2012年6月11日

野田首相の「大飯原発再稼働表明」に断固抗議する


日本自治体労働組合総連合
書記長 猿橋 均

 福島第一原発事故の収束がはかられないまま、新たな「安全神話」・脅しでの原発再稼働は断じて許せない

 6月8日夕刻、野田首相は会見で、「夏場の電力需要のピークが近づき、結論を出さなければならない。判断基準は国民生活を守ることとしながら、国民生活を守ることの第一の意味は福島のような事故を決して起こさないこと。第二の意味は、①国民生活を守るため、関西電力大飯原発3・4号機を再稼働すべきというのが私の判断。②東京電力福島第1原発事故時のような地震・津波でも事故防止は可能と認識。③今、原発を停止すれば日本社会は立ち行かない、夏季限定の再稼働は否定。と、再稼働実施にむけての最終判断を示した。そして、福井県の同意を得て16日にも大飯原発再稼働を正式決定しようとしている。

 原発輸出を含む原発政策を推進する財界の要請に応えて、政府は昨年12月16日、事故原因の究明も原子炉の状況把握も行わないまま「事故収束宣言」をおこなった。今回の首相の再稼働表明はこれに続くものである。

 しかし、首相の発言では、福島原発の事故原因には触れておらず、また「安全基準には絶対というものはない」と言いながら、新たな規制機関の発足で安全基準を見直すまでの間、「特別な監視体制を構築する」として「暫定的な安全基準」を合理化している。そして、電力不足によって、命の危険にさらされる人、働く場を失う人が出て日常生活や経済活動に支障が出ることなどを例に、脅しによる原発再稼働をすすめようとするものである。

 福島原発事故の原因を調査する「原発事故調査委員会」の黒川委員長は、野田首相が記者会見で大飯原発再稼働が必要だと国民に理解を求めたことに対し、同日の記者会見で、「国家の信頼のメルトダウン(炉心溶融)が起きているのではないか。理解できない」と述べ、衆議院で審議入りしている原子力規制機関の設置法案について「国会から委託された独立した調査の報告を何で待たないのか、プロセスが私には理解できない」と批判している。

 6月8日午前、自治労連がおこなった経済産業省との要請行動の場で、「電力不足を理由とした関西電力大飯原発3・4号機の再稼働を行わないこと」との要請項目に対して、対応した職員は、「菅首相の脱原発という方針は、野田政権にも引き継がれている。中長期的なことと、短期的なことを切り離して、まずは安全性。それが確認された上で、その原子力が必要なら再稼働を考えるということで、電力不足がまずありきではない」と政府の姿勢を示したが、首相の再稼働表明の判断基準とも矛盾をするものである。

 ひとたび事故が起これば、国民生活を守るどころか、生活基盤を根本から失い、放射能汚染によって広範囲に甚大な被害をもたらすことは、福島原発事故の実態から見てもあきらかである。福島の被災自治体からは強い憤りの声があがっている。国民生活を守るというのであれば、原発ゼロを決断し、再生可能エネルギーの推進に向けて政策をすすめることに全力をあげるべきである。

 原発再稼働に反対する多くの国民の声に背を向け、福島原発事故でいまだ避難生活を余儀なくされ、子どもたちの将来に不安を持って暮らしている人々の気持ちを踏みにじり、電力業界・財界の利益を最優先した判断は許されるものではない。

 自治労連は、野田首相の大飯原発再稼働表明に断固抗議するとともに、引き続き「再生可能エネルギー」の推進によって、安全・安心な自治体建設をめざし、原発再稼働に反対する広範な国民と共に「原発ゼロ」に向けて奮闘する決意である。

(以上)