4.有給休暇など、休暇・休業制度について

4.有給休暇など、休暇・休業制度について

(1)各種の休暇制度

 自治体の非正規職員の休暇については、一律的に取り扱うのは適切でないとしながらも、「平等取り扱いの原則」及び「情勢適応の原則」により、常勤職員の勤務条件の均衡を配慮し、その勤務形態に応じて休暇制度を定めることになります。

 自治体の非正規職員も当然の権利として、労基法の定めにある年次有給休暇(労基法第39条)、産前産後休暇(同法第65条)、育児時間(同法第67条)、生理休暇(同法第68条)、公民権の行使(同法第7条)、また、育児休業法の規定する育児休業や介護休業、子の看護休暇なども休暇(自治体での制度化が必要)の一つとして取得できます。

 なお、特別休暇は、事故休暇・母性保護休暇・慶弔休暇・家族看護等休暇・病気休暇・労使関係休暇・福利厚生関係休暇などで、その制度化は任命権者の裁量に委ねられています。

 特別休暇については、認められていない自治体や、認められていても忌引き休暇を正規職員と格差をつけるなど、パート労働法や指針の主旨に外れた差別的実態が自治体には多く残されています。

(2)有給休暇

1)年次有給休暇制度とは

 年次有給休暇は、労働基準法第39条で保障されています。

 その内容は、(1)有給休暇とは、労働者の希望する日に休んで賃金が補償される休暇です。(2)付与対象は、勤続6ヵ月を過ぎれば定められた休日以外に、パートタイム労働者であっても、6ヵ月間勤務し、所定労働日の8割以上出勤した場合は、年次有給休暇が付与されます。(3)雇用関係が継続する場合は、6ヵ月を超えて勤務した1年ごとに、新たな有給休暇が付与されます。 (4)所定労働時間や所定労働日数の少ないパートタイム労働者には、通常の労働者(正社員)とのバランスを取るため、「比例付与」の方法で以下の付与日数が決められています。

 

●年次有給休暇の付与日数

  • 週所定労働時間が30時間以上、週所定労働日数が5日以上、または年所定労働日数が217日以上の場合→ 通常の労働者と同じ日数を一日の勤務時間の長短に関係なく与えることになっています。
  • 週所定労働時間が30時間未満、5日未満の場合→ 所定労働日数によって異なります。

 

●年次有給休暇の時効

 年次有給休暇の時効は付与された日から2年です。付与されてから1年以内に取得しなかった分は、次の1年に限り取得することができます。ただし、退職日以降に取得することはできません。

 一方、自治体の正規公務員の場合は、次年休の繰り越しが40日以上となっている場合が多くあります。労基法は最低基準であり、自治体の正規公務員に比例した制度となるよう改善が必要です。

 

●年次有給休暇の付与日数表

短時間労働者の週所定労働時間 雇入れの日から起算した継続勤務期間の区分に応ずる年次有給休暇の日数
短時間労働者の週所定労働日数 短時間労働者の1年間の所定労働日数(週以外の期間によって労働日数が定められている場合) 6ヵ月 1年
6ヵ月
2年
6ヵ月
3年
6ヵ月
4年
6ヵ月
5年
6ヵ月
6年
6ヵ月
7年
6ヵ月
8年
6ヵ月
9年
6ヵ月以上
30時間以上 10日 11日 12日 14日 16日 18日 20日
30時間
未満
5日以上 217日以上
4日 169日~216日 7日 8日 9日 10日 12日 13日 15日
3日 121日~168日 5日 6日 6日 8日 9日 10日 11日
2日 73日~120日 3日 4日 4日 5日 6日 6日 7日
1日 48日~72日 1日 2日 2日 2日 3日 3日 3日

 

2)有給休暇の連続通算、繰り越しも均等待遇を

 年次有給休暇の日数は、労基法で定められている上の表の通りです。

 なお、次年度も継続雇用となったのにもかかわらず、単年度ごとの契約を口実にして、年休の繰り越し権を認めようとしないのは、明白な労基法違反です。

 また、臨時職員の実態は、有給休暇について、6ヵ月以上の継続雇用であっても「6ヵ月を限度」との理由で雇用中断期間を設けて、不当に与えようとしない自治体があります。これは、勤務の実態を無視したもので不当なものです。

 *不当な雇用の短期間中断は勤続加算扱いに競走事業の十時労働者に対して、労働省は(平成1年3月10日基収140号)雇用が継続かどうかを判断する目安として「おおむね毎月就労すべき日が存続すること。失業手当の受給をしていないこと」などを判断基準にあげて、こうした場合には年次有給休暇の支給制限をしてはならないとしています。これは競走事業者に限ったことではないので、活用しましょう。

たとえば、1ヵ月だけ間を開けてから再採用することが、慣例的にあらかじめ約束されているような、雇用の恣意的な中断は明らかに「概ね毎月就労している」と見なされます。ましてや、1~2週間だけあけるということは許されません。これは雇用保険の加入についても同様で、加入逃れを許さないよう、要求しましょう。

(3)産前産後休暇・育児時間・母性保護

 母性保護等のため労基法で以下のように定められています。各自治体の正規職員には、有給休暇とするなど労基法を上回り改善させています。こうした制度を非正規職員にも適用できるように労使で確認し制度化させましょう。

○産前・産後休暇

 労基法では、パートタイム労働者を含むすべての働く女性が取得できます。

 産前の6週間は、労使の意思に関係なく、強制的な休業です。また、6週間経過後は、女性が請求すれば、医師が健康に支障ないと認めた業務につくことができます。出産の翌日から産後8週間取得できます。

 なお、産前・産後休暇で賃金補償がない場合、社会保険加入者には出産手当金が支給されます。

○育児時間

 1歳までの子を養育する女性が請求すれば1日2回、少なくとも各30分の育児時間を取得できます。

○母性保護の休暇等

 生理休暇、妊産婦等の危険有害業務の就業制限、妊産婦の軽易業務転換、妊産婦の時間外・休日労働・深夜業の禁止、妊産婦の通院休暇、通勤緩和などの勤務軽減についても同様に適用されます。

(4)病気休暇、慶弔休暇などの特別休暇

病気休暇(私病)の保障制度を

 長く働いている間には、病気になったりケガをする危険は誰にもあることです。労災・職業病とちがって、私傷病になるとなんの保障もなくて、とたんに収入が断たれてしまう、というのがパートの悲しさです。

 しかし人間の健康は厳しい毎日の労働と全く無関係ではありえません。ですから、たとえケガや病気の直接的原因が仕事と無関係にみえても、永年酷使してきた身体の状態がそれらの要因になっていることはいくらでもある話です。病気になったら使用者は知らんぷり、あげくに辞めてもらう、これでは労働者は使い捨てにすぎません。病気になっても、企業や国・自治体による一定の保障をさせていくことは、働くものの基本的人権にかかわる問題です。

非正規職員にも病気休暇(欠勤制度)を

 正規職員も病欠保障制度については極めて不十分な実状ですが、せめてパートも正規並みを求めましょう。パートの私傷病による欠勤でもっとも心配されるのが、雇用継続のことでしょう。更新の条件に所定(契約上の)勤務日数の何%以下は更新しない、と要綱に定めているところもあります。傷病による欠勤はこれらから除外して考えるとか、一定の軽減措置をとらせるなどの改善を求めましょう。また、一定の期間について賃金保障(傷病手当でもよい)をするように求めましょう。

社会保険加入者には、傷病手当(働けない間の賃金の約6割)がでる

 労働災害でない負傷疾病による療養のため働くことができず、給与を受けられないとき、傷病手当金の支給が受けられます(健康保険法45条)。本人が被保険者として加入されている方は忘れずに申請しましょう。

 労働不能の日から起算して4日目以降1年6ヵ月間、標準報酬日額(自治体・非正規労働者なら平均日額)の約6割が支給されます。

 もし退職によって健保の資格を喪失しても、資格喪失時に受給していたか、受けられる状態にあったときは法定の給付期間満了まで支給されます。

(5)育児休業・介護休業制度

パート労働者に適用される制度

 05年4月1日の育児・介護休業法改正により、民間では、一定範囲の有期契約労働者も、育児・介護休業の対象となり、また、子の看護休暇も取得できるようになりました。

育児休業

 1歳に満たない子どもを養育する男女労働者は、事業主に申し出ることにより、子どもが1歳(正規公務員は3歳)に達する日(誕生日の前日)までの間、連続した期間で育児休業を取得することができます。ただし、子が1歳を超えても、保育所に入所の申込をしているが入所できない場合など、一定の場合には、1歳6ヵ月に達するまでとなります。

 改正・育児介護休業法(平成17年4月1日施行)により、次の2つの要件を満たす「期間雇用者」は、育児休業を取得することができるようになりました。

  • 同一の事業主に引き続き雇用された期間が1年以上あること。
  • 子が1歳に達する日(誕生日の前日)を超えて引き続き雇用されることが見込まれること。
    (ただし、子が1歳に達する日から1年を経過する日(2歳の誕生日の前々日)までの間に、労働契約期間が満了し、更新されないことが申し出時点において既に明らかである者は除かれます。)

 ただし、労働契約の形式上は有期契約労働者であっても、その契約が実質的に期間の定めのない契約と異ならない状態となっている場合(更新によって継続雇用されている)には、上記の2つの要件を満たしていない場合でも、休業の対象となります。なお、雇用期間が1年未満の者、週の所定労働日数が2日以下の者などについては、労使協定によって対象から除外される場合があります。

介護休業

 介護休業は、要介護状態にある対象家族(配偶者、父母、子、配偶者の父母並びに労働者が同居しかつ扶養している祖父母、兄弟姉妹及び孫)1人につき、常時介護を必要とする状態ごとに1回の介護休業をすることができます。期間は通算して(のべ)93日までです。

 05年4月1日の育児・介護休業法改正により、民間では、一定範囲の有期契約労働者も、育児・介護休業の対象となり、また、子の看護休暇も取得できるようになりました。

  • 同一の事業主に引き続き雇用された期間が1年以上あること。
  • 介護休業開始予定日から起算して93日を経過する日(93日経過日)を超えて引き続き雇用されることが見込まれること。
    (ただし、93日経過日から1年を経過する日までの間に、労働契約期間が満了し、更新されないことが申し出時点において既に明らかである者は除かれます。)
子の看護休暇

 小学校就学前の子を養育する労働者は、1年に5日まで、病気・けがをした子の看護のために、休暇を取得することができます。パートタイム労働者についても期間の定めの有無に関わらず看護休暇の対象となります。

育児時間などの勤務時間短縮の措置

 事業主は、1歳未満の子を養育する労働者に対する育児時間のように勤務時間の短縮などの措置、1歳から3歳未満の子を養育する労働者に対する育児休業に準ずる措置または勤務時間の短縮などの措置、家族介護を行う労働者に対する勤務時間の短縮その他の措置を講じなければなりません。

パートタイム労働者についても期間の定めの有無に関わらずこれらの措置の対象となります。

時間外・深夜業の制限

 事業主は、小学校入学までの子を養育する労働者や家族介護を行う労働者に、時間外労働を制限(上限月24時間、年150時間)しなければならず、また深夜業をさせてはなりません。パートタイム労働者についても期間の定めの有無に関わらず時間外・深夜業の制限を請求できます。

自治体での状況

 自治体の非正規職員については、民間の育児休業法が公務職場を適用除外とし、地方公務員・育児休業法では、非正規職員と対象としていないことを理由に、多くの自治体では制度化されていません。

 しかし、非正規職員の闘いによって、事実上介護休暇や育児休業を認めさせるところがいくつも生まれています。通常の病欠なら一定期間認められて、そのことで直接解雇や契約更新拒否にはしない運用がなされているにもかかわらず、介護や育児による「欠勤」ならば不利益扱いするというのでは道理がありません。

 また、雇用保険に加入している場合、申請すれば育児休業手当を受ける権利があるのに、自治体に制度がないから不当にも適用されない問題を追及し、制度化を要求して、育児欠勤などとして育児・介護休業を制度化させるなど、具体的な成果が大阪・東京などで広がっています。

 また、2002年4月から実施された「子の看護休暇」について、正規職員との均等原則を求め、非常勤職員にも「有給で5日付与」を実現させたなどの画期的な取り組みが大阪の都市職など、全国にもひろがりつつあります。

 *雇用保険加入者は育児休業手当を受給できる自治労連の要求に対して、旧労働省雇用保険課が同法外の措置として「雇用保険法施行規則第101条の11(雇用保険法第61条の4第1項の休業)の要件を満たしていれば、『育児休業給付』は支給される」と回答しています。

したがって、育児のために休業することを自治体当局が認めた場合は、雇用保険に加入していれば雇用保険法の定めによる育児休業給付(07年に賃金の50%に改定)を受けることができます。

育児・介護休業制度の早期実現をめざそう

 育児休業と介護休業を権利として認めさせることは、いよいよ切実な問題となっています。自治体にはたらく非正規職員に対して「制度から適用除外」だとして、いまだに認めようとしない当局もありますが、全国的には実施に踏み切っているところが次第に増えており、もはや全面的な制度適用は時代の流れともなっています。

 いまだに認めようとしない当局の主張は「職場に復帰する約束の存在しない短期的任用の形式だから」という、実に現実離れした形式問題にしがみついているに過ぎません。

 すでに民間では有期契約労働者でも、繰り返し継続雇用の実態がある場合に、この制度を適用することになり、実施されています。自治体でもすでに実施が広がっているのは、実態にもとづいて判断されているからです。この制度には、臨職・非常勤には適用してはならないなどという法規制はどこにも存在していないことも明らかです。

 珍答に扱えるところから誠意を持ってとりくむかどうか、当局のやる気いかんにかかっている問題です。

育児休業給付は、非正規にも権利として認められている

 なお、育児休業には、雇用保険に加入している労働者(臨職・非常勤も)には、育児休業給付金が休業期間中に休業前賃金の30%を1回、そして職場復帰6ヵ月後に20%が支給されます。臨職・非常勤も当然受給を申請する権利がある(厚生労働省見解)のですから、事業主である自治体当局が、継続勤務実態にある労働者の申請を妨げることは不当なことであり、制度整備を急ぐよう求めてたたかいましょう。

不利益扱いを禁じた制度

 育児休業法が施行されたとき(平成13年11月)にも、権利としてこれを行使したものに対して解雇など、不利益取り扱いを禁止していました。

 

 その後、事業主に対知る「指針」(育児介護を行う労働者に事業主が講ずべき措置に関する指針、平成17年4月1日)では、さらに禁止条項が強化され、「契約が期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態となっている場合には、育児休業および介護休業の対象となる」とし、更新の実態や、業務の恒常性、継続雇用を期待させる事業主の言動など、その制度適用すべき判断基準まで示しました。(同指針第2項)

 事業主が、雇い止め・更新拒否・私事欠勤扱いのペナルティ措置などをあらかじめ予告することは、事実上育児・介護休業の申告をさせない行為であり、同じく禁止された行為と見なすことができます。(都道府県雇用均等室などが指導監督所管となります)

 なお、産休を理由とする解雇は禁止されています。(休業期間とその後30日、労基法19条の2項)


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