2019年2月8日

書記長 中川 悟

 安倍内閣は2月8日、2019年度地方財政計画を閣議決定した。地方の一般財源総額は、税収増を見込んで前年度を5913億円上回る62兆7072億円を確保し、地方交付税は前年度から1724億円増の16兆1809億円となっている。臨時財政対策債は前年度より7297億円減少して3兆2568億円としている。地方の財源不足は前年度より1兆7681億円減少して4兆4101億円となっているが、依然として厳しい状態が続いている。地方交付税は前年度を上回ったが、地方自治体の財源を保障し、財源格差を調整する役割を担うものであることから、政府には法定率の引き上げをはじめとした抜本的な制度改正を行うことが求められる。

 地方交付税のトップランナー方式については、政府の「経済・財政計画」の改革工程表に沿って、学校用務や給食、清掃、青少年教育施設管理、公立大学運営などに導入している。窓口業務について、2019年度の導入は見送られたが、総務省は「地方独立行政法人の活用や標準委託仕様書等の拡充・全国展開などの取組を強化し、その状況を踏まえてトップランナー方式の導入を検討する」(総務省自治地財政局財政課事務連絡平成31年1月25日)としている。自治労連はこの間、国に対して地方交付税の財源保障機能を損なわせるトップランナー方式の廃止を求め、地方団体にも共同を呼びかけてきた。地方団体も「地方交付税の財源保障機能が損なわれることがあってはならない」と国に要請をしている。引き続きトップランナー方式の廃止と、窓口業務のアウトソーシングを許さないたたかいを進めることが必要である。

 地方公務員の人員については、給与関係費における地方財政計画上の職員数について、一般職員(教職員、警察官、警察事務職員及び消防職員を除く職員)を前年度より5425人増員した。増員分の内2311人は児童福祉司等である。児童福祉司は国の「児童虐待防止対策体制総合強化プラン」(2018年12月18日児童虐待防止対策に関する関係府省連絡会議決定)に基づき、児童虐待防止対策の強化を図るとして、児童相談所等の地方交付税措置について、道府県の標準団体で児童福祉司16名及び児童心理士4名、市町村の標準団体で2名を増員するとしている。また、消防職員も「消防防災行政の状況等を勘案」するとして、1000人を増員している。東日本大震災の被災団体等の職員及び東日本大震災の被災団体等に現に派遣されている職員に係る経費については、引き続き、震災復興特別交付税を措置するとしている。

 地方公務員における若干の人員増は、これまでの人員削減による公務公共サービスの低下が社会的な問題となり、防災体制の強化や、児童虐待問題に対応する体制の強化をはじめ、自治体職員の人員増を求める自治労連と住民の共同したたたかいが一定反映されたものである。しかし、これらの人員増は微々たるもので、職場の実態からすれば極めて不十分である。職場の長時間過密労働、健康破壊、人員不足による公務公共サービスの低下は依然として深刻であり、地方自治体が業務に必要な人員を確保できるように、国は抜本的な財政措置を行うことが求められる。

 幼児教育の無償化に係る財源については、国と地方の協議を踏まえ、2019年度の地方負担分について臨時交付金(2,349億円、全額国費)を創設して対応するとし、 2020年度以降の地方負担については、地方財政計画の歳出に全額計上して一般財源総額を増額確保することとしているが、公立施設の負担は全額市町村の負担となっている。公立施設の負担増が、公立保育所の廃止・民営化を促進させることになりかねない。国は地域の保育水準や保育士の労働条件の基準となる公立保育所が存続、充実できるように必要な財源を保障すべきである。

 防災・減災対策を巡っては、国の「防災・減災・国土強靭化のための3か年緊急対策」に基づき、直轄事業負担金及び補助事業費として1兆1518億円を計上した。また、地方が単独事業として実施する防災インフラの整備を推進するためとして、新たに緊急自然災害防止対策事業費を3000億円計上している。その一方で「公共施設等の適正管理の推進」「水道・下水道事業の広域化等の推進」など、公共施設やインフラについては、老朽化対策と抱き合わせて集約化、統合を促進する措置を打ち出している。また、特定の地方都市に周辺の居住機能や行政サービスを集約して周辺地域の衰退をもたらす「連携中枢都市圏」や「定住自立圏」を進めるとして、前年度に続く財政措置を講じている。政府は「自治体戦略2040構想」研究会報告で、AIを活用した自治体職員の半減化、自治体の公共サービスからの撤退、市町村行政の「圏域」への統合・集約化を打ち出しており、地方団体など自治体関係者、日弁連などからも危惧や批判の意見が上がっている。

 国がやるべきことは、国民が全国のどの地域に住んでいても憲法に基づく健康で文化的な生活が営めるようにナショナルミニマムを保障し、地方自治体の財源格差を是正して、地方財政を拡充させることにある。自治労連は、地方自治体が憲法に基づき「住民の福祉の増進」(地方自治法)を図る役割を発揮するために、国が責任を持って地方財源を保障することを強く求める。 

 地方交付税については「三位一体改革」で大幅に減らされた額を元に戻し、地方の財源格差を調整し、財源保障の機能を果たすよう制度の抜本的な拡充を図ることを求める。

 自治労連は、2019年度政府予算案が審議される通常国会に対する取り組みをはじめ、公務公共サービスを支える地方財政を拡充させるために、引き続き住民、自治体関係者との共同を広げてたたかうものである。

以上