介護難民の拡大に直結する「地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律」の可決成立に抗議する【談話】

2017年5月29日
書記長 中川 悟
 

  介護保険サービスの自己負担引き上げなどを盛り込んだ「地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律案」が5月25日参議院厚生労働委員会で、26日には参議院本会議で採決が強行され、自民・公明・維新の賛成多数で可決成立した。
 自治労連は、介護を必要とする地域住民に多大な悪影響を与える同法案を、地方公聴会すら開催せず、僅かばかりの審議時間で「議論を尽くした」とする国会運営と、数の力で押し通す安倍内閣の姿勢に怒りを込めて抗議の意を表明するものである。
 今回の制度の見直しは、高額介護サービス費の負担上限額の引き上げや現役並み所得者の利用料3割化などの新たな負担増や、長期療養を担う療養病床の削減・廃止、生活援助(訪問介護)のヘルパーの配置基準の緩和・介護報酬の引き下げなどが盛り込まれている。
 3割負担は、一昨年8月から2割負担に引き上げられた約45万人のうち、年金収入等340万円以上(単身者の場合)などの人(約12万人)が来年8月から対象となる。国会質疑でも2割負担に耐えられず特別養護老人ホームを退所したケースも指摘されるとともに、政府答弁においては2割負担の影響調査すら行われていないことが明らかとなった。
また、介護医療院創設など新たな施設整備について、そのあり方すらまとまらない中での法案提出が行われるという異常さも質疑の中で明らかになった。
 同時に、介護保険料の総報酬割による負担増についても、政府は高齢化社会に対する「世代間の負担の分かち合い」を理由としているが、国の負担を軽くし国民に押し付けるという国の責任を投げ捨てる意図は明確である。
 新総合事業への移行についても地方自治体への十分な財政補助がない中で、要支援1、2を介護保険から切り離し、高齢者の自立支援・重度化防止を理由に、介護保険からの卒業が強要され、死亡事例まで出ている実態が参考人質疑で告発された。
 「地域共生社会」の名目で高齢者、障害者などへの施策をひとまとめにする「『我が事・丸ごと』地域づくり・体制の整備」は、公的な社会保障費の削減路線と結びつき、地域住民に「自助・互助」を押し付け、必要な介護から利用者を締め出す事態を続発させかねない。市町村が要介護者に「介護からの卒業」という名目で自立を促すことに対して、財政的インセンティブを与える「保険者機能の抜本的強化」は、まさに「保険あって介護なし」の実態を作り出すものである。
 以上のことからも、今回の法「改正」は、介護難民の拡大につながり、医療・介護の公的責任を大幅に後退させるものである。
 自治労連は、地域住民が安全に安心して暮らせる社会を構築していくため、介護労働者の処遇改善の運動をすすめるとともに、安倍政権が目論む社会保障解体攻撃に反対し、あらゆる市民、団体との共同を地域、職場で大きく広げていくものである。

以上