2018年2月6日

書記長 中川 悟

 安倍内閣は2月6日、2018年度地方財政計画を閣議決定した。地方の一般財源総額は、税収増を見込んで前年度を356億円上回る62.1兆円を確保しているが、地方交付税は前年度比3213億円減の16.3兆円と、6年連続の削減となっている。臨時財政対策債は前年度より587億円減少して3兆9865億円としている。地方の財源不足は前年度より7927億円減少して6兆1783億円となっているが、依然として厳しい状態が続いている。地方交付税は、地方自治体の財源を保障し、財源格差を調整する役割を担うものであることから、政府には法定率の引き上げをはじめとした抜本的な制度改正を行うことが求められる。

 

 財務省は、2018年度の予算編成において、地方自治体が基金の積立を増加させていることを理由に地方交付税をさらに削減しようとしていたが、地方財政計画では、地方交付税について「地方の基金残高の増加は影響していない」としている。基金は、国がまともに地方財源を保障しないもとで、公共施設の老朽化対策や大規模な災害に対応するために、地方自治体が「爪に灯をともす」努力をして積立てているものである。基金の積立を理由にした地方交付税削減の動きに対して、自治労連は全国知事会をはじめ地方団体に共同の申し入れを行い、地方団体も国に対して強い抗議の声をあげていた。今回の削減見送りは、地方の声が反映されたものであるが、財務省は今後も「基金の積立状況について情報の公開と内容の説明を求める」としている。基金の積立を理由にした地方交付税の削減を許さない共同を引き続き広げていくことが求められる。

 

 地方交付税のトップランナー方式については、政府の「経済・財政計画」の改革工程表に沿って、学校用務や給食、清掃、青少年教育施設管理、公立大学運営など18業務に導入している。窓口業務について、2018年度の導入は見送られたが、「今後の民間委託の進捗状況等を踏まえて引き続き導入を検討する」とし、野田総務大臣は「平成31年度(2019年度)の導入を視野に入れて検討する」(経済財政諮問会議2017年12月1日)と発言している。また、複数の自治体の窓口業務を一括して地方独立行政法人に行なわせることができるようにした「改正」地方独立行政法人法が本年4月から施行される。自治労連はこの間、国に対して地方交付税の財源保障機能を損なわせるトップランナー方式の廃止を求め、地方団体にも同方式に反対する共同を呼びかけてきた。地方団体も「地方交付税の財源保障機能が損なわれることがあってはならない」と国に要請をしている。引き続きトップランナー方式の廃止と、窓口業務のアウトソーシングを許さないたたかいを進めることが必要である。

 

 地方公務員の人員については、給与関係費における地方財政計画上の職員数について、一般職員(教職員、警察官、警察事務職員及び消防職員を除く職員)を前年度より3149人増員し、消防職員も前年度より500人増員をしている。また、児童虐待防止対策の強化を図るためとして、児童福祉司の地方交付税措置について、2016年度および2017年度の2年間で道府県の標準団体で5名増員したことに加え、2018年度はさらに1名増員するとしている。生活保護担当現業員について、道府県の標準団体で1名増員をしているが、生活保護世帯数が増加して「貧困と格差」が深刻化している現実を反映したものであることを直視しなければならない。

 東日本大震災の被災団体等の職員及び東日本大震災の被災団体等に現に派遣されている職員に係る経費については、引き続き、震災復興特別交付税を措置するとしている。

 地方公務員における若干の人員増は、これまでの人員削減による公務公共サービスの低下が社会的な問題となってきたことや、人員増を求める自治労連と住民の共同したたたかいが一定反映されたものであるが、職場の実態からすれば極めて不十分である。職場の長時間過密労働、健康破壊、人員不足による公務公共サービスの低下は依然として深刻であり、地方自治体が業務に必要な人員を確保できるように、国は抜本的な財政措置を行うことが求められる。

 消費生活相談員の人件費を含む消費生活センターの運営費等は、消費者庁の地方消費者行政推進交付金の活用期間終了後は、地方交付税で措置することとされている。使途が特定されていた交付金が、地方交付税で一般財源化されることにより、地方自治体では消費生活相談員の人件費に財源が回されず、雇い止めが発生するおそれがある。地方交付税による財源を、消費生活相談員の雇用の確保と改善に使わせていく取り組みが重要である。

 

 公共施設やインフラなどの長寿命化事業に関わる地方交付税措置として、新たに河川管理施設、砂防関係施設、海岸保全施設、治山施設、港湾施設、漁港施設、農道が対象事業に加えられた。その一方で政府予算案では、特定の地方都市に周辺の居住機能や行政サービスを集約して周辺地域の衰退をもたらす「連携中枢都市圏」や「定住自立圏」など、「新たな圏域づくり」を進めるとして、前年度に続き5.3億円を計上している。さらに公共施設の集約化、統合を前提にした「公共施設等適正管理推進事業」を推進するとしている。「地方創生」の名による地域破壊を許さない取り組みが必要である。

 

 国がやるべきことは、国民が全国のどの地域に住んでいても憲法に基づく健康で文化的な生活が営めるようにナショナルミニマムを保障し、地方自治体の財源格差を是正して、地方財政を拡充させることにある。自治労連は、地方自治体が憲法に基づき「住民の福祉の増進」(地方自治法)を図る役割を発揮するために、国が責任を持って地方財源を保障することを強く求める。 

 地方交付税については「三位一体改革」で大幅に減らされた額を元に戻し、地方の財源格差を調整し、財源保障の機能を果たすよう制度の抜本的な拡充を図ることを求める。

 自治労連は、2018年度政府予算案が審議される通常国会に対する取り組みをはじめ、公務公共サービスを支える地方財政を拡充させるために、引き続き住民、自治体関係者との共同を広げてたたかうものである。

以上