2011年7月25日

看護師等の「雇用の質」の向上のための取り組みについて通知を歓迎し、安全・安心の医療体制の構築に向けた取り組み

日本自治体労働組合総連合
書記長 猿橋 均

1、厚生労働省は「看護師等の『雇用の質』の向上に関する省内プロジェクトチーム」を設置し、取りまとめを各都道府県の知事と労働局長、各団体の長に対し5局長の連名で通知した。

昨年6月に閣議決定された新成長戦略では、医療・介護・健康関連産業は、日本の成長牽引産業として位置づけられ、質の高い医療・介護サービスを安定的に提供できる体制を整備することとしていた。

看護師等(保健師、助産師、看護師、准看護師)は、厳しい勤務環境に置かれている人も多く、特に、その多くが夜勤を含む交代制を伴う勤務を行っている病院勤務の看護師等について、「雇用の質」の向上が喫緊の課題となっている。そこで、看護師等の勤務環境の改善等にむけた医療界の主体的取り組みが幅広く展開され、効果的に促進されるよう、昨年11月に、厚生労働大臣の指示により、「看護業務が就業先として選ばれ、健康で生きがいを持って能力を発揮し続けられる職業」となるために、厚生部局と労働部局とが共通認識を持ちながら「職場づくり」「人づくり」「ネットワークづくり」に取り組むこととする報告書をとりまとめたものである。

2、内容は看護師等の勤務環境等の現状課題では、就業状況、労働時間、業務の効率性、多様な働き方、キャリア形成の構成になっている。

労働時間の改善では、労働時間管理者を明確化し、労働者の健康と生活に配慮し、多様な働き方に対応したものへ改善する。具体的な改善策として、交代制への運用面の工夫を行い、複数月8回内の夜勤体制を基本とし、十分な勤務間隔の確保を含め、より負担の少ない交代制に向けた取り組みが望まれるとし、労働時間等の設定改善への積極的な取り組みを促すとし、労働時間への改善に踏み込んでいる。しかしここで問題なのは1労働8時間を明記せず、長時間夜勤問題について触れていないことにある。

また多様な働き方については、短時間正規雇用の導入、出退勤時間の柔軟化、院内保育所の設置等多様な働き方を支える制度整備と利用しやすい職場の風土作りが求められるとしている。しかしここでも問題なのは、公務員看護師に対し、地方公務員法等の整備が明確でなく短時間雇用制度の裏付けがないことにある。

3、  こうした報告書が出された背景には、看護師の離職率が高いことにより、潜在看護師が増大し、現場での人員不足に拍車をかけていることにある。自治労連の「看護職員の労働実態調査」でも明らかなように、労働実態の厳しさが露呈し、多くの設問での回答で人員不足が大きな問題になっている。今、緊急に求められることは「働き続けられる労働条件」の確保と新たな人材の育成である。またこの報告にリンクするように看護協会も「夜勤の負担軽減と長時間労働の是正をめざして」の提案を行っている。「新成長戦略」で医療・介護・健康関連産業が「日本の成長牽引産業」と位置づけされていることは大きな問題ではあるが、看護師の労働条件の改善を全面に打ち出したこと、看護協会も同目的の提案をしていることは大きく評価することができ、地道に地域医療確保に向け、看護師増員闘争を行ってきた成果である。こうした施策と世論の評価を的確にとらえ、医師・看護師・医療従事者を増やし、安全・安心の医療体制の構築に向け運動の強化を進めよう。

(以上)