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消費税増税ストップ 大企業・大資産家に応分の負担を求めるQ&A

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はじめに

 2008年末に閣議決定した「中期プログラム」は、消費税増税を盛り込み、金融所得の分離をさらに進めるなど、いっそう大企業・大資産家に対する負担軽減の方向が示されました。

 国民の中に貧困と格差が広がる中、社会保障費2200億円の歳出削減と並行して、政府内部では社会保障の財源を口実に、消費税増税がたくらまれています。

 一方、自治体の職場の中で、当局から「財政が厳しい」「夕張のようになる」と要求をはねつけられ、あきらめが広がっている状況も出はじめています。

 本当に財源はないのでしょうか。

 負担すべきは生活が苦しくなっている国民ではなく、巨額な利益をあげている大企業・大資産家ではないでしょうか。

 大企業・大資産家が応分の負担をすれば、消費税の増税が必要ないという世論を総選挙では大きな争点として広げていく必要があります。

 ここでは「不公平税制是正による2008年の財源試算」(「福祉と税金」2007年20号、「不公平な税制を正す会・財源試算研究会」)を参考に、具体的に社会保障と増税で、論点になっていること、税率を消費税導入前までに戻し、大企業・大資産家優遇の不公平な税制を正せばどの程度の財源が生まれるのかを、わかりやすく示す資料として、Q&Aの形式でパンフレットを作成しました。

 今度の総選挙、その後の国会で消費税引き上げをたくらむ政府・与党と切り結ぶ有効な材料として活用されるととを期待します。

Q1 政府の消費税増税はやむをえないのですか?

A 消費税増税は、庶民に負担を強いるものであるだけでなく、今日本経済に求められている内需拡大に反し、絶対に許してはなりません。

 政府は2008年末に中期的な税制改革の道筋を示す「中期プログラム」に2011年度からの消費税増税を明記しました。麻生首相はたびたび、消費税増税について「3年後に消費税増税」を明言し、「小負担中福祉から、中負担中福祉」へと社会保障財源を確保するためには消費税増税しかないという発言をくり返しています。

 しかも今年の総選挙でその引き上げを争点にするというのです。

 今、アメリカ発の金融危機を口実とした大企業の「派遣切り」にみられるとおり、労働者の雇用と中小企業の経営がたいへんな状況になっている中、消費税増税は庶民の生活に負担を強いるものでしかありません。
 実体経済危機の打開には内需拡大による経済財政政策こそ求められており、まさに消費税増税は、内需拡大や景気回復に水をかけるもので絶対にとってはならない政策です。
 次の総選挙では、消費税増税がまちがいなく大きな争点となりますが、景気の面からも社会保障の財源としてもなぜ消費税増税がまちがっているのか、それに代って社会保障の充実のためにはこれまでもうけてきた大企業・大資産家への応分の負担こそ必要であることを、みなさんといっしょに考えてみたいと思います。

Q2 欧米では消費税率が二桁と聞きますが?

A 確かに二桁ですが食料品など生活必需品の非課税、軽減税率は、ほとんどの国で実施されています。今、有効な内需拡大策として、イギリスでは税率2.5%引き下げ、他のEUでも消費税率の引き下げが議論されています。

 欧米では確かに日本に比べて税率は高いのですが、イギリス、オーストリア、アイルランド、メキシコなどの国で食料品などの生活必需品は非課税です。他の国々でも一般税率の3分の1から4分の1に抑えることによって、庶民ほど負担が重い性格、「逆進性」を緩和しています。

 日本のように、お金持ちが買う高級車と独り暮らしのお年寄りが買う大根が同じ税率という不公平な国はごくまれです。

 イギリス政府は、金融・経済危機に対応するために、2年間消費税率2.5%引き下げと低所得者の所得税減税を景気対策として盛り込み、その財源として高額所得者の最高税率を40%から45%へ増税を実施しています。
 EU欧州委員会でも同様の理由で消費税減税や労働者の所得税減税を勧告しました。
 これは低所得者の負担を軽くするほど消費にまわる割合が高く、景気を刺激するためです。 q2_1.gif

Q3 社会保障を口実として消費税引き上げが議論されていますが、政府が進める社会保障財源2,200億円削減とは何ですか?

A 「歳出・歳入一体改革」として毎年社会保障費2,200億円削減していくことで、医療、介護、生活保護などの改悪につながっています。その一方、消費税増税がたくらまれています。

 赤字国債を乱発してきた自民党政権により、国の借金は700兆円にも及び、「骨太方針2006」の中で「歳出・歳入一体改革」が決められました。

 「歳出・歳入一体改革」とは、一方で社会保障費、地方交付税などの歳出削減、他方で増税などの歳入増を一体として進めていき、2011年に国債発行と国債元利払いを均衡させるというものです。

 その一環として社会保障予算の自然増を抑制するために毎年2,200億円を削減し、5年間で国・地方あわせて1.6兆円も削減しようとしています。

 2,200億円を削減させるための主なものとして、介護保険料の引き上げ、高齢者の医療費2~3割負担、後期高齢者医療制度の創設、生活保護の母子加算の廃止、診療報酬制度の改悪などが、進められてきました。

 09年度では、介護保険制度の改悪や雇用保険の国庫負担削減が狙われています。しかし圧倒的な世論の声に押され、与党内からもその見直しの議論が続出し、年金特別会計からの取り崩しなど2009年度については財源措置を行っています。しかし2011年を先送り する議論はあるものの依然として削減方針は撤回されたわけではありません。 q3_1.gif

 先にみたようにこの「改革」は、社会保障費の削減と消費税増税がセットになったものです。

 この路線を破棄し、命とくらしをないがしろにする社会保障抑制路線を抜本的に転換し、消費税増税ではなく他に財源を求めることこそ求められています。

Q4 地方自治体では、地方消費税を引き上げるよう要求していると聞きますが?

A 当面「三位一体改革」で減らされた地方交付税等5.1兆円の復元こそ重要です。

 今、地方自治体の中から「消費税を地方財源に」「地方消費税の増額を」という要求が聞こえます。

 消費税は全国的な偏りがなく、地方の財源に適しているということを理由としています。しかしその背景には、「三位一体改革」によって地方交付税が5.1兆円も削減され、地方財政がひっ迫している事情があります。 しかし地方自治体のそもそもの役割は、住民の権利を実現させることです。

 その実現と相容れない消費税(Q6)を財源とすることは、角を矯めて牛を殺すことになりかねません。

 また分権を進める原理で、なぜ地方自治体が優先されるかというとそれは主権者である住民に一番近いからです。

 その住民がのぞまない消費税(Q14)は、地方の財源にふさわしくありません。

 政府が閣議決定した「中期プログラム」によれば、地方消費税は地方税である法人事業税所得割部分廃止の代替と位置づけられています。地方の側が分権の財源と思い込んでいても、大企業減税の補填として使われる意図が見え見えです。

 地方の財源の確保には、地方の経費に従って財源を保障する地方交付税をまず「三位一体改革」の前まで戻すことです。5.1兆円の削減に対して地方消費税1%は2.6兆円に過ぎません。

 そして大企業・大資産家に応分の負担を求めることによって地方の財源も確保することができます。そして法人税などが増えるために、地方税や地方交付税の財源を増やすことにつながります。

Q5 消費税は、高齢化社会に対応するために導入されたのではないのですか?

A 政府はそう言っていましたが、これまで国民から集められた消費税収に匹敵する金額が、大企業の負担軽減のために使われました。

 当初、政府は消費税の導入は、「高齢化社会に対応するため」と説明してきました。

 しかし導入以降には軒並み医療・年金・介護などお年寄りに関連した、制度改悪が行われました。

 たとえば老人医療における自己負担が、月400円の定額(外来)だったものが1割から3割の負担へと引き上げられました。

 また2000年には、介護保険制度がスタートし、それまで基本的に公費で措置していた高齢者福祉は、介護保険となって月額平均4,300円の自己負担がかかることになりました。

 消費税の導入と相まった社会保障の自己負担増大は、政府のいう「高齢化社会に対応」がごまかしであったことを示しています。

 では国民から集められた消費税は何に使われたのでしょうか。

 消費税額の約8割と、法人の負担を減らした額がほぼ同額です。

 これは「直間比率の見直し」によって、所得税、法人税などの直接税と消費税などの間接税の比率を変えられてきたことによります。

 同時に所得税の高額所得者の税率を下げることや大企業への優遇措置が実施されました。庶民から広く集めた消費税によって、大企業・大資産家に対する減税を行ってきたといえます。

 社会保障の財源を消費税に求めるということは、さらに庶民に対して負担を求めるものです。 q5_1.gif q5_2.gif

Q6 消費税はなぜ社会保障財源としてふさわしくないのですか?

A 所得の少ない人ほど負担が重くなる消費税は、所得を再分配して不公平を正す社会保障の理念とは相いれません。

 消費税は所得に関係なく同じ税率で税金が取られます。

 所得が多いからと言ってご飯を二倍食べるわけではないので、低所得者ほど負担が重くなるという逆進性をもった税です。

 その一方社会保障には所得の再分配により不公平を正す機能が必要であり、消費税はその原則に反する税源です。

 消費税は、ものを売り買いするときに自動的にかかる税金であるために、生活に困っている人、「払おうにも払えない人」への対応ができません。

 直接税や保険料では、減免や軽減などの制度によって、家計状況に応じ、ある程度きめ細かい対応ができるのに対し、消費税では対応ができず、すべての人の生活を保障するための社会保障財源としてふさわしくありません。

 また年金の財源に消費税を適用させれば、基礎年金部分の企業負担を減らすことができ、大企業は大儲けです。ただでさえ国際的に低い企業の負担がさらに低くなります。

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Q7 それでは社会保障などの財源を何に求めればよいのですか?

A 諸外国と比べ税負担率が低い大企業・大資産家に応分の負担を求めます。

 税の基本は、利益を上げ、支払い能力があるところから取ることです。

 たとえば資本金10億円以上の大企業(金融・保険業は除く)の経常利益は32.8兆円(2006年)と史上最高を更新し、バブル期のピークであった1990年の18.8兆円の1.74倍に達しました。

 その内部留保も239.8兆円(2007年)と大もうけをためこみました。それに対して、税負担は13.9兆円から13.7兆円へとむしろ下がっています。

 アメリカ発の金融危機の影響で、企業の利益の落ち込みがいわれていますが、トヨタ自動車でいえば2000年から比較して株主への中間配当は5倍に、内部留保は1.74倍に増え、なんと14兆円にもなりました。

 大企業は十分負担する体力があります。

 本来の法人の実効税率は40%なのに、トヨタ自動車は28%(2007年)です。

 また大銀行13行に至ってはわずか4%しかありません。その結果日本の企業(自動車産業の場合)は、税金と他の外国と比べてもフランスの73%、ドイツの82%しか負担していません。

 社会保障費に限っても、日本の「事業主負担」は、イギリス、ドイツ、フランスの水準よりかなり低く、逆に本人が支払う「保険料」は最も多い部類に入ります。

 また「消費税」による財源は、ドイツ、イタリア、フランス並みにあり、大企業の負担が低いのが特徴です。 またこの間、所得税についても税率の引き下げなどが実施され、大資産家の所得について累進制が緩和されました。

 今、庶民の家計は火の車です。生活が苦しい人たちに負担を求め、大もうけをし、ためこんでいる企業や大資本家には税金をまけてやるのはあべこべの話です。「中福祉・中負担」というなら、大企業・大資産家への応分の負担こそ必要です。 q7_1.gif q7_2.gif

Q8 政府・財界は、企業に対する負担を下げないと国際競争力が落ちて海外に逃げてしまうといっていますが?

A 大企業の本音は1円でも負担をのがれることです。大企業言いなりでは、国際競争力が向上する保証はありません。

 アメリカ発の経済危機に便乗して、政府・財界は大企業の負担軽減の大合唱をしています。

 財界の本音は1円でも少ない負担であり、08年10月に出された日本経団連の「税・財政・社会保障制度の一体改革に関する提言」は、消費税率の「最低でも5%引き上げ」とあわせて、法人実効税率を「10%以上」引き下げるよう要求しています。

 つまり消費税5%引き上げれば13兆円の増税になりますが、法人実効税率を10%下げれば7兆円近い減税となり、消費税増税による約半分の税収が企業減税で負担をのがれようという身勝手な要求です。 政府は、税率引き下げなどをしないと「企業が海外に逃げる」ことを理由としています。

 しかし、海外進出を計画している企業に、その理由を聞いた設問に対する回答では、「労働コスト」「海外市場の将来性」などが上位で、「税負担」は5番目にすぎません(経済産業省委託調査「公的負担と企業行動に関するアンケート調査」より)。 今「株主資本主義」「株価資本主義」といわれる中で、大企業は短期的利益を求めています。リストラや税負担の軽減で株式を上げて、利益を確保しようというものです。

 リストラによって技術や経験を持った労働者がいなくなれば、短期的に株価は上がっても長期の競争力強化にはなりません。

 経済危機における企業減税や経営が苦しい大企業への公的資金の投入など、政府に要求ばかりして負担を逃れようというのは身勝手であり、国民の理解は得られません。

Q9 具体的に大企業・大資産家はどの程度優遇されていますか?それを正せば、どのくらいの財源が生まれますか?

A 法人税、所得税の税率を1989年の消費税導入前まで戻せば6.2兆円、優遇税制を正せば14.1兆円、合計20.3兆円の財源が生まれます。

 消費税に頼らなくても社会保障費の財源が確保できます。

 「不公平税制是正による2008年の財源試算」によれば、法人税・所得税の税率を1989年の消費税導入時まで戻せば、地方税含めて6.2兆円の増収となります。

 そして大企業・大資産家の優遇措置を正せば14.1兆円で、合計20.3兆円の財源が生まれます。

 大企業に儲け相応の税負担を求め、それによって社会保障の拡充を図ることは、ゆがんだ経済構造を改めて、健全な経済発展の道を開くためにも必要なことです。

 さらに、世界トップクラスの軍事費5兆円、特にアメリカのための思いやり予算2,000億円を削減することです。憲法9条を持つ日本が庶民の暮らしや福祉を削ってまで、アメリカ言いなりに軍事費を増やし続けることは即時止めるべきです。

 また、無駄な公共事業である10年間で59兆円の道路建設などは、計画を見直し道路特定財源を一般財源化して、本来国民に必要な公共事業や社会保障にまわすことが大切です。 q9_1.gif

Q10 税率を元に戻すことについて、もう少し説明して下さい

A 税率を元に戻せば、国税において法人税で4.4兆円、所得税で1.2兆円、地方税ではそれに連動して0.6兆円、合計約6.2兆円の財源が生まれます。

●法人税の場合

 法人税の税率は、国際競争力の強化を理由に、消費税を導入した1989年から以下のように引き下げられ、基本税率は、消費税導入前の1989年には42%だったものが、1999年以降は30%にまで12%もの引き下げが行われています。

 国税庁統計年報書によれば、2005年度の資本金1億円以上の利益計上法人の所得金額は29兆6,561億円であり、税率を消費税導入 前に戻した場合には、3兆5,587億円の財源が生み出されることになります。

 さらにそれに連動した措置もあわせれば、4兆4,142億円 の増収となります。 法人税額の増額は、法人税額を課税標準としている法人住民税にも影響を与えます。

 仮に右記のように法人税が4兆4,142億円の増収となれば、課税標準額が増え、税収は税率の14.7%(都道府県及び市町村を合算した標準税率)を乗じた6,489億円の増収となります。

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●所得税の場合

 所得税については、消費税導入前の1989年所得分に対する最高税率が、50%(所得金額2,000万円以上)から1999年に37%(所得金額1,800万円超)に引き下げられました。

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 国税庁統計年報書による2005年度分の所得階級が2,000万円超の課税所得及び人数をもとに、2005年の税率による税額と1988年分の所得に対する税率による税額を比較すると1兆2.152億円の税源が生み出されます。

 累進課税のいいところは、少数の人たちの負担で、多くの税収を得ることができることです。

 下の表のとおり、2,000万円以上の所得を持つ人は、全国で277,073人に過ぎず、その税率を元に戻すだけで1.2兆円もの財源が生まれます。これは、消費税の0.5%分にもあたります。

 法人税率や所得税率を消費税導入前の税率に戻すことによる地方税への影響額を合せると約6.2兆円の財源が生まれます。

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Q11 大企業・大資産家の保有する株式の配当や譲渡益への税制がかなり優遇されていると聞きますが?

A 株の配当だけで、大きな利益が得られるよう、大資産家のために税金をまけてあげる仕組みです。総合課税にすれば、1兆円の財源が生まれます。

1) 株式の配当への所得税は、かつては他の所得と合算して課税する総合課税でしたが、現在は「金融資産課税の一元化」という財界の要求をうけて、分離課税が可能となり、おまけに臨時措置で10%の低い税率で課税されています。 これによって、申告所得で100億円を超えた、たった10人の大金持ちに合計183億円も減税しています。

 (試算は、10/27しんぶん赤旗による。)多くの勤労者の所得には、総合課税で国税・地方税あわせて、15%以上もの税金がかかっているのと比べると、勤労所得軽課原則に反する優遇税制です。

 これらの株式配当を全て総合課税にすれば、1兆円以上(不公平税制ただす会試算)の税金が増えます。フラット化した所得税・住民税の最高税率(現在50%)をかつてのように見直し(段階税率の強化)すれば、さらに増えます。

 しかし、麻生首相は、総裁選で、「300万円までの投資による配当金を非課税」にすると、さらに軽減することを公約しています。

2) また、株式市場などの売買の儲け(譲渡益)への税率も同様に分離課税で、2002年までは26%でしたが、株価対策という口実で軽減されました。特例措置として10%となり、2011年末まで2年延長されました。あまりにも「金持ち優遇」との批判が強まっています。

Q12 その他、大企業に対する優遇措置がありますか?

A 試験研究費の税額控除など優遇措置が目白押しです。法人税の特例は、一定の要件を満たせば、主に特定の大企業に対して適用されます。

 代表的なものとして、試験研究費の税額控除があります。これは企業の実際にかかった試験研究費の一定の割合を税額から控除するというものです。

 たとえば研究費を120億円使って180億円の利益をあげている会社の本来の法人税は54億円ですが、この制度が適用されると10.8億円の減税になります。この制度は2008年からさらに大企業に有利に変えられました。この制度をやめれば、7,858億円の財源が確保できます。

 また法人税法では、課税所得の算出において、別段の定めがある場合には、益金・損金について課税所得として除外とする計算、通常とは異なる特別償却という政策的な計算が設けられ大企業に税金をまけています。

 なかでも大企業が保有する株式の配当には、「受取配当金益金不算入」*1の原則ということで、現在ほとんど税金が課税されていません。

 にもかかわらず、さらに海外子会社からの配当についても、拡大が狙われています。この不算入を正せば2.3兆円もの財源が生まれます。

 グループ企業による「連結納税制度」を正せば、より多くの財源が生まれます。 「不公平な税制をただす会」の試算(2008年度)によると、

受取配当益金不算入 2兆2,545億円
新幹線鉄道大規模改修準備金 100億円
使用済燃料再処理準備金 9,786億円
原子力発電施設解体準備金 3,362億円
保険会社等の異常危険準備金 2,032億円
試験研究費の税額控除 7,858億円

の増収が見込まれています。

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Q13 地方税で大企業・大資産家の優遇措置はありますか?

A たとえば大企業本位の土地税制の見直しなどで、2.2兆円の財源が生まれます。

(1)大企業の大工場用地の評価額の見直し

 大工場用地の評価額は、取引事例が少ないためなどを理由として、商業地区の土地と比べて1平方メートル当り10数万円も低く抑えられています。 これらの土地は、大企業の土地が多く、大規模ビルや共同住宅に変われば直ちに莫大な利益が生じる事例が出ています。

 せめて、商業地区の土地ぐらいまで評価額を見直すべきです。

(2)非課税土地の固定資産税(都市計画税)の見直し

 固定資産税(都市計画税)非課税の土地には、国有林・道路などがありますが、公益法人など特定の法人の土地も非課税(地方税法348条)です。 しかし、ある宗教法人に対して使用している固定資産が目的外使用だと、非課税取消の裁判が起された事例、また、市の減免条例見直しの動きがあります。

 非課税土地の範囲の見直しで安定的な財源確保をすることができます。

(3)土地・家屋・償却資産の課税標準等の特例見直し

 そのほか土地・家屋・償却資産の固定資産税(都市計画税)については、多くの課税標準等の特例が設けられています。それらは、特に大企業に有利なものです。課税標準等の特例を全般的に見直し、その場合、中小企業などの支援については、本来の地域産業振興政策などで対応すべきです。

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Q14 今こそ消費税増税ではなく、大企業・大資産家に対する応分の負担が必要ではないですか

A そのとおり、それを決めるのは、私たち国民の選択です。

 政府は、2011年後からの消費税引き上げを「中期プログラム」に沿って2009年後税制「改正」内閣法案の付則に明記し、総選挙の争点にするとまで言っています。 また民主党についても、公約実現のための20.5兆円の財源を発表していますが、消費税について最低保障年金をつくる際の財源とすることを明言しており、民主党「税制改革大綱」の中で社会保障財源と位置付け次々回の総選挙で引き上げをするとしています。

 つまり二つの政党とも、大企業からの献金を受けている以上、大企業・大資産家の課税にメスを入れることができず、最後は消費税 増税に入り込まざるをえません。

 しかし「社会保障の財源を確保するために消 費税増税が必要か」という質問に国民の61%が反対と答え、賛成は30%です。

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 今度の選挙で国民が望んでいる政治に中身を変えるため、その財源をどこに求めるのかという争点は、決して避けて通ることので きないものだと言えます。

 消費税増税ではなく、大企業・大資産家に応分の負担を実施し、社会保障の充実など、国民要求の実現をしていきましょう。

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*1  法人が、内国法人から受ける配当等の一部又は全部を配当受取法人における課税所得を計算上益金に算入しないことができる制度で、配当等については配当支払法人で課税済であるとし、二重課税の排除を口実として導入されたものです。

消費税増税ストップ 大企業・大資産家に応分の負担を求めるQ&A

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