生活保護改悪2法案の成立に断固抗議する!

(談話)

2013年12月10日

日本自治体労働組合総連合

書記長 猿橋 均

 

 生活保護が必要な人を保護から遠ざけ、憲法25条の生存権を空洞化する生活保護法の「改正案」、および生活困窮者自立支援法案が12月6日の衆議院本会議で、自民、公明、民主、維新、みんな、生活の党の賛成多数により可決・成立した。この2つの法案は、5日に自民、公明の賛成で可決・成立した、社会保障制度改悪の方向と工程を盛り込んだ社会保障プログラム法とともに、国民の命と健康、生活をささえる土台である社会保障の根幹を揺るがすものである。これらの国民の犠牲と痛みを強いる法案をわずかな審議時間で、会期末に数の力で強行に採決をした自民、公明をはじめ、法案に賛成したすべての政党に対し断固抗議するものである。

 

 生活保護法の一部「改正」法には、①違法な「水際作戦」を合法化し、②保護申請に対する一層の萎縮的効果を及ぼしかねない法文となっている。ところが、国会審議の過程において政府は、申請の際に申請書及び添付書類の提出を求める「改正法」第24条については、①従前の運用を変更するものではなく、申請書及び添付書類の提出は従来どおり申請の要件ではなく、②福祉事務所等が申請書を交付しない場合も、但し書きの「特別の事情」に該当する、③給与明細等の添付書類は可能な範囲で提出すればよく、紛失等で添付できない場合も、但し書きの「特別の事情」に該当すると説明し、従来の実務と変わりがないと答弁した。また、扶養義務者に対する通知義務の創設や調査権限の拡充を定めた「改正法」第24条8項、第28条及び第29条については、明らかに扶養が可能な極めて限定的な場合に限る趣旨であるとの答弁をしている。そのうえで、これらの趣旨を厚生労働省令等に明記し、保護行政の現場に周知する旨、繰り返し答弁してきた。

 しかしながら、改正法の法文がひとり歩きし、違法な「水際作戦」が助長、誘発される危険性が払拭されたとは到底言い難い。そのため、参議院厚生労働委員会では、附帯決議として「いわゆる『水際作戦』はあってはならないことを、地方自治体に周知徹底する」等の指摘がなされた。そして、厚生労働大臣は、審議の過程で、生活保護受給者数、人口比受給率、生活保護開始率、餓死・孤立死等の問題事例の動向を踏まえ、問題があれば5年後の見直しの際に十分に考慮する旨の答弁をし、同旨の附帯決議もなされている。また審議の過程で、長野市など全国の福祉事務所の約3分の1が、扶養義務を生活保護受給の「要件」とする違法な通知を使用していた実態も明らかとなっている。国民の権利である生活保護の利用が抑制され、餓死・孤立死・自殺等の悲劇が増加することはあってはならない。

 

 私たち自治労連は、生活保護を担当する自治体職場の労働組合として、申請書を交付しない、添付書類がそろわない限り有効な申請とは扱わない、扶養義務者への援助を求めて門前払いする等の、申請権を侵害する違法な運用を拡大させず、国民の生存権を擁護する立場で、生活保護事務を執行すべきものと考える。

 今、求められているのは、制度の利用資格がありながら利用できていない膨大な「漏給層」をなくすことである。

 

 自治労連は、生活保護制度の「捕捉率(制度の利用資格のある者のうち現に利用できている者が占める割合)」を高め、憲法第25条の生存権保障を実質化するため、真にあるべき生活保護制度の改善・運用に向けた取り組みを、より一層強化する決意である。

 

以上