image004 沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設問題をめぐり「辺野古裁判で今問われていること」と題する緊急シンポジウムが2月28日、那覇市内で開催されました。このシンポジウムは、辺野古基金を基に、裁判を支援するために結成された行政法学者で構成される「辺野古訴訟支援研究会」が主催しました。この研究会は、自治労連・地方自治問題研究機構の研究者が中心になっています。会場には、県民、地元首長、議員、研究者など510人が参加して熱気に包まれました。

 主催者あいさつをした紙野健二名古屋大学教授は、「辺野古裁判で昨年10月、行政法学者が連名で『政府の行政不服審査権の濫用を憂う』とするアピールを発表し、沖縄のみなさんと同じ思いで裁判を支援してきた。裁判はいま、重要な局面にある。本日のシンポジウムで裁判への理解を深めて頂き、支援を広げていきたい」と述べました。

翁長知事が決意を表明「新基地は絶対につくらせない。子や孫が、夢と誇りの持てる沖縄にしたい」

image005 来賓あいさつをした翁長雄志沖縄県知事は、「国土面積のわずか0.6%しかない沖縄県に、73.8%もの米軍専用施設を集中させていること自体、理不尽極まるものだ。米軍基地は今や沖縄の経済発展の阻害要因でしかない。辺野古に新基地は絶対につくらせない。私たちの思いを子や孫に伝えて、子や孫が夢と誇りを持って、これからの沖縄を切り拓くことにつなげていきたい」と決意を表明しました。

 辺野古訴訟弁護団長の竹下勇夫弁護士は、「辺野古訴訟の現状について」と題して、裁判の経過と争点について解説。「地方自治法は、国が代執行の手続きを行う前に、地方自治体と真摯に話し合い、合意ができなければ第三者機関である国地方係争処理委員会に公正な審理を申立てるなど、あくまでも地方自治を尊重する手続きを踏むことを定めている。国が沖縄県に対して、いきなり代執行の手続きをすることは、地方自治法に違反する」と指摘しました。

基調講演「安保の中の地方自治」でなく「憲法の中の地方自治」を白藤専修大学教授が指摘

 白藤博行専修大学教授が「辺野古訴訟にみる憲法の原理と国家の論理」と題して記念講演をしました。白藤氏は、「憲法は、国民主権、基本的人権の尊重、平和主義の3原則に加えて、第4の原則に地方自治を定めている。国の機関である沖縄防衛局が、私人になりすまして、地方自治体を相手に国に救済を申立てること自体が間違っている。国土交通大臣は、沖縄防衛局の審査請求と執行停止の申立を『第三者』とし受理し、翁長知事の埋立承認取消の執行停止を決定した。しかし知事の取消処分が違法かどうか審査請求についての判断は先送りにしたままだ。一方で国土交通大臣は沖縄県知事に対しては、辺野古埋立の『当事者』となって代執行訴訟を提起している。国のやり方は、憲法も法律もねじ曲げて、沖縄の地方自治を侵害するものだ。『安保のためなら地方自治は制限されて当然』という国家の論理は許されない。国に安全保障政策を進める権限があっても、沖縄県民が関わる問題については、地方自治を守る立場に立って、県民の声を真摯に聞くことが必要。安保の中の地方自治ではなく、憲法の中の地方自治を、きちんと考えるべきだ」と述べました。

「裁判では、日本の民主主義と地方自治が問われている」

続いて、本多滝夫龍谷大学教授の進行で質疑、応答が行われ、辺野古裁判の勝利をめざして熱心な討論が行われました。閉会あいさつを行った榊原秀訓南山大学教授は「辺野古裁判で問われているのは、沖縄の地方自治だけではなく、日本の民主主義と地方自治が問われていることが明らかになった。憲法と地方自治を侵害する国の論理を打ち破れば勝てる裁判だ。本日のシンポジウムを受けて、私たち辺野古訴訟研究会も、専門家の立場から学会など様々な場で意見を表明して、みなさんとともにたたかっていきたい」と述べました。