image006 各地方組織や単組で賃金問題に精通した役員の育成を目的とした自治労連賃金講座が 、東京(東日本教室)と大阪(西日本教室)の東西2カ所で開催されました。今年で3年目となる講座には、東日本教室10地方組織、西日本教室10地方組織から参加がありました。受講者からは「とてもわかりやすかった」「もっと詳しく知りたい」「組合員にも知ってほしい」と感想が寄せられました。

 第一講義は「最低賃金制度を基本に世界と日本の賃金を考える」をテーマに日本の賃金をめぐる情勢と国際比較からの水準について、橋口紀塩全労連事務局次長が講義。先進国の中でも日本の官民の給与水準は低く、日本は世界の流れと逆行して労働法制の規制緩和を推し進めている実態を紹介しました。また、公務員賃金を抑制することによる民間や地域の給与水準への影響も解説。橋口氏は「賃金水準の地方格差是正に、最低賃金の全国一律制度の導入と抜本的底上げ、公契約条例がカギになる」と訴えました。

それぞれ関心高く好評だった第二講義(東京「人事評価制度」/大阪「生計費原則」)

第二講義は、東日本教室と西日本教室のそれぞれで地方組織から要望の高かった「人事評価制度」と「生計費原則に基づく賃金論」となりました。

 7月4日の東日本教室では、明治大学の黒田兼一氏が「人事評価制度導入をめぐる諸問題と私たちの課題~人事評価とのつきあい方~」と題して講義しました。黒田氏は、東京都や神奈川県、大阪府での人事評価制度の内容を紹介しながら、人事評価制度導入における総務省の目的を解説。「総務省が考える『人事評価制度』は、『公共サービス』の供給に競争原理を持ち込み、任命権者への権力が集中するため、職場内の職員相互の協力体制を破壊し、『全体の奉仕者』から『上司への奉仕者』へ変容させる」と、その危険性を指摘。

また民間企業と諸外国の人事評価制度についても、その実態と労働組合の取り組みを紹介。人事評価制度に対して、評価の具体的な内容、評価の客観性・納得性・公平性の担保、賃金リンクの阻止、評価結果への異議申立や救済制度の設置など、人事評価制度を規制できるのは労働組合以外にないと訴え、併せて自治労連の闘いへの期待を語りました。

 黒田氏の著書を事前に予習するなど受講生の関心は高く、講義を受けて「理解が深まった」「賃金リンクはとんでもない」「(人事評価制度に対する)手がかりがつかめた」と感想が寄せられました。

 7月11日に行われた西日本教室では、静岡県立短期大学の中澤秀一氏による「生計費原則の賃金論」。中澤氏は、まず「そもそも賃金とは何か」について、「労働者の賃金は、労働力への対価として憲法25条が規定する人らしい生活を営める水準でなければならない」と解説しました。

また、憲法25条が規定する最低限度とは、生活困窮ギリギリの水準ではなく「慎ましくも文化的で豊かな水準」であることを述べ、その根拠となる「生計費調査」について、これまで各地で実際に行われてきた調査方法を具体的に紹介。同時に、これまでの調査から現在の賃金水準と必要生計費のかい離も指摘し、生計費原則に基づく賃金要求の重要性を訴えました。

さらに、中澤氏は生計費を調査するうえで、調査項目一つずつを労働者の仲間とともに議論しながら調査することの重要性を話しました。衣類や行動の一つひとつが「人らしい水準かどうか」集団討議を重ねて確認することで、調査内容に説得力を持たせてきたと解説。

受講生からも「生計費調査に興味を持った」「自分たちの要求の基礎として、しっかりした調査をやってみたい」「賃金闘争の重要性を再認識した」と好評でした。

併せて調査の対象から外れやすい非正規労働者の実態や、賃金とともに社会保障制度拡充の必要性についても言及。受講者からも「社会保障制度の拡充を求めるのも組織労働者の役割」「調査結果を活かすためにも、最賃引上げの世論をつくっていく」と感想が寄せられました。

 

賃金決定の仕組みを学び、全国の経験を知ることで、賃金闘争の強化を

第三講義は、福島副中央執行委員長による「自治体における賃金決定の仕組みと実際」。

image007 自治体労働者の労働基本権と人事院勧告の関係から、俸給表の見方まで丁寧な説明の上に、この間の賃金をめぐる当局との闘い方の変遷を紹介し、全国各地の賃金闘争から得た経験についても話しました。

この講義はボリュームも内容も充実し、受講生からも「一番聞きたい講義だった」「仕組みが良く分かった」「もっと時間を増やして、聞いていたかった」と感想が寄せられました。

また、第2講義と第3講座のあとに持たれた2回の分散会では「職員は自分がどの級の何号にいるか知らない」「賃金ラインに展望無くなれば、職員のモチベーションは持たない」といったリアルな現場からの報告があり、賃金闘争をどう強化するか、その必要性と対応について意見交流が進められました。

東西の賃金講座を通して、受講生からも「今後も講座を続けてほしい」「学習したことを持ち帰って交渉を進めたい」と感想と要望が寄せられました。