国の責任を放棄する「地方分権改革」に対し、憲法をいかし、社会保障と地方自治を拡充するために奮闘する
第3次一括法の公布にあたって(談話)

2013年6月21日
日本自治体労働組合総連合
書記長 猿橋 均

 政府は6月7日、「地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律」(第3次一括法)を国会で成立させ、6月14日付で公布した。

 その内容は、74にわたる法律を一括改正し、「通知・届出・報告の見直し」「公示・公告等の見直し」「職員等の資格・定数等の見直し」「都道府県から市町村への権限移譲」など、国民のくらし、福祉、安全に関わる基準を緩和・廃止して、地方に委ねるものになっている。
 74もの法律を一括して十分な審議時間を取らず、また2011年に成立した第1次、第2次一括法の実施により国民のくらしや自治体の現場で起こっている問題をまともに検証することなく、国会で強引に成立させたことは問題であるといわなければならない。

 第1次、第2次一括法に基づく「義務付け・枠付けの見直し」「都道府県から市町村への権限移譲」により、自治体の現場では、保育や福祉など最低基準の引き下げ、予算・人員不足による住民サービス低下などの問題が起こっている。

 保育の面積基準をめぐっては、国が緩和を認めた東京都や大阪市で最低基準を引き下げる条例化が強行された。その一方で、全国13の政令市や多くの中核市で国を上回る基準で面積や保育士配置の条例化を実現した。日本弁護士会が保育の最低基準引き下げに反対する声明を発表するなど、国のナショナルミニマム保障責任を追及する世論は広がりつつある。

 都道府県から市町村への権限移譲では、自治労連が実施した市町村ヒアリングで「行革(集中改革プラン)で人が減り、専門職員が必要な事務では人員の確保が難しい」「年に1回あるかないかの事務もあり、ここに専門職員を配置するのはかえって非効率だ」などの意見が出され、予算や人員が確保できない市町村では、事務を縮小したり、民間委託をするなど住民サービスが低下する問題が生まれている。

 自治労連はこれまで、政府の進める「地方分権改革」が、憲法第25条で保障された生存権保障に対する国の責任を放棄するものであることを指摘し、福祉や保育、安全など最低基準の後退を許さないために全労連・民主団体などと要求行動を実施してきた。

 国の出先機関の廃止の動きに対しては、「地方を守る会」など多くの自治体首長とも共同を広げてきた。第1次、第2次一括法による地方条例化でも、最低基準の後退を許さず、住民の要求をふまえて拡充させることを要求して地域で共同を広げてきた。都道府県から市町村への権限移譲では、移譲を受ける自治体現場の実態をヒアリングなどで調査し、住民サービスに必要な予算・人員の確保を求めて闘ってきた。

 内閣府の地方分権改革推進室は6月4日に行った自治労連との交渉で「今回の第3次一括法をもって、地方分権改革推進委員会から勧告があった事項についての処理は終了した」としている。
 しかし、政府の「規制改革会議」や全国知事会は保育の最低基準のさらなる引き下げをはじめとした規制緩和を求めている。国の出先機関の廃止・地方移管も内閣府の地方分権改革推進本部で現在検討が進められている。
 自治体において住民のいのちと安全を守る最低基準や規制を守ると同時に、国の責任放棄を許さず、憲法に基づくナショナルミニマム保障の責任を追及するたたかいが求められている。

 自治労連は、第3次一括法の公布にあたり、地方自治体での具体化を許さないたたかいを進めるとともに、憲法を生かし、社会保障と地方自治を拡充させるために、幅広い国民との共同を広げて奮闘するものである。

以上

(参考)
 第3次一括法で改正された主な内容~内閣府資料より

(1) 通知・届出・報告、公示・公告等
・農地利用規程の認定に際し公告義務を廃止
・宅地造成工事規制区域の指定の大臣への報告義務を廃止

(2) 職員等の資格・定数等の見直し
・消防長及び消防署長の資格の条例委任
・私立学校審議会の委員定数の廃止
・児童福祉審議会、都道府県建築士審査会等の委員定数の上限の廃止

(3) 地方からの提案等に係る事項

① 義務付け・枠付けの見直し
・地方独立行政法人の合併手続きの円滑化等
・地方青少年問題協議会の委員資格要件の廃止
・鳥獣保護区における特別保護地区の再指定等に係る環境大臣の協議の届出化

② 都道府県から基礎自治体への権限移譲
・高度管理医療機器(コンタクトレンズ等)販売業等の許可等の権限を、保健所設置市及び特別区に移譲
・市街地再開発事業における事業認可権限等を指定都市等に移譲

(4)施行期日

① 直ちに施行できるもの→公布の日(平成25年6月14日)
② 政省令等の整備が必要なもの→公布の日から起算して3月を経過した日
                      (平成25年9月14日)
③ 地方自治体の条例や体制整備が必要なもの→平成26年4月1日