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国家公務員退職手当削減法案の強行成立に抗議する

公務・公共労働者をはじめ、すべての労働者の生涯賃金抑制につながる国家公務員退職手当削減法案の強行成立に抗議する

2012年11月16日
日本自治体労働組合総連合
書記長 猿橋 均(談話)

 今臨時国会に提出されていた国家公務員退職手当「改正」法案は、11月16日、衆参での委員会質疑・本会議採決をわずか1日で強行するという異常な国会運営のもとで成立した。この法案は、人事院調査による官民較差402.6万円を解消するとして、支給率の大幅な引き下げを行うものである。さらに政府は、閣議決定で、地方に対しても国に準じた引き下げを要請している。

 退職手当は、1999年以降の大幅賃金引き下げのもとで、退職後の重要な生活資金となっており、前例のない大幅引き下げは、「得られたはず」の財産権の侵害ともいえる重大な問題である。層も含め、将来不安をさらに大きくし、働きがいや仕事への意欲を失わせるものである。

 同時に、国家公務員の退職手当大幅引き下げは、地方公務員にもただちに影響し、それが、ここ数年、大きく引き下げられてきた民間労働者の退職金をさらに押し下げることにつながる。これは、大企業・財界がねらってきた日本の労働者全体の生涯賃金引き下げを進めるものであり、個人消費の落ち込みによって、地域経済にも否定的な影響を与えざるをえない。

 また、野田内閣は同日の閣議で、ベテラン職員の昇給制度の見直しを内容とする12人勧の取扱いについて、「世代間の給与配分の適正化や雇用と年金の接続の観点から幅広く検討」を行った上で、給与臨時特例法(賃下げ法)による減額措置が終わる14年4月から、本年の勧告内容を「実施する方向」を閣議決定した。

 「先送り」それ自体が、人事院勧告制度を否定するものであるとともに、今、政府がやるべきことは、公務員賃金の社会的な影響なども踏まえ、公務・公共労働者の生活改善だけでなく、民間労働者の賃上げや内需拡大にも資する「賃下げ法の廃止・賃金改善」である。しかし政府は、そうした私たちの要求に応えることなく、民自公3党の談合による国会乗り切りのためだけに「先送り」したものであり、到底、納得できない。

 この臨時国会においても、民自公各党は、厳しい現実に置かれている労働者・国民の暮らしを顧みることなく、政局に明け暮れ、まともな国会審議を行うことはなかった。こうしたもとで、「みずからの身を切る」退職手当削減法案は、提出から2週間にわたり趣旨説明さえ行われなかった。法案の強行成立が、この局面をねらった解散・総選挙向けの「地ならし」であることは明らかである。

 国会解散により、公務員の協約締結権回復などを内容とする国家公務員制度改革関連法案は廃案となり、民主党の党利党略で昨日提出された地方公務員制度改革関連法案も廃案となった。

 自治労連は、こうした国会運営を続けた民自公に強く抗議するとともに、引き続き、消費税増税、社会保障大改悪の実行を許さないたたかいをさらに強める。そして、労働者としての生活と権利を守り、賃下げのスパイラルと雇用破壊を断ち切るため、広範な労働者・国民との連帯を広げながら、全国の職場・地域で引き続き奮闘するものである。

以上