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福島県本部、再生可能エネルギー推進へ、県内18市町村を訪問

「原発廃炉は当然」「エネルギー自給全国一をめざしたい」 福島県本部が、再生可能エネルギー推進へ、県内18市町村を訪問

 自治労連福島県本部は5月28日、29日、福島県西部(会津地域)18市町村へ「原発ゼロ、再生可能エネルギー推進」のキャラバンを実施しました。

 2月に実施した県中部(中通り)29自治体への訪問に続く取り組みです。

 キャラバンには自治労連福島県本部役員、単組役員、自治労連本部から久保中執、会津地方労連から湯田議長、池田事務局長が出席しました。

 訪問では、自治労連の作成した「原発ゼロ、再生可能エネルギーをいかす地域、自治体をつくるための提案」パンフレットを届け、自治労連の再生エネ方針についても説明。「自治労連さんの提案には賛同できるところが多い」「パンフレットに書かれている取り組みは、うちでも進めている」など、共感が寄せられました。

 北塩原村の小椋村長は「原発は、安全神話を前提に国や県が進めてきたが、自然災害に弱い施設であった。今回の原発事故は、地震・津波による事故ではあるが、人災である。原発の再稼働は容認できない」と断言し、廃油利用のバス運行をはじめ村が取り組んでいる再生エネ事業について説明されました。

 柳津町では、井関町長、星副町長と面談しました。町長からは「原発廃炉は当然。かつてその必要性から原発が設置されてきたが、今その役割は終えた」との認識が示されました。柳津町は、全国有数の地熱発電の町として有名です。地熱の再生エネ活用について、温泉地の住民からは資源の枯渇を心配する声がありますが、「柳津町では、町が仲介して電力業者と地元住民が十分に話し合って合意を形成した。万が一の場合は補償を含めて対応することになっているが、この20年間その心配はなかった」と話されました。町長は「町のエネルギー自給率は923.6%で、全国第2位です」と、「しんぶん赤旗」の特集記事を紹介して説明してくれました。「町はエネルギー自給率全国1位をめざしています。水力、風力などの開発研究をコンサルタントに頼み、町内2か所で小水力発電が可能との答えも得ている」と語ります。柳津町にある地熱発電所だけでも、会津地方10万世帯の電力を賄える発電量となります。しかし、発電した電力はすべて電力会社に行くため、電力の地産地消はできません。懇談では、発送電の分離も含めて、地域で生み出した電力を地域で活用できる制度が必要だという点で一致しました。

 また町長は「アベノミクスは一過性のものだ。一部大企業にとっては有効でも、地方の小規模自治体にとっては小泉構造改革の時と同様、財政的にも問題が生じる可能性が大きい」とも話されました。

 会津坂下町では、再生エネ推進で中心的な役割を果たしてきた町長が5月に亡くなりましたが、町として引き続き事業に取り組んでいる様子を聞きました。

 太陽光発電について①町の助成制度や固定価格買取制度で、設置する世帯が増えていること、②パネルが傾斜しているので雪が積もりにくく落雪に効果的なこと、③冬場は日照時間が少ないが年間を通して見れば有効であることも語られました。会津若松市では、民間事業者が5,000キロワットの木質バイオ発電を昨年11月から供用開始し、順調に推移していることが語られました。森林伐採など関連する事業も含めて全体で100人の雇用が生まれているといいます。木質バイオ発電では、間伐材などの燃料費が発電コストの6割を超えることが課題だとものべられました。猪苗代町でも、農業用水路を活用した小水力発電に着手していることが語られました。また、南会津地域は豪雪地帯であることから、冬場も凍結しない有効な資源を確保することの困難さも語られました。

 

会津若松市に避難している大熊町民の仮設住宅を訪問

「もう帰れない。早くどこかに自分の家を建てたい」と自治会長

 

 自治体訪問とあわせて、会津若松市内にある大熊町の仮設住宅を訪問しました。突然の訪問にもかかわらず、齋藤自治会長に懇談に応じていただきました。仮設住宅は県内でも珍しい木造建築で、斎藤さんは息子さんの家族と2軒長屋に住んでいます。しかし「会津には仕事がなく、息子はいわき市に単身赴任して働いている」と言います。「私の自宅は中間処理施設の予定地となっている。もう戻れない。早くどこかに用地を斡旋してもらって、自分の家を建てたい」と話されていました。

 懇談を終えて福島県本部は「今までの大型資本による発電から、地元企業による経済循環ができる再生エネ発電に脱却できるか、自治体の方針も問われている」「同じ福島県内でも、原発事故の地域から遠くなると、被害が実感できなくなる。会津地域の自治体職員のみなさんとの懇談で残念ながら温度差も感じた」「被害地域の実態を知らせることが本当に大事だ。全国のみなさんにも、原発事故の被災地を見て、原発の恐ろしさを知ってもらう取り組みをこれからも進めたい」としています。

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