自治労連は11月13日、「国の責任で実効ある避難計画の策定」を求め、衆議院会館内で内閣府、原子力規制庁、経済産業省に要請を行いました。

 要請には、自治労連本部から田川英信副中央執行委員長、久保貴裕中央執行委員、國貞亮image003一中央執行委員、草野義正書記、自治労連福島県本部から古川貞二執行委員、静岡自治労連から林克執行委員長、京都自治労連から池田豊執行委員長、佐賀自治労連から浦中耕一郎書記長、かごしま公務公共一般から火野坂徹副委員長の9人が参加。内閣府から地域防災推進官、参事官補佐、原子力規制庁から課長補佐、経済産業省から資源エネルギー庁原子力発電立地対策・広報室、室長補佐が対応しました。

  田川副中央執行委員長が要請書を手渡し「原発立地・周辺自治体は、避難計画の策定について悩んでいる。今日は原発をかかえる地方組織から代表が参加している。ぜひ現場の声をくみとっていただきたい」とあいさつしました。続いて久保中執から、①国の責任で、原発事故から住民の生命、安全を守る実効ある避難計画を策定すること、②原子力規制委員会の安全審査基準に「実効ある避難計画の策定」を盛り込むこと、③原発事故の被害が想定されるすべての自治体に再稼働の同意権(不同意権)を保障することを重点に、要請書の趣意を説明しました。要請に対し政府側は、原発事故の避難計画を地方まかせにする無責任な回答に終始しました。自治労連からは「避難計画は国が責任を持って策定すべきだ」「まともな避難計画がないのに再稼働を認める現行の仕組みを変えるべきだ」と強く求めました。

 自治労連は原発再稼働、避難計画について次の6項目について要請

1.川内原発をはじめとした原発の再稼働を行わず、すべての原発を廃炉にすること。

2.国の責任で、原発事故から住民の生命、安全を守る実効ある避難計画を策定すること。

3.避難計画を策定する地域の範囲(UPZ)を、原発から30 キロ圏内に限定せず、福島第一原発事故の教訓をふまえ、住民の生命、安全をまもる範囲に拡大すること。

4.原子力規制委員会の安全審査基準に「実効ある避難計画の策定」を盛り込むこと。

5.原発事故への対応が求められる自治体へ、財政、技術、人員などの支援を強化すること。

6.原発事故の被害が想定されるすべての自治体に、再稼働の同意権(不同意権)を保障するように、国として必要な措置をとること。

このうち、自治労連が重点項目とした2.4.6.の要請について、政府側から次の回答がありました。

 

国の責任で、原発事故からの住民の生命、安全を守る実効ある避難計画を策定すること。

(内閣府)「現在の法律では、避難計画の策定は国の責務とされていない。市町村や県がつくる避難計画の中身については、国も災害対策基本法上、助言、指導、勧告をおこなう。また、原子力規制委員会がつくった原子力災害対策指針と整合のとれたかたちになっているかを確認することにしている」

 原子力規制委員会の安全審査基準に「実効ある避難計画の策定」を盛り込むこと。

(原子力規制庁)「原子力規制委員会の新規制基準適合性検査は、原子炉等規制法に基いて行うものである。適合性審査は、原子炉の施設が災害防止上支障がないか確認をするためのものだ。避難計画は内閣府の原子力防災が担当であるので、そちらで適切に対処が行われていると認識している。国として、それぞれの役割を分担して対処していく」

 原発事故の被害が想定されるすべての自治体に、再稼働の同意権(不同意権)を保障する。

(経産省)「地方自治体の再稼働同意権は、法令上の要件になってはいない。30キロ圏内や県境をまたぐなど各地で条件の違いがあり一律に決めるのは難しい。引き続き、様々なところで説明を行うなど、理解を求めていく」

 

 政府の回答に対して、自治労連は次のように要請しました。

(鹿児島)「先日、川内原発再稼働について住民説明会があり、私も参加したが、避難計画は質問の対象外とされた。住民からの質問に対してちゃんとした説明はなく、時間があるにもかかわらず質問が途中で打ち切られるなど、参加者は国の対応に不安や怒りを感じている。議会は住民を無視して再稼働容認へ強行突破したが、地元合意など全くされていない。国は再稼働を強行するのをやめ、地元住民の声をしっかり聞くべきだ」

(福島)「今日は、『国に見捨てられた福島から来た』と言いたい気持ちだ。政府の言う原発避難計画は、まったくの机上の空論でしかない。そもそも原発をなくせば、こんな無理な計画はつくらなくていいはずだ。福島では、震災が日中にあったことが不幸中の幸いだったが、夜中であったり、真冬で雪が降り積もる時であったら被害はさらに深刻だった。原発事故で、住民を一気に避難させるのは無理がある」

(静岡)「福祉施設に入所する高齢者など、災害弱者の避難計画もまったく立てられていない。国際基準では原発施設の安全と住民の安全をセットで審査することになっている。安倍首相は『新規制基準を通れば安全』と言うが、原発の設備を守れば住民の安全はどうでもいいのか。そもそも、住民の避難計画を作らなければいけないような設備が、ベースロード電源であっていいはずがない」

 (京都)「高速道路会社は震度4以上の地震があった場合に、道路を瞬時に閉鎖することになっている。一方で、京都府や舞鶴市が策定している原発事故避難計画は、高速道路も重要な避難経路にしている。舞鶴市では、原発事故が起こった場合、2キロ圏内ごとに順番に避難をするように計画しているが、いざ事故が起きた時、住民はわれ先にと避難をするのは目に見えている。避難計画は、とても実効性があるとはいえない」

(佐賀) 「唐津市は玄海原発のすぐ近くにあるのに、再稼働について協議、同意する権利がない。原発が立地する自治体しか再稼働の同意権がないのはおかしい。原発立地自治体の定義そのものを見直すべきだ」

(自治労連)「新規制基準は国も『絶対に安全とはいえない』と言っている。それならば原発事故が起こった場合に備えて、国は責任をもった対応をすべきでないか。原発事故の被害は市町村や都道府県の域を越えて広範囲にわたる。実効ある避難計画に加えて、避難者を受け入れる自治体にも受け入れ計画を立てることが求められる。避難する自治体と受け入れる自治体とで、利害が対立することもあり、国として調整することも必要だ。また、放射性物質に対応する専門職員の配置が必要だが、自治体だけでは対応できない。国として避難計画について実効ある基準を持ち、国の責務で避難計画を策定するように現行の法律など仕組みの見直しも含めて検討して頂きたい」