総務省「地方公務員の臨時・非常勤職員及び任期付職員の任用等の在り方に関する研究会報告書」について(談話)

2017年1月5日
書記長  中川 悟

 総務省は12月27日、「地方公務員の臨時・非常勤職員及び任期付職員の任用等の在り方に関する研究会報告書」(以下、「報告書」)を公表した。
 「報告書」では、任用上、処遇上の課題があり、その対応として、「①特別職非常勤職員を『専門性の高い者等(委員・顧問等)に限定』、②成績主義の特例である臨時的任用職員を国と同様に、『常勤職員(フルタイム)の代替』に限定、③一般職非常勤職員の『採用方法・服務規律等の新たな仕組み』を明確化し、労働者性の高い非常勤職員は一般職非常勤職員として任用」、そして、「一般職非常勤職員について期末手当などの手当の支給が可能な制度に見直」すよう提言を行った。
 そして、これら制度改正について、「立法的な対応か、通知等による解釈の明確化を両論併記し、可能な限り立法的な対応をめざし検討」するよう総務省に求めている。
 「報告書」が、非常勤職員への手当支給を明確にする法改正を提言したことは、自治体非正規雇用労働者の勤務条件改善を求めてきたすべての労働者・労働組合の取り組みと、野党による地方自治法改正案の提出など、世論と運動の反映であり、ただちに改善すべきである。
 同時に、「報告書」は、政府のすすめる「働き方改革」に沿い、本来、「任期の定めのない常勤職員」(以下、「正規職員」)として任用すべき職に、安上がりの労働力として「一般職非常勤職員」を位置付けたに過ぎず、非正規雇用の濫用・温存を前提とした提言と言わざるを得ない。
 第一に、「任期の定めのない常勤職員を中心とする公務の運営」としながらも、現状の臨時・非常勤職員の職のすべてについて個別の検証を行うなかで、「正規職員」として職を設定することを前提としていない。また、「働く側からも様々な働き方へのニーズがある」というならば、短時間に設定することが「効率的」な職としての「均等待遇に基づく任期の定めのない短時間一般職公務員制度」を積極的に検討すべきである。
 第二に、正規職員が行う本格的業務について、「典型的には組織の管理・運営自体に関する業務や、財産の差押え、許認可といった権力的業務など」と例示しているが、「正規職員」の職をこれまでより限定的に捉えているものである。また、拡大解釈によって任期付職員制度を恒常的業務に充てることは許されない。
 第三に、特別職から一般職への移行が何の問題もないかのような認識であるが、現在協議中の自治体においても職の内容に変更がないにもかかわらず、手当・制度の適用要件を満たさないよう、勤務時間短縮が提案されているのをはじめ、勤務条件の一方的変更などが起こっている。加えて、任用根拠の見直しを口実とした権利侵害は許されない。そもそも、地公法17条よる任期付任用は、最高裁で「必要とする特段の事由」があり、かつ「身分保障の趣旨に反しない」場合に限定的に許されると判断されている点を考慮すべきである。
 第四に、何度も更新して長期にわたって働いていても、民間の労働契約と違い、雇用継続に合理的期待を生じさせないために、引き続き「再度の任用」という定義で、自治体当局が使い勝手よく、いつでも使い捨てできる労働力として、臨時・非常勤職員を位置付けている。
 第五に、総務省調査での労基法違反の実態、「法の谷間」としての不利益取り扱いがあるもとで、直ちにその是正を図るべきであり、そのための具体的措置を政府・自治体に求めるべきである。
「一般職非常勤職員制度の新たな仕組みの整備」として、任期について、これまで「原則1年」としていたものを「最長1年」としているが、財源の裏付けがなければ、今後、新たな雇い止めが発生しかねない。また、提言の多くが立法措置または通知等による運用改善という形の両論併記にとどまっているが、これまで二度の総務省通知においても、その是正が着実にすすめられてこなかったことに立脚した対応が求められる。あわせて、制度改正を行った後、各自治体における「具体的な実施に向け2年程度の準備期間を設けることが必要」としているが、総務省による条例整備などの支援をはじめ、地方財政が厳しいなかで、その着実な実施を保障する財源確保を図ることも求められる。
 総務省はこれらの点について、労働組合からの意見に誠実に対応し、今後の検討をすすめるべきである。
 自治労連は、今回の報告書での労働条件改善に結びつく点をできる限り法改正として実現させるために、「臨時・非常勤職員の労働条件改善を求める国会請願署名」を職場・地域から取り組んでいく。そして、自治体直雇用だけでなくすべての非正規雇用労働者の雇用の安定、労働条件改善を求める運動と世論をいっそう広げていく。また、手当支給にかかる法改正が実現した場合でも、支給される給料・手当の水準等については各自治体での労使交渉によって決定されることになる。任用根拠見直しでの労働条件低下を許さないための取り組みも必要となってくる。そのためにも、自治体非正規雇用労働者の組織化を強め、「10万非正規公共」の実現のために奮闘する。                                                              

                         以上