すべての国民の言論・表現の自由、公務員の政治的市民的自由の確立へさらにたたかいを強化する(談話)
-国公法弾圧2事件の最高裁判決を受けて-

2012年12月11日
日本自治体労働組合総連合
書記長 猿橋 均

  12月7日、最高裁判所第2小法廷は、国家公務員が休日、勤務地と離れた場所で政党のビラ配布を行ったことが、政治的行為を禁止した国家公務員法に違反するとされた二つの事件(国公法弾圧堀越事件・世田谷国公法弾圧事件)について、いずれも上告を棄却するとの判決を言い渡した。
 これによって、堀越事件は無罪、世田谷事件は有罪(罰金10万円)という、相矛盾する二つの高裁判決が確定することとなった。

 この二つの裁判は、第2次世界大戦後にアメリカの占領政策の一環として行われた国家公務員の政治活動禁止という、今や時代錯誤そのものの条文について、憲法がすべての国民に保障する言論・表現の自由と公務員の権利を著しく侵害していることの是非が問われたものであった。

 自治労連も参加する2事件の共闘会議は、最高裁が、この問題を大法廷で審理し、かつて公務員の政治活動禁止を合憲とした猿払事件判決(1974年)を見直すことを求めてきた。

 しかしながら最高裁は、国家公務員法102条とそれに基づく人事院規則14-7について、明確な憲法判断を避けた。
 これは、最高裁に求められた役割・責任を放棄する極めて政治的なものであり、決して容認できない。

 同時に、これらの判決は、国家公務員に一律・全面的に禁止とされてきた政治的行為について、処罰の対象となる「政治的行為」は、職務遂行の政治的中立性を損なうおそれを実質的に認められるものに限定するとの判断のもと、勤務時間外に勤務地と離れ行われたビラ配布活動は、国公法と人事院規則に言う「政治的行為」にはあたらないとした点で、画期的なものとなった。

 さらに、地方公務員にも国家公務員並みの政治活動規制が必要として、「維新の会」「公明党」などの賛成によって大阪市で成立し、現在、大阪府議会にも提案されている「政治活動規制条例」、また、自民党が国会に提出した地方公務員法改正案などに対し、限定的ながらも、地方公務員の政治活動を戦後一貫して認めてきた地方公務員法の正当性を、最高裁として明確に裏付けることとなった。

 これは、事件の被告となって、長く厳しいたたかいを続けられた堀越さん、宇治橋さん、そしてお二人を支え、この裁判をたたかい抜いた多くの団体・個人の成果である。

 公務員の政治活動規制は、かつて、戦後労働運動が大きく盛り上がるもとで、労働基本権はく奪とともに強行されたという事実を見ても、公務員自身の権利の問題であるとともに、住民の様々な要求に背を向け、時の権力者言いなりの物言わぬ公務員づくりという明確な意図をもったものである。
 それは、大阪市の橋下市長が、職員基本条例や政治活動・組合活動規制条例によって職員の口を封じながら、住民福祉や伝統文化の切り捨てを進める一方、大企業奉仕の大規模開発や市民の財産である黒字の市営地下鉄を民間鉄道資本に売り渡そうとしていることを見ても明らかである。

 判決は、地方公務員にまで国公法と同様の政治的行為の禁止を進め、さらには憲法そのものを変えようという右翼的な政治的潮流が顕著になっている今日、公務員と住民を分断し、住民犠牲の構造改革を進めようとしている橋下「維新の会」や自民・公明、みんなの党などに痛打を浴びせることとなった。

 自治労連は、公務員の政治的市民的自由や労働基本権確立への取り組みを進め、憲法がいきる地方自治の発展に向け、今後もたたかい進めることを表明する。そして、当面する総選挙や参議院選挙などの政治戦において、労働者・国民の願いを実現する政治の実現のために、総力をあげて奮闘するものである。

以上