2012年1月30日

日本経団連・経営労働政策委員会の報告について


日本自治体労働組合総連合
書記長 猿橋 均

日本経団連は、1月23日、財界の春闘対策である経営労働政策委員会の報告を発表した。内部留保を266兆円もため込んでいることには一切ふれることなく、「ベースアップは論外」などと生活改善を願う労働者・国民の切実な要求に背を向けている。自治労連は、こうした姿勢に強く抗議するとともに、賃上げによる内需拡大こそが日本経済を活性化させ、国民生活改善への唯一の道であるとの立場から、あらためて12春闘を全力でたたかうことを表明する。

報告は、人件費や法人税・社会保険料など企業負担の大きさ、市場開放の遅れ、労働規制強化などが企業の競争力を弱めているなど、事実を歪曲した理由を並べたて、さらに大震災が経済活力を低下させたとして、賃金抑え込み、企業負担軽減、TPP参加、労働法制の更なる規制緩和を求めている。春闘に対しても、労使交渉を「国際競争力を高めるための知恵を出し合う」機会とまで言い切るなど、傲慢な態度に終始したものである。

同時に、連合加盟の大企業労組の多くが、財界の言い分に迎合し、春闘をたたかう前から賃上げ自粛の方針を掲げていることなど、その足元を見透かした態度でもある。また、さらなる賃下げ誘導を図るために、昨年6月以来、一度も審議すらできなかった国家公務員の大幅賃下げ法案を強行させようと、政府や国会に圧力をかけたものに他ならない。

報告は、労使間で見解が異なる論点に対する経営側の主張として、労働政策の動き、最低賃金、個人消費の停滞と賃金の関係について、ここでも手前勝手な論理を展開している。

派遣労働の原則自由化など労働諸法制の規制緩和は、日本社会に深刻な格差を生み出した。一方で正規の労働者には果てしない長時間過密労働が課せられ、メンタルヘルス不全が広がっている。報告は、こうした現実には目もくれず、さらなる規制緩和、賃金の個別化、ホワイトカラーの労働時間規制適用免除まで要求している。労働者派遣法の抜本改正、有期労働規制、均等待遇へ向けたパート労働法改正等は、格差社会に対する国民的な批判に応えるものであり、EU諸国にとどまらず、国際的な基準にそったものである。低賃金・長時間労働・使い捨ての労働力を背景に内部留保のため込みを続けている大企業が、「雇用確保」を口実にこれらの改善に背を向けることは到底許されるものではない。

「最低賃金引き上げは中小零細企業の存続をおびやかす」というが、賃下げと同様に、極限まで下請け単価の引き下げを強要して、大きな利益を上げているのは大企業ではないのか。地域経済再生のためにも、中小企業に利益を還元すべきことは言うまでもない。

「賃金を上げても貯蓄に回るだけで個人消費の拡大にはつながらない」というが、賃下げや解雇への不安とともに、社会保障切り下げの一方で、止めどない国民負担増が言われるときに、庶民が家計を切り詰めて少しでも貯蓄に回そうというのは当然のことである。こうした時にこそ、賃金引上げ、安定雇用をはかることが、個人消費を高め経済を活性化させることは、多くの経済の専門家も指摘している。

自治労連は、大企業が膨大な内部留保をため込む構造を改め、震災復興をはじめ、労働者・国民に対する社会的責任を果たすことを強く要求する。大企業がこの要求にこたえるよう、民間労働者と団結を固め、また、地域の中小商工業者等との共同や国民的な世論を広げ、12春闘をたたかうことを決意するものである。

(以上)