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自治労連公営企業評議会が省庁要請行動を実施
バスドライバー(バス労働者)は眠れない

 自治労連公営企業評議会は1月23日、衆議院第2議員会館会議室において、省庁要請行動を行いました。

 公営バス事業関連の要請行動の中では、2005年に放映されたNHKスペシャル「タクシードライバーは眠れない~規制緩和・過酷な競争~」さながらの過酷な労働条件の実態が明らかになりました。

 要請行動には、昨年労組を結成したばかりの横浜市交通局従業員労働組合(以下「横浜交通従image003組」)と自治労連長崎公共交通労働組合(以下「長崎公共交通労組」)から7名が参加、公営企業評議会の上下水道の労組、公営電気の労組の仲間など合わせて約30名が要請行動に参加しました。

 この要請行動には、田村貴昭 衆議院議員、吉良よし子 参議院議員の秘書が同席しました。

 公営企業評議会として国土交通大臣宛に提出した要請(要旨)は以下の4項目です。

1 規制緩和が公営交通の経営悪化、バス労働者の過重労働を生み、地域の足、特に過疎地の住民の足を奪う結果となっており、これらの問題を解消するための施策の実施をすること。

2 労働大臣告示「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」が現場実態に合わず、バス労働者の労働強化を招いている事態について所管省庁として現場実態を調査すること。

3 バス労働者の専門性、また変則勤務の特殊性を考慮した労働条件の改善をすること。


4 大型二種免許保有者数の減少、高齢化に対する対策を行うこと。

 

国交省の担当者も驚く勤務実態。今後とも、労組から詳しく事情を聞くこと約束

 バス労働者の労働基準については、平成元年の労働大臣告示「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」(以下「改善基準」)に定められていますが、コスト削減のためならギリギリまで切り詰めたローテションを強要する当局の姿勢の中で、乗客の安全とバス運転手の健康が脅かされています。

「16時間の拘束時間、『改善基準』では次の勤務まで8時間あければよいというので、例えば22時に勤務が終了して翌朝6時の出勤までの8時間の間に通勤時間もある、風呂にもはいる、食事もする・・・それで睡眠時間は8時間取りなさい、できますか?それが一週間に2回あるんです。

また、長崎公共交通労組からは、「『改善基準』では連続運転は4時間までですが、運行ダイヤ上は4時間であっても、渋滞などの事情で4時間以上ハンドルをにぎって走っているんです。休みなしで、そういうのがいまの実態なんです」と訴えがありました。

横浜交通従組から実際の勤務表を見せられた国交省の担当者は感想を求められ、個人的な感想とは言いながら、「相当厳しいなと思う」と答弁しました。

 

テレビドラマ“ダンダリン”もお手上げ!(労働基準監督官)

  横浜交通従組からは、「こんなひどい実態を労働基準監督署としても指導してほしい」と言ったら、「これは『改善基準』の範囲に収まっているから、何にもしようがありません」というのが回答なんです。当局も「『改善基準』通りやっています」という。それでいて、なんで20%も疾病率があるんですか?「業務の所管をしている国交省が現場に調査に入り、安全運行も守れない『改善基準』を見直すよう厚労省に働きかけない限り、問題は解決しない」と訴えました。

 

過疎地などの住民の足を守れ!規制緩和で苦境に追い込まれる地方の公営交通

  長崎公共交通労組からは、地方の公営交通事業の問題が出されました。

「規制緩和、自由競争で民間のバスが儲かる路線だけ狙って参入してくる。いままで過疎地の路線の赤字を黒字路線で穴埋めしていたものができなくなる。規制緩和で過疎地を走るバスがなくなれば、一番の犠牲者がお年寄りと若年層です。経営環境が厳しくなれば、労働条件も悪くなる。休みは取れない、仕事は16時間拘束、家に帰っても寝る時間も無い、そんな仕事に就こうとする若者はいません。運転手は不足し、民間のバス会社では運転手の引き抜き合戦が始まっています。

 現実、大型二種の免許取得者が減少、高齢化も進んでいます。国交省はバス運転手になりたいと思うようなPRをするというが、労働条件を改善することが先です」と訴えました。

 

国交省はすぐに事業所調査に入れ!

  田村衆議院議員からは、「これは民間の悪徳業者もびっくりのブラックですよ。公営企業がこんなことやったらダメですよ。やはり範を示さないと」「先ほど、過労防止の観点から調査と実態把握をやっていくと言ったじゃないですか。すぐ入るべきですよ横浜市と長崎に調査と実態把握に、やっていただけますね」との質問に、「調査は(横浜・長崎だけでなく)全体としてやり始めている」と明言は避けたものの、「今後、労働組合から更に詳しく事情を聞く機会を設ける」ことを約束しました。

  要請を終えて、自治労連長崎公共交通労働組合の右田委員長は「これ程、現場と省庁の考えに差があるのかと痛感しました。今後は、国会議員団の協力を得て、多くの単組の仲間と連携をはかり学習をしながら、現場の実態や考えを訴え続け、公営交通の維持発展に努めて行きたいと考えています。私たちの運動の前進で、利用者に喜ばれる公営交通と、そこに勤めている組合員やその家族が笑顔で過ごせる環境を作り上げたいと思います。」と感想を述べました。また、横浜市交通局従業員労働組合の三村委員長は、「職場の労働環境の劣悪さから、病気になる人も多く、このままでは公共交通の安全性は保てないと危惧していました。この問題を組合の中心的課題としてきたところですが、公営企業評議会のおかげで、国土交通省に横浜の実態を訴えることができました。これをバネに運動を前進させます。」と同じく述べました。

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