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「働き方改革」一括法案の衆議院強行採決に抗議し、成立を許さず奮闘する(談話)

2018年6月1日

書記長 中川 悟

  政府・与党は5月25日の衆議院厚生労働委員会、続く31日の本会議で「働き方改革」一括法案を強行採決した。審議の中では、法案の前提となる労働時間に関するデータが、ねつ造部分も含め誤りだらけであったことが明らかになった。また、労働組合・法曹関係者・過労死家族の会など、多数の国民が過労死を促進するものとして法案に反対してきた。それにもかかわらず、安倍首相・加藤厚労大臣が指摘にまともに向き合わず、不誠実な答弁を繰り返すもとで、野党の質問時間が尽きたという一事をもって強行採決に踏み切ったものである。国会審議に対するこのような政府の態度は、森友・加計問題での追及に対するそれと共通しており、国民の声に耳を貸さず結論先にありきの民主主義蹂躙であり、私たちは満身の怒りを込め、強く抗議する。

 

  高度プロフェッショナル制度は、始業・終業など労働時間の裁量性がない労働者に対し、労働時間規制をはずすという大きな問題を持ったものである。労働者に働き方の裁量、業務量を調整する権限を与える規定もなく、年104日・4週4日の休日付与と健康診断程度を措置すれば導入可能となり、24時間×48日連続労働や年間6千時間を超える労働を命じても違法とならない欠陥法である。年収要件1075万円も、これまで財界や塩崎前厚労相自身が400万円程度まで下げていく意思を表明しており、いったん制度が導入されれば、際限なく引き下げられていくことは容易に予想できる。

 

  また、労働時間の上限「規制」の内容たるや、年間720時間(休日を加えれば960時間)、繁忙期は100時間未満までの過労死水準の時間外労働を容認するものである。今、自治体の多くの職場でも、年間数百時間にのぼる時間外労働が恒常的に行われており、過労死・過労自死も多発している。このような法案が成立すれば、長時間労働への歯止めが一層効かなくなり過労死認定にも負の影響を与えることは必至である。

 

  さらに法案は、雇用対策法を改悪し、雇用政策の柱を「雇用の促進と安定」から「生産性向上」{(非雇用型を含む)多様な就業形態の普及}に大転換しようとしている。また、非正規労働者の期待を裏切り格差を固定化する有期・パート労働法案、労働者派遣法案など、いずれも十分な審議が必要とされる重大な8本の法律案を一括法としてひとくくりにし、内容を国民に十分知らせないまま国会通過を狙う手法は、安倍政権の常套手段であり、到底容認できるものではない。

  私たちは、参議院での廃案を勝ち取るため、引き続き全力をあげて奮闘するものである。

以上

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