戸籍事務の民間委託に反対する自治労連のたたかいで、法務省は、民間委託の拡大を認めた「317号通知」(2013年3月28日)の不十分さを認め、3月31日、民間委託に一部歯止めをかける事務連絡(民事局民事第一課補佐官名事務連絡「戸籍事務を民間事業者に委託することが可能な業務の範囲について」)を、法務局民事行政局戸籍課長、地方法務局戸籍課長あてに発出しました。事務連絡には「戸籍事務の民間委託に関するQ&A」を添付け、民間委託してはならない事務や注意事項を列挙するなどして、市区町村長に周知することを求めています。戸籍事務の民間委託そのものは容認する問題点がありますが、自治労連が「住民の基本的人権やプライバシーを取り扱う戸籍事務は職員が行うべきで、民間丸投げは許されない」「委託をすれば偽装請負になる」など、指摘をしてきた事項を一定反映した内容になっています。事務連絡や「Q&A」を守ろうとすれば、民間委託のほうが直営よりも非効率になることから、今後、戸籍事務の民間委託を許さないたたかいに活用できます。

「職員の執務能力が低下することのないよう十分な対策を」

 事務連絡は、「戸籍事務の一部を民間事業者に委託する場合であっても、それにより市区町村の職員の執務能力が低下することのないよう十分な対策を講じる必要が」あるとし、民間委託をすることによって職員の体制を弱めたり、丸ごと民間事業者に置き換えることを禁じています。

また「Q&A」では、「1.総論」「2.職員の関与体制」「3.戸籍等抄本等の交付請求に関する業務」「4.戸籍の届出に関する業務」「5.その他」にわたって、詳細な注意事項を指摘しています。

 「判断が必要な業務は、職員が自ら行う必要がある」

「Q&A」では「市区町村の判断が必要な業務は、職員が自ら行う必要がある」「現に請求の任に当たっている者の戸籍の記載事項について、説明を求めるなどの方法によって本人確認することは、委託すべきでない」など、民間事業者に委託してはならない事務を数多く列挙しています。また職員が民間事業者の従業員に直接指示をする偽装請負にならないように、必要に応じて労働局に相談し、相談結果を法務局にも情報提供を行うよう求めています。

事務の適正を期するため「事務改善等の報告」を義務付ける

また、戸籍事務の適性を期するため、①委託契約締結前に仕様書案、具体的な事務処理工程案等を示した上で、管轄法務局に相談すること。②委託を開始した場合には、事務改善等の報告をすることを要する、と記されました。

法務省は、自治労連との懇談の場で「Q&Aに記載する事項は、今後、市区町村において戸籍事務の処理を行う上での基準となる。これに反することがあれば、法務局を通じて是正の指導を行う対象になる」と述べています。