「賃金・権利・労働条件」のてびき

はじめに

 自治体にはたらく非正規の職員は、「臨時職員」、「パートタイマー」、「非常勤職員」、「嘱託職員」、「アルバイト」など様々な名称で呼ばれており(以下、この「てびき」では「自治体の非正規職員」とします)、自治体職員の2割~3割(自治体や職場によっては5割以上のところも)を占めており、福祉や教育・医療など様々な分野で、住民サービスの一線で頑張っており、「今やなくてはならない」存在となっています。しかし、その処遇は「今どきあってはならない」ほどに、不安定で劣悪な実態におかれています。

 今日、「格差と貧困の拡大」、「ワーキングプアの増大」が社会的問題となっているもとで、増大する非正規労働者の雇用の安定と劣悪な労働条件の抜本的な改善は、労働組合運動にとって喫緊の課題となっています。

 自治体当局に、自治体の責務として「格差と貧困の是正」「ワーキングプア解消」のために、自治体が率先して非正規職員の処遇の抜本的改善をはかることを求めていくことが重要です。そのために何よりも重要なことは、自治体にはたらく非正規職員の処遇を働いている実態にふさわしい処遇に引き上げるために、地方公務員法・労働基準法など労働関係法を活用すること、あわせて法制度の改善を進めることです。

 「貧困と格差の拡大」が社会的問題となるなかで、非正規労働者や労働組合の粘り強い闘いの成果として、政府も「生活保護費よりも低い最低賃金」の是正などに動き始め、07人勧で「非常勤職員の処遇と位置づけの検討の必要性」を勧告するなど、貴重な到達を築いてきています。

 しかし、政府・財界は、解雇規制の見直し、派遣規制の完全撤廃、有期雇用制限の撤廃など、労働者との働くルールと労働組合の存在を全く否定する「労働市場改革」を推進しようとしています。「働くルール」のこれ以上の改悪を許すのか、人間らしく働き続けられるルールを確立していくのか、今日、重大な局面になっています。

 07年の通常国会で成立した「改正パート労働法」は、実効性が乏しく、格差を固定しかねないものですが、パート労働者の処遇改善に役立つものにし、活用できるものは活用するという立場でとり組みつつ、引き続き均等待遇実現に向けて運動を強化しましょう。

 この「てびき」は実践のなかで活かせるよう法律・制度の理解を深め、雇用問題・職場のトラブル・組合づくりなど、多くの具体的事例を引いて、明解な解決方法を示すように心がけました。今後、全国からの貴重な実践例や成果をどしどし寄せて頂き、そしてこの「てびき」をさらに豊かにさせていくことを願ってやみません。

なお、作成にあたって、法制度を解説した書籍をはじめ、東京都労働局で作成された資料(HPに掲載のもの)等を活用させていただいたことに感謝申し上げます。

非正規労働者の現状

 日本の雇用構造は劇的に変化し、98年から07年3月の間に正規労働者が401万人減る一方、非正規労働者553万人増え、非正規労働者は07年には1726万人、労働者3人に1人、女性・青年では2人に1人が非正規労働者という状況になっています。これらの非正規労働者は、不安定な雇用で劣悪な労働条件のもとに働かされています。パート労働者の賃金は正規労働者の34%、1692万人(男性18.1%、女性65.1%)、非正規労働者で年収200万円未満の労働者は78.2%を占めています。

自治体非正規職員の現状

 総務省の調査で、06年の自治体の非正規職員は45万5千人と公表されましたが、この調査の前提は、週20時間以上の労働時間で、6ヵ月以上勤務が予定されている非正規職員ということで、その判断は自治体の担当者にまかされていますので、自治体キャラバンなどの調査を見ると、実態はもっと高い比率であることが想定されます。

 これらの非正規職員の大半は、地方公務員法にもとづく「一時的・臨時的・補助的」業務ではなく、本来正規職員が担うべき「恒常的・基幹的」業務に従事しています。

 しかし、地方公務員法は、「恒常的・基幹的」業務に非正規職員を従事させることを想定していないため、非正規職員は長期に働いていても契約更新のつど「いつ雇い止めにされるか」という不安にさらされ、一時金・退職金・諸手当がない、昇給制度がなく10年目の人も1年目の人も賃金が同じ、育児・介護休業、病気休暇がないなど劣悪な労働条件のもとで働いています。


1.賃金・労働条件はどのようにきまるの?

第1部 臨時・嘱託・非常勤職員の賃金・権利・労働条件

 自治体に働く非正規職員は、公務員なの? 民間の労働者なの?

 正規公務員ではない、パートだからと言われると、公務員に適用される制度や処遇からも外されているように思えたりもします。

 しかし、非正規労働者も当たり前な労働者ですし、さまざまな点で正規公務員並みの扱いをしなければならない制度がたくさんあり、同時に民間労働者と同様な権利や制度保障が適用されているのです。

 以下、賃金・労働条件の改善をすすめる上で、大切な基本的な原則を知っておきましょう。

(1)労働基準法(労基法)が全面適用されます

 憲法第25条では「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」と、すべての国民の生存権を保障しています。また、第27条では「全て国民は勤労の権利を有し、義務を負う。賃金、就業時間、休息その他の労働条件に関する基準は、法律でこれを定める」と勤労権を明記し、「労働基準法」を定めました。

 この労基法の第1条では、労働条件について「労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすものでなければならない。・・・その向上を図るように勤めなければならない。」としています。そして、労基法では、賃金の原則や支払方法、労働時間や時間外手当の支給、有給休暇の制度、雇用契約や解雇の制限など働くルールについての最低基準を定めています。

 これは、すべての労働者を前提にした法律ですから、自治体・非正規労働者も適用されることは当然です。そもそもパートとは、身分的区分をいうのではなく、勤務時間が常勤の労働者より短い労働者のことをいうのですから、この点を除けば常勤の労働者と同じです。

 また、労働基準法は「同一労働、同一賃金」の原則をうたっています(第4条)。およそ世界の大勢も、正規とパートの差別撤廃を基準として確立しています。自治体の非正規職員にも、正規職員と同一の労働に従事しているのであれば、当然、勤務時間に比例した、賃金を支給するべきです。その他の手当や福利厚生部分も実態に合わせて同一の扱いをすべきです。

「最低賃金」は適用される

また、事業主は最低賃金法に基づいて定められた地域別・産業別の最低賃金以上の賃金を支払わなければなりません。これは、パート・アルバイトなどの雇用形態にかかわらず、また性、国籍に差別なく、すべての労働者に適用されます。

最低賃金額は、イギリスなどの先進諸外国が1000円を超えているように、労働者全体の運動で大幅引き上げをすすめることが自治体・非正規労働者にとっても大変重要です。

 ◆労基法に違反すると使用者は処罰されます
 他の労働法規もそうですが、労基法も自然に労働者を守ってくれるものではありません。きちんと要求し、守らない相手にはキゼンとした姿勢をとることが大切です。その際、権利を要求・行使したからといっても、使用者が労働者をクビにしたり、不利益な扱いをすることは法律が禁じています。使用者が労基法の定めに違反し、監督署からの是正勧告を無視するような悪質な場合は、刑事処罰が課せられます。

(2)賃金・労働条件は、労使交渉・労働運動で改善をすすめる

 労働基準法では、労働条件を憲法にもとづき人間らしい暮らしを保障するものとして、たえず向上するよう労使に努力責任があるとしています。そのために労働組合法では、労使対等の立場で労使交渉を行うことを保障しており、これは、自治体の非正規職員でも同様です。

 たとえば、労働基準法や労災補償制度などは、あなたの雇用形態などにかかわらず原則的に適用されます。また社会保険、雇用保険などは勤務時間によって、適用対象が決められています。(詳しい解説はその項目を読んで下さい)

 そして、ボーナス・退職金・諸手当などは、法律や制度で支給することを定めていないからといって、出せないとか要求できない、というものではありません。

 よく当局側は「非常勤には報酬以外には手当(一時金や退職手当など)を出すことは地方自治法203条で禁じられている」として、認めないことがあります。でも、労働組合の運動によって全国、各地で一時金や退職金制度を実現させています。先進例がこの手引きに沢山掲載しています。

 賃金・労働条件の改善は、法律などで上から保障されるものでなく、働くものが団結し労働組合の運動で改善させるよう、ねばり強く要求し制度や規程を変えていくことが大切です。

(3)賃金・労働条件を決める原則は・・正規労働者との「均等待遇」

 非正規職員は、正規職員とほとんど同じ仕事、同じくらいの労働時間であっても、賃金は数分の一という劣悪さ、加えて一時金や退職金もない、労働時間は(年休・特別休暇・諸権利休暇なども考慮に入れると)正規に限りなく近く、総労働時間で計算した賃金の格差は驚くほど大きいのです。「名のみのパート」「疑似パート」といわれるゆえんです。

均等待遇は、国際的な原則

 国連人権規約では賃金上の差別は人権差別であるとしています。国際的な労働基準を定めているILO(国際労働機構)は、1958年ILO111号「雇用と職業における平等」条約、1994年ILO総会で採択された「パートタイム労働に関する条約(175号条約)」と、各国への「勧告(182号)」で、公共部門・民間部門を問わず、「正規職員と同一の労働に従事しているのであれば、勤務時間に比例した、同一の賃金が支給されるべきである」ことの「均等待遇」の原則を国際的に確立しました。

 これは「すべてのパートタイム労働者に適用される」ものとされ、もちろん期間の定めのある臨時的雇用、季節的アルバイトも含めて、各国が次のような基準を達成するよう求めています。しかし、日本政府はこれを今日まで見送っており、未批准はわずか11ヵ国のみとなっています。

 国内法には『パート労働法』や同法にもとづく『パート労働指針』があります。いずれも正規労働者との均衡を考慮するよう使用者側の努力をうながしていますが、強制力がないため実効性が事実上失われています。

 そんな中でも、契約スチュワーデス問題や長野県の丸子警報器事件のように、不安定雇用の解消と均等待遇の実現を求める闘いでは、経営者団体が大衝撃を受けるほどの勝利をつぎつぎとおさめています。

 不安定雇用労働者のたたかいは今日大きな前進をみせて、自治体の仲間に運動が力強くひろがっています。『処遇と地位の向上、自治体職場で良い仕事がしたい』 そんな公務パートの誇りを胸に、全労連・自治労連の仲間といっしょにがんばりましょう。

「任期付短時間勤務職員制度」の問題点と課題

 「任期付短時間勤務職員制度」の導入が、近年拡大されてきました。この制度の最大の問題点は、正規職員の本来業務に、低い処遇でしかも3年任期などの短期間任用で非正規職員を配置するということです。

 すでに導入されているところでは、たたかいによって3年任期(再任用を妨げない制度なので)のたびに事実上継続雇用をかちとっています。また一般職であることから、休暇制度、一時金、福利厚生面などで、非常勤のときよりも処遇を改善させているところがあります。

 しかし一方では、非常勤では確保されていた退職金や生活給の手当などが、「任期付短時間」に移行したことで、処遇が下げられる場合もでています。「任期付短時間」については、こうした処遇の維持・改善と、正規との均等待遇に近づける制度設計を強く求めるとりくみが大切です。とりわけ、不安定雇用をそのまま制度として持ち込んだ「任期付」ですから、必ず継続雇用を実質的に確保させることを厳格に求めることが重要となります。

真に均等待遇を保障する「短時間公務員制度」をめざして

 私たちは、たとえ勤務は常勤職員より短時間であっても、均等待遇こそが大原則という、いまや国際的常識を公務の職場において実現することをめざしています。このことは民間も公務もまったく同じことであり、ともにその実現をめざして運動を進めてきました。

 そうした点では、私たち自治体の非正規職員にとって、「短時間公務員制度」の法的確立が目標となっています。

 『期限の定めのない雇用契約』、そして『賃金も権利も福利厚生も均等付与を保障する』、これが自治体の非正規職員の正しいあり方といえます。

 (1) パートタイム労働者とは
 “パート[part]”はもともと“全体の一部”という言葉ですから、パートタイム労働はフルタイムに対して“部分的な時間”での働き方、つまり短時間労働という意味になります。
パートタイム労働者(短時間労働者)は一般の企業では、パート、アルバイト、嘱託、臨時従業員、定時社員、準社員など、いろいろな呼び方をされており、また実際の仕事や処遇は様々です。
パートタイム労働法では、その対象となる短時間労働者を「一週間の所定労働時間が同じ事業所の通常の労働者(正社員)よりも短い労働者」と定義しており、名称は問いません。

(2) パートタイム労働者に適用される法令
 パートタイムやフルタイムにかかわらず、またその名称にかかわらず、労働者には労働基準法、最低賃金法、労働安全衛生法、労災保険法、男女雇用機会均等法、育児・介護休業法、雇用保険法等の労働者保護に関する法令が適用され、その権利は保障されています。

*パートタイム労働法 ~パートタイム労働者の福祉の増進を図る~
 「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律(パートタイム労働法)」と同法に基づく〈パートタイム労働指針〉では、事業主が行なうべきパートタイム労働者の適正な労働条件の確保などの雇用管理の改善を図るための措置について定めています。パートタイム労働者の就業の実態、正社員との均衡を考慮した処遇が求められています。


2.賃金・諸手当の改善にむけて

第1部 臨時・嘱託・非常勤職員の賃金・権利・労働条件

(1)自治体の非正規労働者の賃金・諸手当

1)自治体非正規労働者の賃金の現状

 特別職非常勤職員は報酬(自治法203条1項)が支給されますが、報酬額は職務に応じて、また高度の専門性や熟練性、経験年数などを加味して個々具体的に決められているのが一般的です。

 臨時職員の賃金は、正規職員とは切り離し、任命権者が条例、規則、規程、要綱で定め、月額制ではなく、日額又は時間給として統一単価による支給が一般的です。

 「正規職員」が、地公法第24条の「均衡の原則」によって一定の水準が確保されているのにたいし、「臨時・非常勤職員」の賃金水準は、その賃金決定が「正規職員」とはまったく異なった基準で行なわれています。多くの自治体では自治体財政や当局の裁量権にゆだねられているのが実態です。そして、一つの目安となっているのが「地域別最低賃金」水準や地域の民間パート賃金水準です。

 同時に、賃金形態も「正規職員」が月給制であるのにたいし、その多くが時間給・日給で分断されており賃金格差拡大にいっそう拍車がかかっています。また、月給制であっても報酬とみなされ、期限付き任用を根拠に、勤続をベースとして昇給する体系がなく、実態上何年働いても、低い賃金単価を押しつけられているのが現状です。

2)均等待遇の原則をかかげ、改善をすすめよう

 ILOは、「パートタイム労働に関する条約(175号条約)」、「勧告(182号)」で均等待遇の原則を明確にしています。EUなどの先進諸国では、パートの均等待遇が原則とされ、制度・実態がすすんでいます。

 また、「パート労働法」は、パートの賃金・ボーナス・退職金については、その就業実態、正職員との「均衡」等を考慮して定めるように努めることされていますが、現状ではほとんど実効性あるものになっていません。

 臨時職員の賃金決定基準について、かつて人事院給与局長は、公務員共闘代表との交渉の席で、「一般職員との均衡を考慮し、予算の範囲内で給与を支給する建て前からいって、一般職の25分の1(週休2日制の現在に換算すると20分の1)として算出した額を日額とする」と回答しました。

 また自治省も行政実例で、「臨時的任用の職員は、給与、勤務時間、その他の条件について、別個の条例で定めない限り、他の職員と同様にすべきである」(昭31、3、8自丁公発33号石川県総務部長宛公務員課長回答)と示しています。

 しかし、なんといっても全国の関連労働者のねばり強いたたかいによって、賃金・労働条件の改善は、国・自治体当局や、さまざまな法律・制度の規制をはねかえして、ひとつひとつ突破をはかってきたことが今日の前進を築いてきたのです。

 自治体の非正規・関連労働者の賃金を大幅改善をさせることは、地位向上のみならず、安上がりの「行革」路線や人減らし自治体リストラにストップをかける重要な課題として、いまや全ての自治体労働者がともにたたかわれる運動になっています。

3)賃金の底上げを、春闘、人勧闘争など、
全国の運動といっしょにすすめよう

 そもそもパートの「単価」は、「善くも悪くも」世間水準と深く結び付いていることは、わたしたちの実感ではないでしょうか。

 今日の公務パートの低賃金構造を根本的に打破するためには、みずからの大幅賃上げの闘いと、全国いっせいに闘われる春闘や、人事院勧告と闘う公務員のなかまといっしょになって、大きな運動につくりあげていくことが重要であることはいうまでもありません。

 特に近年は、全国一律最低賃金制度の確立(未確立)を求める運動や、すでにある地域最低賃金の抜本的引き上げ闘争、自治体キャラバンの取り組みなどとしっかり結合させて、底上げをはかる取り組みが活発になってきました。

 こうした運動とあわせて各自治体でのとりくみをすすめることが大切です。

(2)「基本賃金」の引き上げ、「経験加算」制度をめざそう

1)基本賃金の算定根拠の明確化、月給制・固定給への改善を

 多くの自治体では、臨時・非常勤・パート職員の賃金は、月給払いの形になってはいても実質は時間単価による時間給制または日給制となっています。パートだから安いまま据え置いてもよいということにはなりません。同じ職種ではたらく常勤公務員の月額の20分の1を最低の日額、その8時間分を最低の時間単価とするなど、根拠と目標を持って要求していきましょう。

 また、長期に継続雇用されているものについては、固定給(月額制)を実施させることが望ましいといえます。月給制は、次の利点があります。

  ○ 勤務日数の変動からくる不安定収入の解消

  ○ 定期昇給、人勧による給与改定(ベースアップ)をさせやすくなる

  ○ 時間短縮による月収低下をさせず、単価を引き上げさせることができる

  ○ 互助会などへの加入、福利厚生の正規に準じた措置をさせやすくする

 各自治体によって基本賃金はさまざまです。大切なことは、労使合意で制度をきちんと確立しておくことでしょう。そうすれば、改善をさせていく確実な根拠やすじみちが敷かれることになります。

 たとえば、人事院勧告による給与改定が公務員に行われる際にも、臨職・非常勤職員の単価引き上げ要求をしなければなりませんが、上記のように、賃金の基本を公務員の昇給制度の一部にでも格付けておくことで、ベースアップや定期昇給獲得も容易となります。

2)昇給制度の確立を

 賃金決定の均等待遇や「同一労働同一賃金」の原則をふまえるなら、長期に継続的に勤続することが求められるような業務に働く非正規労働者には、経験による加算制度がなければ、正規公務員との格差は年々拡大します。

 ベテランの非正規労働者が新人の正規職員に業務を教えるような状況もある中で、いわゆる昇給制度とか、経験加算制度などが必要です。全国では、長年の運動の成果とそして、不十分とはいえ経験加算の制度を勝ち取っているケースが拡大しています。粘り強く要求していきましょう。

(3)通勤手当は、実費支として常識

1)支給を認めざるを得なくなった当局

通勤手当は、地方自治法で非常勤に対しては支給できないと、ながねん当局は主張してきました。(昭和33年8月19日付で人事院は「非常勤に支給される通勤手当相当の給与に対する所得税は非課税扱いとする」通知を出していたぐらいなのですが)。

 全国各地の運動の実績によって、いまではかなりの自治体で臨職・非常勤への通勤手当は常識となっています。そうした反映もあって、旧自治省は96年3月13日付で各自治体に非常勤職員の通勤費を実費弁償として支給してもよい、との通知をしました。

 労働時間の多少にかかわらず全て支給対象とするものです。いまだ実施していないところでは実施を求めるとりくみをすすめましょう。

2)賃金部分と切り離して支給させましょう

実費弁償とは、基本報酬や諸手当とは別に切り離されたもので、必要上かかった費用を弁償するというものです。したがって自治省は、通勤費は通常の賃金とは別に支払うものとしたわけです。ところで通勤費は非課税(現在は10万円を限度額)扱いなので、賃金(報酬)部分と切り離す必要があります。

 毎月の給料支払明細書においても明記させましょう。通勤費が年間何万円にも及ぶ人は、払わなくてよい多額の税金をとられてしまいます。注意しましょう。(これまで不当に課税されてきた人に対し、本来なら使用者の責任で還付請求ができるようにさかのぼり措置をするべきでしょう)

3)時給の見直しを

 これまで通勤手当は支給できないことを理由に、臨時・非常勤の時給のなかに名目的に組み込んで賃金として支払ってきたところがあります。しかし、その賃金がすでに生活給となっており、従来の賃金から通勤費を差し引きようなことは絶対にさせないことです。むしろ費用弁償だというのですから、従来の賃金とは別に実費を支給するように、改善と見直しを要求していきましょう。

4)支給額上限をなくし、格差をなくそう

 パートを近在から採用するケースが多いなかで、遠距離通勤を余儀なくされている人への支給額が、実費よりずっと低く削られていることがよくあります。実費弁償であるというならば、不合理な上限をなくし、文字通り実費全額を出すのが道理というものです。少なくとも正規職員の通勤手当規程に準じるようこの際是正させましょう。

(4)一時金(ボーナス)

一時金の支給を求めよう …ボーナスも出さへん市が、どこにあるねん?

 正規職員には、期末・勤勉手当としてボーナスが支給されています。しかし、臨職・非常勤職員にはこの制度が適用されていません。しかし、名目は「○○報酬」「特別報奨金」などいろいろですが、たたかいによって実質的には一時金制度を各地で実現しています。

 大阪でもかつては「ボーナス出す市がどこにあるねん?」と、各当局は取り合おうともしませんでした。でも大阪自治労連として、長年の統一交渉・闘争の積み上げ、やがて逆転して「ボーナスも出さへん市がどこにあるねん?」と、逆に組合が詰めよるまでになり、いまでは一時金を年間4月以上獲得している自治体が多くあります。

「諸手当の支給は法律で禁じられている」って本当なの?

 当局はよく地方自治法203条をタテにとって、非常勤には「報酬しか認めていない」ので、一時金・退職金を含む諸手当の支払は禁じられているなどと宣伝しています。しかし、これは明らかに誤っています。

 現に、非常勤に残業させた場合は“時間外手当”を支払わなければならず、それを自治法で諸手当の支給は禁じられているので払わないという理屈は、労基法第37条に反するもので通用しません。また旧自治省は「通勤手当」も出せるとした通達を出しました。

 さらに、「報酬」とは、賃金以外のものを特別にさしたものでなく、民法や労基法でいう「賃金」と全く同じ意味にあたるものです。(労基法11条では、賃金の定義について「名称のいかんを問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいう」と定めています)。一時金・退職金の法的性質は賃金の後払いと解されます。諸手当も賃金です。

 自治法203条は、今日のような常用に近い非常勤に対して予定されたものではなく、議会の議員、委員会の委員といった特別職に対する報酬について規定していると、解されています。一般の非常勤職員にとっては、自治法203条にいう「報酬」とは、あくまで労基法上の「賃金」ですから、むしろ諸手当・一時金・退職金もすべて賃金である「報酬」に含めて、支払われるように規定にうたうならば、何ら法に反する問題ではないというべきです。

(5)住宅手当など諸手当の支給を

 いまでは多くの自治体非正規職員にさまざまな手当支給が実現するようになっています。

 扶養手当を人勧に準拠して支給させ、住宅手当も独自に支給制度をかちとっています。夜間勤務者や土日勤務に対して、特別手当や時給割増し加算を支給させるなど、勤務条件に対する処遇の改善をきめ細かく勝ち取っています。

 自治労連の総務省交渉の際にも、総務省がどんなに公式発言として「手当は認められない」と言おうとも、全国の実施状況を示し「すべて違法状況として否定するのか」と追及しますと、「各地方の団体の判断によって行っていること」と、言わざるを得なくなっています。

 制度の壁を打ち破る全国のたたかいの経験をもっともっと広げて、やがて産別の大きな運動によって法制度に明確化させる「展望の時代」をめざしましょう。

(6)退職金の実現をすすめよう

1)退職金支給を求めよう

 多くの自治体当局は、「退職手当」は継続勤務でない臨職・非常勤には支払われるべきでないと主張しています。しかし任用の形式はともかく、実質的に長期にわたって雇用関係が継続している場合には当然支払われるべきものです。事実がものをいうわけでしょう。全国各地で、名目は「退職慰労金」「退職報償金」などいろいろ表現されていますが、実質的に退職金制度を実現しています。法的な性格としては、一時金も退職金も賃金の後払いと解されています。

 いまや正規に近い勤務実態の公務パート労働者が増えているなかで、退職金支給はさらに全国に拡大されていくでしょう。積極的に実現を求めていきましょう。

「常勤の実態に近いものには退職手当を支給する」と答弁

 旧自治省は、「実態が常勤と近い方は、退職手当等につきましては常勤職員と同じ扱いをする。具体的には、常勤の勤務時間以上勤務した日が月18日以上ある月が6ヵ月以上を超える(当初12ヵ月という答弁を訂正させた点に注目を)方には退職手当を支給する」(日本共産党吉川春子議員の質問による自治省公務員部長の回答/平成8・5・22第136国会参議院地方分権特別委員会)と答弁しています。

2)中小企業退職金共済制度(中退共)および特定退職金共済制度の活用を

 退職手当制度から除外されている不安定雇用の自治体の非正規労働者にとって、制度確立をめざしつつも、少しでも要求前進させていくために、以下のような既存の制度活用も大いに研究をして、実現させていきましょう。

中小企業退職金共済制度(中退共)とは
特定退職金共済制度とは

3.勤務時間について

 勤務時間とは、職員が労働を提供すべき時間であって、法律又は条例等に特別の定めのある場合を除く外は、地公法第35条でその取り扱いが定められています。この場合、当然のことながら労基法で定める基準に触れる内容を定めることはできません。

 勤務時間(労基法第32条第1項)、休憩時間(同法34条第1項)は労基法によって、規則等で定めておく必要があります。

 また、休息時間は労基法に定めがなく、地方自治体が勤務時間条例などに規定し設定しているものですが、この休息時間を廃止する動きが広がっています。賃金削減を許さないなどの対応が必要です。

 政府・財界は、ホワイトカラーエグゼンプションという残業代をゼロにする制度の導入をねらっています。こうした改悪を許さない運動も重要です。

(1)勤務時間の短縮でパートの賃下げは許されません

 非常勤職員は、正規職員の4分の3以下の労働時間とするのが一般的になっていますが、正規の時間短縮が行われるとそれにあわせて、非常勤も短縮されることが一般的に行われてきました。こうしたときに、非常勤の減収や社会保険からの適用除外をさせないようにする問題が生じます。

 臨職も同じですが、時短は本来労働条件の向上のためにあり、現給の保障は当然のことです。それを単に時間パートだから、非常勤だからといって時短にともなう単価改正を正規職員と差別することはなんらの合理的な理由はなく許されません。

 4週6休(週44時間制)、4週8休(週40時間制)に移行する際にも、全国の公務パートは大幅に時間単価、日給単価を引き上げさせる成果をあげました。

 当局が、臨職・非常勤の労働時間・勤務日数を削減するような場合、減収にならない、労働強化にならない、人減らしをさせないように、労働組合としてとりあげ、たたかうことが大切です。

(2)時間外手当、休日・夜間労働などの賃金の割り増し

 パートタイム労働者が1日の所定労働時間を超えて働く場合に賃金がどのように取り扱われるのか、「1日6時間」のパートタイム労働者を例にとって説明しましょう。

 労働基準法の「1日8時間・1週40時間」労働の原則は、パートタイム労働者にも適用されます。6時間から8時間までの2時間分は、労基法上では通常の賃金の時間単価の100/100を最低支払うこととされていますが、8時間を超える場合には、超えた分について、事業主は通常の賃金の2割5分以上の割増で単価の125/100を支払わなければなりません。

 しかし、6時間~8時間の部分も、あらかじめ定められた勤務時間から見れば時間外です。賃金の割り増し支給は、安易な時間外労働を抑制することを目的にしているのであり、割り増しを要求すべきです。

 また、深夜(午後10時から午前5時まで)労働の場合は2割5分以上、休日(1週1回または4週4日の法定休日)労働の場合は3割5分以上の割増賃金を支払わなければなりません。時間外労働と深夜労働、休日労働と深夜労働が重なったときは、それぞれ下表のとおり5割以上、6割以上の割増賃金が支払われることになります。

 なお、パートタイム労働法に基づく「指針」では、事業主は、できるだけ所定労働時間を超えて、または所定労働日以外の日に労働させないように努めるものとする、としています。

(3)休日(出勤予定日)の「振り替え」と「代休」

 契約上の所定の休日(勤務が予定されていない日)に労働をした場合に、あらかじめその休日が他に振り替えられている場合を「振り替え休暇」といいます。いっぽう、あらかじめ振り替え日の定めがないのに、所定の休日に労働した場合は、たとえ他の日のどこかで休むとしても、これは「代休」となります。

 振り替え休暇と代休との違いは、振り替え休暇は必ず与えなければならないのに対して、代休は必ずあたえるかどうかについては労使の合意によって決めることができます。ただしこの点で注意しなければならないのは、代休の場合は、たとえ別の日に代休とったとしても、休日出勤した際の休日割増分は発生しているので、時給の35%割増賃金は払わなくてはなりません。もし代休そのものが与えられなかった場合は、当然、休日出勤時間全体に対して135%の賃金を支払わなければなりません。(ただし休日出勤しても法定の週40時間を超えない場合には、割り増し賃金を出さなくてもよいことになります。ところが、休日労働しても、週40時間以内あるいは一日8時間以内であっても、通常から所定外労働したときに時間外労働手当が出ているような契約関係であれば、代休による割増賃金は当然出ることになります。)

 振り替え休暇の場合は、もともと休日労働とはみなされないので、法定の割増賃金を払わなくても罰せられない」(労基法35条2項)とされています。しかし、この場合でも、休日労働したその週の労働時間が法定の40時間を超えた場合には、割増賃金を支払わなくてはなりません。(昭和63・3・14基発150号ほか)

 休日の振り替えは、労働者のライフスタイルに大きな影響を与えるので、勤務日を変更する条件は厳格にすべきものとされています。所定の勤務日を使用者の都合で振り替えるのですから、あらかじめ就業規則に、休日振り替えの定めをしておくこと(労基法89条1項1号)が必要です。職場のその都度の勤務表に定めれば、変更は自由に行っても良いということにはなりません。厚労省労働基準局のいくつかの通達でも、「就業規則において、振替が必要とする具体的事由と振り替えるべき日を規定すること」(同上・基発150号ほか)とされています


4.有給休暇など、休暇・休業制度について

(1)各種の休暇制度

 自治体の非正規職員の休暇については、一律的に取り扱うのは適切でないとしながらも、「平等取り扱いの原則」及び「情勢適応の原則」により、常勤職員の勤務条件の均衡を配慮し、その勤務形態に応じて休暇制度を定めることになります。

 自治体の非正規職員も当然の権利として、労基法の定めにある年次有給休暇(労基法第39条)、産前産後休暇(同法第65条)、育児時間(同法第67条)、生理休暇(同法第68条)、公民権の行使(同法第7条)、また、育児休業法の規定する育児休業や介護休業、子の看護休暇なども休暇(自治体での制度化が必要)の一つとして取得できます。

 なお、特別休暇は、事故休暇・母性保護休暇・慶弔休暇・家族看護等休暇・病気休暇・労使関係休暇・福利厚生関係休暇などで、その制度化は任命権者の裁量に委ねられています。

 特別休暇については、認められていない自治体や、認められていても忌引き休暇を正規職員と格差をつけるなど、パート労働法や指針の主旨に外れた差別的実態が自治体には多く残されています。

(2)有給休暇

1)年次有給休暇制度とは

 年次有給休暇は、労働基準法第39条で保障されています。

 その内容は、(1)有給休暇とは、労働者の希望する日に休んで賃金が補償される休暇です。(2)付与対象は、勤続6ヵ月を過ぎれば定められた休日以外に、パートタイム労働者であっても、6ヵ月間勤務し、所定労働日の8割以上出勤した場合は、年次有給休暇が付与されます。(3)雇用関係が継続する場合は、6ヵ月を超えて勤務した1年ごとに、新たな有給休暇が付与されます。 (4)所定労働時間や所定労働日数の少ないパートタイム労働者には、通常の労働者(正社員)とのバランスを取るため、「比例付与」の方法で以下の付与日数が決められています。

 

●年次有給休暇の付与日数

  • 週所定労働時間が30時間以上、週所定労働日数が5日以上、または年所定労働日数が217日以上の場合→ 通常の労働者と同じ日数を一日の勤務時間の長短に関係なく与えることになっています。
  • 週所定労働時間が30時間未満、5日未満の場合→ 所定労働日数によって異なります。

 

●年次有給休暇の時効

 年次有給休暇の時効は付与された日から2年です。付与されてから1年以内に取得しなかった分は、次の1年に限り取得することができます。ただし、退職日以降に取得することはできません。

 一方、自治体の正規公務員の場合は、次年休の繰り越しが40日以上となっている場合が多くあります。労基法は最低基準であり、自治体の正規公務員に比例した制度となるよう改善が必要です。

 

●年次有給休暇の付与日数表

短時間労働者の週所定労働時間 雇入れの日から起算した継続勤務期間の区分に応ずる年次有給休暇の日数
短時間労働者の週所定労働日数 短時間労働者の1年間の所定労働日数(週以外の期間によって労働日数が定められている場合) 6ヵ月 1年
6ヵ月
2年
6ヵ月
3年
6ヵ月
4年
6ヵ月
5年
6ヵ月
6年
6ヵ月
7年
6ヵ月
8年
6ヵ月
9年
6ヵ月以上
30時間以上 10日 11日 12日 14日 16日 18日 20日
30時間
未満
5日以上 217日以上
4日 169日~216日 7日 8日 9日 10日 12日 13日 15日
3日 121日~168日 5日 6日 6日 8日 9日 10日 11日
2日 73日~120日 3日 4日 4日 5日 6日 6日 7日
1日 48日~72日 1日 2日 2日 2日 3日 3日 3日

 

2)有給休暇の連続通算、繰り越しも均等待遇を

 年次有給休暇の日数は、労基法で定められている上の表の通りです。

 なお、次年度も継続雇用となったのにもかかわらず、単年度ごとの契約を口実にして、年休の繰り越し権を認めようとしないのは、明白な労基法違反です。

 また、臨時職員の実態は、有給休暇について、6ヵ月以上の継続雇用であっても「6ヵ月を限度」との理由で雇用中断期間を設けて、不当に与えようとしない自治体があります。これは、勤務の実態を無視したもので不当なものです。

 *不当な雇用の短期間中断は勤続加算扱いに競走事業の十時労働者に対して、労働省は(平成1年3月10日基収140号)雇用が継続かどうかを判断する目安として「おおむね毎月就労すべき日が存続すること。失業手当の受給をしていないこと」などを判断基準にあげて、こうした場合には年次有給休暇の支給制限をしてはならないとしています。これは競走事業者に限ったことではないので、活用しましょう。

たとえば、1ヵ月だけ間を開けてから再採用することが、慣例的にあらかじめ約束されているような、雇用の恣意的な中断は明らかに「概ね毎月就労している」と見なされます。ましてや、1~2週間だけあけるということは許されません。これは雇用保険の加入についても同様で、加入逃れを許さないよう、要求しましょう。

(3)産前産後休暇・育児時間・母性保護

 母性保護等のため労基法で以下のように定められています。各自治体の正規職員には、有給休暇とするなど労基法を上回り改善させています。こうした制度を非正規職員にも適用できるように労使で確認し制度化させましょう。

○産前・産後休暇

 労基法では、パートタイム労働者を含むすべての働く女性が取得できます。

 産前の6週間は、労使の意思に関係なく、強制的な休業です。また、6週間経過後は、女性が請求すれば、医師が健康に支障ないと認めた業務につくことができます。出産の翌日から産後8週間取得できます。

 なお、産前・産後休暇で賃金補償がない場合、社会保険加入者には出産手当金が支給されます。

○育児時間

 1歳までの子を養育する女性が請求すれば1日2回、少なくとも各30分の育児時間を取得できます。

○母性保護の休暇等

 生理休暇、妊産婦等の危険有害業務の就業制限、妊産婦の軽易業務転換、妊産婦の時間外・休日労働・深夜業の禁止、妊産婦の通院休暇、通勤緩和などの勤務軽減についても同様に適用されます。

(4)病気休暇、慶弔休暇などの特別休暇

病気休暇(私病)の保障制度を

 長く働いている間には、病気になったりケガをする危険は誰にもあることです。労災・職業病とちがって、私傷病になるとなんの保障もなくて、とたんに収入が断たれてしまう、というのがパートの悲しさです。

 しかし人間の健康は厳しい毎日の労働と全く無関係ではありえません。ですから、たとえケガや病気の直接的原因が仕事と無関係にみえても、永年酷使してきた身体の状態がそれらの要因になっていることはいくらでもある話です。病気になったら使用者は知らんぷり、あげくに辞めてもらう、これでは労働者は使い捨てにすぎません。病気になっても、企業や国・自治体による一定の保障をさせていくことは、働くものの基本的人権にかかわる問題です。

非正規職員にも病気休暇(欠勤制度)を

 正規職員も病欠保障制度については極めて不十分な実状ですが、せめてパートも正規並みを求めましょう。パートの私傷病による欠勤でもっとも心配されるのが、雇用継続のことでしょう。更新の条件に所定(契約上の)勤務日数の何%以下は更新しない、と要綱に定めているところもあります。傷病による欠勤はこれらから除外して考えるとか、一定の軽減措置をとらせるなどの改善を求めましょう。また、一定の期間について賃金保障(傷病手当でもよい)をするように求めましょう。

社会保険加入者には、傷病手当(働けない間の賃金の約6割)がでる

 労働災害でない負傷疾病による療養のため働くことができず、給与を受けられないとき、傷病手当金の支給が受けられます(健康保険法45条)。本人が被保険者として加入されている方は忘れずに申請しましょう。

 労働不能の日から起算して4日目以降1年6ヵ月間、標準報酬日額(自治体・非正規労働者なら平均日額)の約6割が支給されます。

 もし退職によって健保の資格を喪失しても、資格喪失時に受給していたか、受けられる状態にあったときは法定の給付期間満了まで支給されます。

(5)育児休業・介護休業制度

パート労働者に適用される制度

 05年4月1日の育児・介護休業法改正により、民間では、一定範囲の有期契約労働者も、育児・介護休業の対象となり、また、子の看護休暇も取得できるようになりました。

育児休業

 1歳に満たない子どもを養育する男女労働者は、事業主に申し出ることにより、子どもが1歳(正規公務員は3歳)に達する日(誕生日の前日)までの間、連続した期間で育児休業を取得することができます。ただし、子が1歳を超えても、保育所に入所の申込をしているが入所できない場合など、一定の場合には、1歳6ヵ月に達するまでとなります。

 改正・育児介護休業法(平成17年4月1日施行)により、次の2つの要件を満たす「期間雇用者」は、育児休業を取得することができるようになりました。

  • 同一の事業主に引き続き雇用された期間が1年以上あること。
  • 子が1歳に達する日(誕生日の前日)を超えて引き続き雇用されることが見込まれること。
    (ただし、子が1歳に達する日から1年を経過する日(2歳の誕生日の前々日)までの間に、労働契約期間が満了し、更新されないことが申し出時点において既に明らかである者は除かれます。)

 ただし、労働契約の形式上は有期契約労働者であっても、その契約が実質的に期間の定めのない契約と異ならない状態となっている場合(更新によって継続雇用されている)には、上記の2つの要件を満たしていない場合でも、休業の対象となります。なお、雇用期間が1年未満の者、週の所定労働日数が2日以下の者などについては、労使協定によって対象から除外される場合があります。

介護休業

 介護休業は、要介護状態にある対象家族(配偶者、父母、子、配偶者の父母並びに労働者が同居しかつ扶養している祖父母、兄弟姉妹及び孫)1人につき、常時介護を必要とする状態ごとに1回の介護休業をすることができます。期間は通算して(のべ)93日までです。

 05年4月1日の育児・介護休業法改正により、民間では、一定範囲の有期契約労働者も、育児・介護休業の対象となり、また、子の看護休暇も取得できるようになりました。

  • 同一の事業主に引き続き雇用された期間が1年以上あること。
  • 介護休業開始予定日から起算して93日を経過する日(93日経過日)を超えて引き続き雇用されることが見込まれること。
    (ただし、93日経過日から1年を経過する日までの間に、労働契約期間が満了し、更新されないことが申し出時点において既に明らかである者は除かれます。)
子の看護休暇

 小学校就学前の子を養育する労働者は、1年に5日まで、病気・けがをした子の看護のために、休暇を取得することができます。パートタイム労働者についても期間の定めの有無に関わらず看護休暇の対象となります。

育児時間などの勤務時間短縮の措置

 事業主は、1歳未満の子を養育する労働者に対する育児時間のように勤務時間の短縮などの措置、1歳から3歳未満の子を養育する労働者に対する育児休業に準ずる措置または勤務時間の短縮などの措置、家族介護を行う労働者に対する勤務時間の短縮その他の措置を講じなければなりません。

パートタイム労働者についても期間の定めの有無に関わらずこれらの措置の対象となります。

時間外・深夜業の制限

 事業主は、小学校入学までの子を養育する労働者や家族介護を行う労働者に、時間外労働を制限(上限月24時間、年150時間)しなければならず、また深夜業をさせてはなりません。パートタイム労働者についても期間の定めの有無に関わらず時間外・深夜業の制限を請求できます。

自治体での状況

 自治体の非正規職員については、民間の育児休業法が公務職場を適用除外とし、地方公務員・育児休業法では、非正規職員と対象としていないことを理由に、多くの自治体では制度化されていません。

 しかし、非正規職員の闘いによって、事実上介護休暇や育児休業を認めさせるところがいくつも生まれています。通常の病欠なら一定期間認められて、そのことで直接解雇や契約更新拒否にはしない運用がなされているにもかかわらず、介護や育児による「欠勤」ならば不利益扱いするというのでは道理がありません。

 また、雇用保険に加入している場合、申請すれば育児休業手当を受ける権利があるのに、自治体に制度がないから不当にも適用されない問題を追及し、制度化を要求して、育児欠勤などとして育児・介護休業を制度化させるなど、具体的な成果が大阪・東京などで広がっています。

 また、2002年4月から実施された「子の看護休暇」について、正規職員との均等原則を求め、非常勤職員にも「有給で5日付与」を実現させたなどの画期的な取り組みが大阪の都市職など、全国にもひろがりつつあります。

 *雇用保険加入者は育児休業手当を受給できる自治労連の要求に対して、旧労働省雇用保険課が同法外の措置として「雇用保険法施行規則第101条の11(雇用保険法第61条の4第1項の休業)の要件を満たしていれば、『育児休業給付』は支給される」と回答しています。

したがって、育児のために休業することを自治体当局が認めた場合は、雇用保険に加入していれば雇用保険法の定めによる育児休業給付(07年に賃金の50%に改定)を受けることができます。

育児・介護休業制度の早期実現をめざそう

 育児休業と介護休業を権利として認めさせることは、いよいよ切実な問題となっています。自治体にはたらく非正規職員に対して「制度から適用除外」だとして、いまだに認めようとしない当局もありますが、全国的には実施に踏み切っているところが次第に増えており、もはや全面的な制度適用は時代の流れともなっています。

 いまだに認めようとしない当局の主張は「職場に復帰する約束の存在しない短期的任用の形式だから」という、実に現実離れした形式問題にしがみついているに過ぎません。

 すでに民間では有期契約労働者でも、繰り返し継続雇用の実態がある場合に、この制度を適用することになり、実施されています。自治体でもすでに実施が広がっているのは、実態にもとづいて判断されているからです。この制度には、臨職・非常勤には適用してはならないなどという法規制はどこにも存在していないことも明らかです。

 珍答に扱えるところから誠意を持ってとりくむかどうか、当局のやる気いかんにかかっている問題です。

育児休業給付は、非正規にも権利として認められている

 なお、育児休業には、雇用保険に加入している労働者(臨職・非常勤も)には、育児休業給付金が休業期間中に休業前賃金の30%を1回、そして職場復帰6ヵ月後に20%が支給されます。臨職・非常勤も当然受給を申請する権利がある(厚生労働省見解)のですから、事業主である自治体当局が、継続勤務実態にある労働者の申請を妨げることは不当なことであり、制度整備を急ぐよう求めてたたかいましょう。

不利益扱いを禁じた制度

 育児休業法が施行されたとき(平成13年11月)にも、権利としてこれを行使したものに対して解雇など、不利益取り扱いを禁止していました。

 

 その後、事業主に対知る「指針」(育児介護を行う労働者に事業主が講ずべき措置に関する指針、平成17年4月1日)では、さらに禁止条項が強化され、「契約が期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態となっている場合には、育児休業および介護休業の対象となる」とし、更新の実態や、業務の恒常性、継続雇用を期待させる事業主の言動など、その制度適用すべき判断基準まで示しました。(同指針第2項)

 事業主が、雇い止め・更新拒否・私事欠勤扱いのペナルティ措置などをあらかじめ予告することは、事実上育児・介護休業の申告をさせない行為であり、同じく禁止された行為と見なすことができます。(都道府県雇用均等室などが指導監督所管となります)

 なお、産休を理由とする解雇は禁止されています。(休業期間とその後30日、労基法19条の2項)


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