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第20回埋蔵文化財関係職員交流集会『京都からの発信!再び原点をみつめて!』

 11月29日(土)~30日(日)に、京都市で第20回目となる埋蔵文化財関係職員交流集会を開催しました。参加は8地方、16職場から44名が集いました。

image003今回は第20回となる記念すべき集会となりました。20年間で参加者は、古参から若い世代を加え徐々に世代交代しつつ、各地方での仲間とのつながりを増やしていく形となって継続しています。

2011年3月11日に発生した東日本大震災・福島原発事故による甚大な被害に対する支援と復興政策が継続的に進められ、復興事業に伴う埋蔵文化財の発掘調査においても、全国的に支援対応が継続している情勢のなかで開催されました。

20回に及ぶ集会では、市町村や都道府県及び調査法人機関などにおける埋蔵文化財保護行政の大きな変化は、日本の構造改革による自治体リストラに起因していること。地方分権や指定管理者制度、公益法人制度改革などによる影響もすぐさま文化財に及び、それぞれで多くの問題点や課題を内包していることが浮かびあがっています。今回の集会ではこれらを踏まえた上で、行政改革に対して、各地でその対応がどのように取り組まれているかなどの事例や東日本大震災復興調査の状況、文化財行政の動向を踏まえて新なニーズに応えるNPOの役割に関するレポート、そして文化財担当者の境遇に関する内容の報告などがありました。

参加者全体の討論では、地域での特色や歴史的景観の保全や出土品の活用など、文化財に対する需要や要望など年々高まっていること。開発事業量の多寡により、人員の対応が求められていること。退職者不補充など慢性的な欠員状況のなか、多くの場合、非正規職員によって対応しており、専門職員である文化財担当者の世代交代にあたって、どの自治体においても情報や技術の伝承が極めて危うい状況にあるということ、そして埋蔵文化財に関する仕事が次世代にとって魅力ある職場で無くなっていることなどが具体的に認識できました。

行政改革による芸術・文化の安易な切り捨てに対して、これを阻止し、市場化を許さず、文化財の活用や保護行政の将来的な展望を持っていく必要があること、そして文化財調査はいかなる形でも責任の所在は最終的には行政にあり、自治体が文化財に関してしっかりとした理念を構築し、それを十分に遂行できる調査機関が必要なことなど、多岐にわたる情報を共有し、地域や世代を越えて全国の仲間と深く交流できたこと、そして継続は力なりということを参加者全員が実感した集会となりました。

 

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