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「雇止め」解消を含む消費生活相談員の処遇改善メッセージ(内閣府特命担当大臣名)出る

「雇止め」解消を含む消費生活相談員の処遇改善メッセージ(内閣府特命担当大臣名)出る

―この間の府省交渉や各地方での運動の成果―

 消費者庁は6月24日、内閣府特命担当大臣名の別紙の「いわゆる『雇止め』の解消を含む消費生活相談員の処遇改善について」のメッセージを都道府県知事に通知しました。

 自治労連は、毎年実施される消費者庁との交渉において一貫して消費者行政を強化していくためには、消費生活相談員の雇用の安定、待遇改善が重要かつ不可欠であることを訴え、抜本的に改善することを要請してきました。

 こうした取り組みを通じて、消費者庁は、これまでも「雇止め」をやめることをはじめ待遇改善に向けた発信を行なってきました。そして、消費者委員会「建議」として、総務省に対しても待遇改善と雇止め問題を解決するために「任期の定めのない短時間公務員制度」などの検討を行うよう求めてきました。

 大臣メッセージの「『雇止め』は、それまで消費生活相談員として日々の研鑽と実務経験の積み重ねにより獲得した知識・技術を活用する機会を失うことを意味し、消費者が質の高い相談と斡旋を受ける機会を奪うもの」との指摘は、消費生活のみならず各種相談員をはじめ、恒常的・本格的業務に携わっている自治体非正規雇用労働者について言えるものです。

 総務省は、「建議」やこうした指摘を真摯に受け止め、正規職員削減のもとで増加し続けている自治体非正規労働者の待遇改善と任用の在り方について、早急に改善方策を示すべきです。

 今回のメッセージは、現場の矛盾の一端を示すものです。こうした矛盾解決のために、職場からの運動の積み重ねによる制度改正とその運動の保障となる労働者の組織化が必要です。自治体非正規雇用・公務公共労働者の待遇と雇用の改善のために、官製ワーキングプアをなくせという世論をいっそう地域からひろげていきましょう。

 

自治労連が2014年6月5日に行った消費者庁への要請項目

【要請項目】

 消費者行政を強化していくためには、消費生活相談員の雇用の安定、待遇改善が重要かつ不可欠であることから、以下の点を踏まえ抜本的に改善すること。

① 消費生活相談員が担っている職は恒常的職であるから、自治体が地方公務員法に則り、正規職員として任用するよう各自治体に要請すること。

② 短時間勤務の職については「任期の定めのない、均等待遇に基づく短時間公務員制度」を創設し、「任期の定めのない、均等待遇に基づく短時間公務員」として任用するよう総務省に働きかけること。またその際、恒常的職に任期を付けた職員を任用することに合理性がないことから、「任期付短時間勤務職員制度」の活用を求めないこと。

③ 消費生活相談員を非常勤職員等として任用するに当たっては、更新回数限度を設けないよう各自治体に恒常的に要請し続けること。

④ 非常勤職員等として任用される消費生活相談員に対し、職務内容、在勤する地域及び職務経験等の要素を考慮した相談員報酬の適正基準を示し、適正基準を守るよう各自治体に要請すること。

【要請項目】

 民間委託や指定管理者制度は消費者行政にはなじまないのでやめるよう各自治体に要請すること。当面、指定管理者制度等により地方公共団体が消費生活相談員を直接任用していない場合についても、直接任用している場合と同様、消費生活相談員がその果たしている役割に見合う処遇を受けられるよう引き続き、配慮をお願いするとした、平成25年2月通知「消費生活相談に対するいわゆる「雇止め」の見直しについて(依頼)」を、各自治体に、恒常的に要請し続けること。

【要請項目】

 消費生活相談員の法的位置づけの検討が行われているが、消費生活相談員の声を十分にくみ取り、消費者にわかりやすい相談員資格の法的位置づけを行うこと

 

消地協第122号

平成26年6月24日

各都道府県知事 殿

消費者庁長官 阿南 久

(公印省略)

 

いわゆる「雇止め」の解消を含む消費生活相談員の処遇改善について(依頼)

 

 平素より消費者行政の推進に多大な御尽力を頂き、厚くお礼申し上げます。

 不当景品類及び不当表示防止法等の一部を改正する等の法律(平成26年法律第71号。以下「改正法」という。)は、平成26年6月6日に成立し、同月13日に公布されました。

 改正法の公布を契機として、いわゆる「雇止め」の解消を含む消費生活相談員の処遇改善に改めて御尽力をお願いしたいとの趣旨により、別添のとおり、森まさこ内閣府特命担当大臣(消費者及び食品安全)のメッセージをお伝えします。

 各都道府県においては、管内の市区町村に対しても速やかに周知いただくとともに、本メッセージの趣旨を御理解いただき、いわゆる「雇止め」の解消を含む消費生活相談員の処遇改善について格別の配慮をお願いいたします。

 

いわゆる「雇止め」の解消を含む消費生活相談員の処遇改善について

 

1.消費生活相談員の法定化等に伴う処遇改善

 この度、消費者安全法(平成21年法律第50号)の一部改正を含む、不当景品類及び不当表示防止法等の一部を改正する等の法律(平成26年法律第71号。以下「改正法」という。)が、第186回国会において成立し、6月13日に公布されました。

 今般の改正法では、消費生活センターや相談窓口で相談・あっせんを行う「消費生活相談員の職」が法律で明確に位置付けられ、その職務内容も、事業者に対する消費者からの苦情に係る相談及び当該苦情に係るあっせんの事務に従事することと規定される(改正法による改正後の消費者安全法第10条)など、消費生活相談員が消費生活相談に関する専門職であることが明らかにされました。また、消費生活相談員の任用要件についても、「内閣総理大臣若しくは内閣総理大臣の登録を受けた法人(以下「登録試験機関」という。)の行う消費生活相談員資格試験に合格した者又はこれと同等以上の専門的な知識及び技術を有すると都道府県知事又は市町村長が認める者」と規定され(改正法による改正後の消費者安全法第10条の3)、あわせて、登録試験機関の行う消費生活相談員資格試験の要件が法律で規定されました。

 また、衆議院、参議院の消費者問題に関する特別委員会の附帯決議においては、「雇止めの抑止をはじめとする消費生活相談員の待遇改善が促進されるような対策を講ずる」ことが盛り込まれました。

 これらを踏まえ、消費生活相談員が、地方公共団体の中で、専門職として、その職務と能力に鑑み適切な評価が得られ、処遇改善がなされるよう強くお願いしたいと思います。処遇改善は、消費生活相談員の裾野の拡大と優秀な人材確保につながり、ひいては消費者が「どこに住んでいても質の高い相談・救済を受けられる地域体制」を整備することにつながると考えます。

2.消費生活相談における知識蓄積・技術向上の重要性

 消費者庁では、平成26年度予算で、これまで補正予算を中心に措置してきた地方消費者行政活性化交付金の当初予算における大幅な増額及び基金の活用期間の延長を行いましたが、本年1月には「地方消費者行政強化作戦」を定め、消費生活相談員の配置の拡大や資格保有率及び研修参加率の引上げなど相談体制の質の向上に係る具体的な目標を設定したところです。

 消費生活相談には、消費者問題に関する専門的な知識と、実務経験の積み重ねによって得られる事業者との交渉力などの高度な技術が求められます。近年の商品・サービスの複雑化・高度化、取引形態・決済方法の多様化等に伴い、消費生活相談の内容もますます複雑化・高度化しており、相談体制の質を維持・向上するためには、消費生活相談員に実務の中で知識の蓄積と技術の向上を図っていただくことが不可欠です。

 いわゆる「雇止め」(以下単に「雇止め」という。)は、それまで消費生活相談員として日々の研鑽と実務経験の積み重ねにより獲得した知識・技術を活用する機会を失うことを意味し、消費者が質の高い相談とあっせんを受ける機会を奪うものです。

 「平成25年度 地方消費者行政の現況調査」によると、地方公共団体に配置される消費生活相談員の約8割は任用期間の更新回数制限を受けていません。これは、多くの地方公共団体において、消費生活相談における実務経験の積み重ねによる知識・技術の蓄積・向上の重要性を深く御理解いただいている結果だと認識しています。

3.「雇止め」に対する懸念

 地方公共団体が消費生活相談員を「雇止め」しなければならない法制度はありません。実態として非常勤職員の行う業務の中にも恒常的な業務があること及び任期ごとに客観的な能力実証を行った結果としての同一者の再度任用は排除されないことについて、総務省とも認識を共有していることを重ねて申し上げます。

 これまで、任用期間の更新回数制限が存在する地方公共団体においても、消費生活相談員については例えば更新回数制限の上限を超えた場合でも、能力実証を経た上で引き続きの任用が可能となるよう嘱託取扱要綱の見直しがなされるなど、「雇止め」の解消が進んでいます。しかし、現在でもなお、「雇止め」を続ける地方公共団体が存在することは残念でなりません。「雇止め」を行っている地方公共団体には、地方消費者行政活性化基金の活用期間を2年間短縮することとしているところですが、実際に短縮される地方公共団体が限りなく少なくなることを強く期待するものです。

4.結び

 今般の改正法の成立、公布をきっかけに、消費生活相談の専門性に配慮し、消費生活相談員が日々の研鑽と実務経験の積み重ねにより獲得した知識と技術をいかせるよう、再度任用する回数に関する一律の制限を設けている地方公共団体には、その廃止をお願いいたします。あわせて、必要な研修機会の確保も含め、消費生活相談員が、その新たな法的位置付けにふさわしい処遇が得られるよう、再度御検討をお願いいたします。

 なお、民間委託等により消費生活相談員を直接任用していない場合にも、直接任用している場合と同様、消費生活相談員がその果たしている役割に見合う処遇を受けられるよう配慮を御願いいたします。

 消費生活相談員の担う重要な役割、改正法の趣旨、御審議いただいた国会の意思等を十分御理解いただき、全ての都道府県において「雇止め」を解消していただくこととともに、消費生活相談員の処遇改善を行っていただくことを強く期待しています。また、管内の市区町村においても「雇止め」の解消と消費生活相談員の処遇改善が実施され、都道府県内どこに住んでいても質の高い相談が受けられる体制の確立に御尽力をお願いいたします。

 

平成26年6月

内閣府特命担当大臣(消費者及び食品安全)

            森 まさこ

 

 

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