2012年7月17日

生活保護制度の改悪ねらう「生活支援戦略」に抗議するとともに、これに先行する運用改悪許さず、憲法25条に基づく生存権を保障する生活保護行政を求める


日本自治体労働組合総連合
書記長 猿橋 均

 厚生労働省は7月5日の国家戦略会議に、生活保護制度の大改悪を企図する「『生活支援戦略』中間まとめ」を報告した。この「報告」では、生活保護の増加の原因として、「年収200万円未満の給与取得者の割合や、非正規労働者の割合が増加するなど、生活保護に至るリスクのある経済的困窮状態にある人が増加」としている。しかしながら、この「戦略」の基本目標では、こうした「貧困状態の進行」の原因に対する対策には全く触れず、国民に対し「参加と自立」を強要し、生活保護制度について「給付の適正化の徹底」を述べている。

 その内容では、生活困窮者支援として、「支援体制の強化」や「多様な就労機会」など「自立支援」についての検討は行われているものの、根本的な原因である「年収200万円以下」「非正規労働者の増加」に対する手立てについては検討すら行われていない。一方で、生活保護による給付の「適正化」として、「医療扶助の適正化」「就労・自立支援プログラムの拡充や体制整備」、生活保護基準の引き下げ、さらには「調査・指導権限の強化」として、資産調査の拡大や、親族に対する扶養の強要の仕組み、「不正受給」への罰則の強化など、現行の生活保護制度を根本から切り崩し、受給者及びその親族の人権を侵害する内容となっている。厚生労働省は、改めて憲法25条による国の責務を果たす立場に立ち、国民のナショナルミニマムを破壊するこのような法改正や運用の改悪を直ちに中止すべきである。

 同時に、こうした国の動きに先行し、東大阪市、堺市、神戸市、和歌山市など関西圏を中心に、議会質問などをきっかけに、自治体職員に対する「親族調査」が行われ、同様の調査を行う動きが全国に広がっている。これは「国民への負担押し付けの前に、まず身を切れ」とする「公務員バッシング」の時流に乗るものであると同時に、自治体職員を皮切りに、すべての国民に「自助・共助」を押し付けるものであることは、生活保護制度利用者の親族に対し、「扶養能力」の全件聞き取り調査を始めた大阪市の姿を見ても明らかである。

 すでに当事者団体の行ったアンケートでは「子どもに迷惑がかかるから申請を諦めた」「保護を辞退した」などの事態が進んでいる。こうした事態は「親族による扶養は生活保護の適用要件ではなく、強制できるものではない」とする生活保護法の大原則を大きく逸脱し、保護制度利用者とその親族に多大な精神的負担を強いるものである。

 自治労連は、憲法25条で保障された国民の生存権と社会保障の最後の砦である生活保護制度を守る立場から、法に基づく生活保護制度の運用を求めるとともに、新たな「水際作戦」を福祉事務所窓口に強要させることを許さない運動を、全国で共同を広げて推進する。

(以上)