や職種による賃金格差の拡大とあわせ、公務員賃金の生計費原則や職務給原則を否定し、公務の賃金制度に更なる差別と分断を持ち込むものである。
 現業労働者の賃金を、業務委託のもとで低賃金が押し付けられている民間賃金に準拠することに加え、「現業労働者をいっそう削減する必要」まで踏み込むに至っては、人事院の権限を逸脱するものと言わざるを得ない。

労働基本権回復先送りの「公務員制度改革」

 さらに国家公務員制度改革等に関する報告では、6月に政府方針として決定された「国家公務員制度改革」に関わって、内閣人事局設置にともなう人事院の機能移管等についての論点・留意点を示すとともに、能力業績に基づく人事評価制度の強化についても言及した。
 一方で、公務員の労働基本権回復へ向けた「自律的労使関係制度」については、「未だ国民の理解は得られない」としている。これらは、「給与制度の総合的見直し」とあわせ、自民党の「行革推進本部・中間とりまとめ(2013年5月28日)」にある「公務員制度改革」に沿ったものである。人事院が第三者機関として、政権与党が進める「時の政権に奉仕する公務員づくり」の圧力に屈することなく、あくまで労働組合との合意に基づく制度確立を求める。

闘いの到達点に確信を

 この春から夏、全国の自治体労働組合は、政府による不当な賃金削減の強制に対し、「国の言いなり」は許さない画期的な到達点を築いた。このたたかいの背景には、全労連・国民春闘共闘を中心にたたかわれてきた「すべての労働者の賃上げで景気回復を」の運動の広がりと、「地方自治・地域破壊は許さない」とする自治体首長や議会の強い怒りと危機感の広がりがあった。

 自治労連は、このたたかいに示された国民的な願いを受け止め、地方・地域の共同の力の発展で、公務全体にかけられている賃金削減攻撃をはね返し、地域の最賃をはじめ、景気回復につながる公務・民間すべての労働者の賃金改善を進めるとともに、地域経済の再生、憲法がいきる地域社会実現のため、全力を尽くすことを表明する。

2013年8月8日
日本自治体労働組合総連合 中央執行委員会