2018年3月16日

書記長 中川 悟

 財務省は3月12日、参院予算委員会理事懇談会などに、学校法人「森友学園」との国有地取引をめぐる決裁文書改ざん問題で14点の文書で300カ所近くの改ざんを行っていたことを認める調査内容を報告した。6野党合同のヒアリングで会計検査院に提出された文書の文言が財務省と国土交通省で違うことも判明している。

 これらの改ざんによって削除された部分には、安倍晋三首相や妻の昭恵氏、複数の政治家の名前、森友学園の籠池前理事長が関与していた「日本会議大阪」の連携組織の日本会議国会議員懇談会の役員に麻生氏や安倍氏が就任していたことや、昭恵氏が深く関わっていた記述など「本件の特殊性」の記述があった。さらに、財務省は2017年2月下旬から4月にかけて、理財局が「貸付決議書」「売払決議書」「特例承認の決裁文書」と、それを反映させる形で他の関連文書も改ざんしたとしている。これらのことからも、この案件が安倍首相に関わる「特例的」な案件であることを明確に示している。

 さらにこの時期は、安倍首相が森友疑惑について「私も妻もかかわっていない、かかわっていたら総理大臣も国会議員も辞める」と答弁(2017年2月17日)した直後と、佐川宣寿前国税庁長官が国会で財務省理財局長として、価格交渉はなかったなどと答弁し、学園との交渉記録を「廃棄した」とも述べた。これらのつじつま合わせでこれだけの改ざんが佐川氏個人の判断でできるはずはなく、財務省・政府ぐるみの疑いは濃厚である。さらに公文書は、文書の作成から保管までの文書管理が厳格に行われなければならないことは当然である。

 また麻生財務大臣は、「理財局の一部の職員により行われた」と述べているが、公文書は、組織で作成し、組織で管理しているため、個人の意思でこれだけ多くの箇所を短時間で改ざんすることは不可能と言える。さらに「国会答弁に合わせて改ざんした」となれば、自らの意思で文書を改ざんするという刑事罰を問われかねない行為を冒すこととなる。したがって、公文書の改ざんは、組織的に行われたと考えるほうが妥当であり、そうであるならば、組織の長である大臣や任命した首相の責任も重大である。

 

 同時に今回の問題は、同じ行政に携わる自治体公務公共労働者として看過できない。

 憲法15条は「全て公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない」と規定している。佐川氏らの行為は憲法15条に反し、時の権力の「一部の奉仕者」に貶めることによって、行政をゆがめ、国民の信頼を失ったものである。

 加えて、今回の問題は安倍政権への忖度の最大限の象徴であり、「政治的中立性」などを理由にした会場使用や後援の取り消しなど、自治体で始まっている安倍政権への忖度の行きつくところとも言える。そして、時の政権への忖度は、一公務員の生命さえ奪いかねないことを示したものである。

 さらに、忖度を生む諸悪の根源は、内閣人事局の設置と幹部人事の一元管理をはじめとした、この間の一連の「公務員制度改革」にある。

 一方、行政が国民本位、住民本位でなければ、より国民・住民に近い現場の労働者ほど国民・住民の怒りの前に立たされることとなり、そのことは国政にしろ、自治体行政にしろ同じことである。したがって、国政の民主化、自治体の民主化は当該の労働組合の重要な任務と言える。

 

 憲法は立法、行政、司法の「三権分立」を原則にしている。国会が要求した資料が、財務省によって改ざんされたというのは、行政府が立法府をないがしろにする不正行為であり、麻生財務相はもちろん、安倍首相をはじめ内閣全体の責任が問われる。市民と野党の共闘で安倍昭恵氏や佐川氏を証人として国会へ喚問し、「森友」問題の全容解明を強く求めるとともに、安倍内閣の総辞職を求めるものである。

 同時に、時の権力の「一部の奉仕者」化を許さず、公務労働者が「全体の奉仕者」として職務が全うできるよう、奮闘するものである。

以上