image004 11月8日(日)、「憲法をいかす地域再生を考えるシンポジウム」が全国教育文化会館で行なわれました。このシンポジウムは全労連が主催して行なわれ、労働組合や民主団体などから96人が参加しました。

 はじめに主催者である全労連から、小田川義和議長が「安倍首相は戦争法で世論から多くの批判を受けて危機感を持っている。今は来年の参議院選挙を意識して、『経済重視』の甘い言葉をささやいている。沖縄の基地問題のように、強権的にルールを作り変え、権力のすべてを使って思い通りに悪政を進めようとしている安倍政権は尋常ではない。私たちは戦争法で様々な団体や個人と連携してきた。対話と共同でさらに連携を強め、安倍政権NO!の声を高めていきたい」とあいさつを行いました。

各団体から、公共交通、くらし、経営、農業を守る特別報告

 特別報告では、各地域、団体から4人が報告しました。

 山形県鶴岡市でタクシー会社を経営している(株)ハイヤーセンター社長の武田幸夫さん(写真)は、「経営者が負債を理由に投げ出した会社を、組合員が『公共交通の責任を果たそう』と自主経営闘争を進め、力を合わせて運営している。タクシー事業が低迷する中、入札でスクールバスの受託を少しずつ増やしてきた。受託業務は行政との信頼関係が重要。スクールバスでは『乗車している子どもの人数だけ、家族の愛情も同乗している』と心がけ、安全な公共輸送の責任を果たしている。競争入札で安値になってしまうと安全性に問題が生じかねない。公契約法の制定や、価格だけでなく安全性を加味して評価する入札の仕組みを確立する必要がある」とのべました。

 京都総評の梶川憲議長は、「地域にお金を循環させるまちづくりの取り組みを進め、経済団体や自治体を訪問してきた。『商品券を発行しても市内の商店で使われることはなく、大型ショッピングモールなどで利用され、お金が他県に流れる。得たものより失ったものの方が大きい』などの意見があった。地域活性化の機動力は賃金引上げにある。『フトコロを温めて地域も元気に!』を合言葉に、最賃改善の環境づくりを国に求めていきたい。自治体にも訴えて、地域にお金が循環する取り組みを引き続き進めていく」と決意を表明しました。

 全商連の勝部志郎常任理事は、「全商連の全会員を対象に調査を行ったところ、47%が小規模零細企業であること、年収では63%が300万円に満たないことがわかった。全国で自治体訪問にも取り組み、中小企業政策の改善も訴えてきた。住宅リフォーム助成制度も地域経済の活性化につながるなど公共性が見込まれ、今では5県、628自治体で実施され、中小企業基本条例も31の都府県で制定されている。地域の再生には、暮らし、生活そのものが安定しなければいけない」と報告。

 全農協労連の舘野豊書記長は、「TPPや農政改悪が、企業の農業進出や農協、農業委員会等の『“邪魔者”は消せ』という意図によって強行された。企業のビジネスのために農民から農地を奪うなど、あらゆる攻撃がしかけられようとしている。戦争法のたたかいのように様々な団体や個人との共同を広げ、地域・農業つぶしを許さないたたかいを進めていく」とのべました。

パネルディスカッション

 続いて行なわれたパネルディスカッションでは、自治労連の中川悟書記長がコーディネーターを務め、パネラーに福岡・直鞍地区労連の津田久則議長、全労連の井上久事務局長、京都大学の岡田知弘教授が参加して行なわれました。

image008 津田氏は「多くの自治体で民間委託が行なわれており、官製ワーキングプアーが当たり前になってきている。福岡県直方市では公契約条例を施行することによって、学童保育の時給が最賃と同じ720円だったのが、826円に引きあがり、指導員からは『やっと私たちの仕事が認めてもらえるようになった』と喜びの声が寄せられている。学校給食調理員の時給も最賃と同じ額だったのが、800円にあがり、隣接する市町村も時給を引き上げるようになった。官製ワーキングプアーの悪循環から地域経済の好循環に転換させていく取り組みが進んでいる」と報告しました。

 井上氏は、「安倍政権のかかげてきたアベノミクスの誤りはもはや明らかになっている。私たちは労働者や国民の暮らしを応援し、地域を守っていかなければならない。いま大阪のダブル選挙では共同のたたかいが広がっており、このような取り組みをさらに大きく広げ、地域から賃金の底上げを進めよう」とよびかけました。

 岡田氏は「安倍政権は『戦争できる国づくり』、『世界で一番大企業がビジネスしやすい環境づくり』をめざして財界と手を組み、道州制導入をねらいTPPまで強行した。グローバル企業の利益を拡大する一方で、地域経済や地方自治を破壊するものである。地域の幅広い『地域再生』の共同の取り組みを進めることで、日本の経済や政治を『憲法をいかす』方向へ転換する展望が開ける」とのべました。

 討論では、郵政ユニオン、自由法曹団、医労連など各団体から、地域再生に向けての取り組みや決意などの発言がありました。自治労連からは久保中執が「自治体が今年度中に策定する『地方版総合戦略』の中味をチェックし、中小企業振興条例制定や子どもの医療費助成の拡充など、地域の再生につながる施策を共同して求めていくことが必要だ。また、派遣法が改悪されたもとで自治体に派遣労働が拡大するおそれがある。公契約条例の制定とあわせて、官製ワーキングプアを生み出させないたたかいを進めよう」と発言しました。

 最後に全労連公務部会代表委員の自治労連猿橋均委員長から「シンポジウムを通して、地域再生に向けた議論を深め、取り組みの交流ができた。政府の悪政を訴えるだけでは共同は広がらない。地域に焦点を当て、アベノミクスが地域にもたらす問題を具体的に取り上げ、地域の再生に向けた要求や提案をかかげて懇談を進め、要求や政策の実現に向けた共同を広げていくことで、地域再生への展望が開ける。これからも地域を軸として、憲法を守りいかすための共通認識をすべての地域、自治体に広げ、地域の再生へ共同のたたかいをすすめよう」と閉会あいさつがありシンポジウムが締めくくられました。