3月4日、自治労連は、東日本大震災被災地の自治体職員・公務公共関係労働者の人員確保と、健康対策の拡充を求め、衆議院議員会館内で総務省、復興庁に要請を行いました。

 OLYMPUS DIGITAL CAMERA要請には、自治労連本部から松繁美和副中央執行委員長、江花新中央執行委員、久保貴裕中央執行委員、草野義正書記、岩手自治労連から渡辺孝文書記長、大船渡市職から新沼優書記次長、大槌町職から小笠原純一委員長の7人が参加しました。総務省からは自治財政局係長ら4名、復興庁からは参事官補佐が対応しました。はじめに、松繁副委員長が要請書を手渡し、「震災からまもなく4年が経とうとしているが、復興は程遠く、被災地は大変な思いで頑張っています。現場の声に耳を傾けていただき、復興をすすめていただきたい」とあいさつしました。

 要請に対し政府側は、「今後も被災地の実情を十分に踏まえ、復興に支障がないよう取り組んでいく」、「派遣職員の人件費に関わる事務処理に不都合があれば、派遣元と協定を調整することは可能。両者での改善をお願いしたい」と述べました。

 これに対して自治労連は、「職員が不足しており復興がすすまない。派遣職員が応援に来てくれて行政が成り立っている」、「職員が月70時間の残業をした場合、保健士が面談し残業をストップさせる。復興を支える職員のケアも自治体の役目」、「予算規模が100倍以上に増えているにもかかわらず財政の職員は2人、工事の契約担当も2人で対応している。派遣職員の給料計算などもあり、事務量が膨大になっている」、「復興を担う派遣職員や地元の職員が自ら命を絶つなど、現場の職員は本当に疲弊している。『被災地に心を寄せて復興を最優先』と国が言うのであれば、施策の中で具体化していただきたい」、「派遣元と協定の調整も、受け入れ側には担当職員は数名しかおらず、一件一件対応することは大変な負担になる。『可能だからやってください』ではなく、国の方から具体的な援助をお願いしたい」と、実態を示し、十分な予算と人員を確保する措置などを強く求めました。

 政府側は、「被災地の要望を反映できるよう努力していきたい。技術職・専門職の職員が不足していることも認識しており、各省庁にも被災地への職員派遣の依頼をお願いしている。問題意識を持ちながら取り組んでいかなくてはならないと考えている」と述べました。

 要請の最後に、松繁副委員長が「本格的な被災地の復旧・復興はこれからです。政府の決める期間にこだわらず、住民本位の復旧・復興をめざしてお願いします」と述べ、要請を終えました。

<要請詳細> 

1.東日本大震災被災地の地方自治体が、復旧復興事業、公務公共サービスの提供を行う人員を確保できるように、正規職員をはじめとした自治体職員、公務公共関係労働者の採用について財政支援を強化すること。

(総務省)職員派遣や職員採用に関わる経費ついては震災復興特別交付税で対応している。今後も被災地の復興に支障が生じないようにしていきたい。

 2.全国から被災自治体に派遣される自治体職員が、健康を保全し、安心して復旧復興事業を担えるように、賃金・労働条件を保障すること。

(総務省)人的支援の状況について、10月1日現在で調査したところ、全国の自治体から、2255名が被災地へ派遣されている。総務省としても大変感謝している。一方どれくらい足りないかについては、1月1日現在で被災地市町村から1506名の要望があり、そのうち派遣や採用で1270人の手当てができているので要請に対して236名が不足になる。総務省として要望を聞きながら引き続き人的支援に取り組んでいく。

 3.被災自治体の職員採用、派遣職員の受入れに係る経費の全額を国が負担する震災復興特別交付税による措置を、2016年度以降も、復興が完了するまで継続し、拡充すること。

(総務省)復興の基本方針では復興期間は10 年間としており、復興需要が高まる当初の5年間を「集中復興期間」と位置付けている。まずは集中復興期間で一刻も早い復興を考えている。28年度以降の復興事業については、進捗状況などを踏まえて復興庁と検討していく。いずれにしても復興に支障が無いよう取り組んでいく。

(復興庁)竹下復興大臣が2016年度以降の復興予算について、地方にも一部負担を求める考えを示したことについては、決まったことではない。大臣も「復興を止める気はない。復興が終わるまでが復興」と言っている。仮に地方負担を求めることになっても、進捗状況や財政状況など現地の実情を十分踏まえながら検討することになる。震災後、復興予算を5年まとめて19兆円、後に25兆円確保した。通常の災害復旧事業でも単年度予算で地方負担があり、阪神淡路大震災や新潟中越地震、広島土砂災害でも地方負担はあったので、東日本大震災の措置は異例中の異例である。現在、これまで5年間の成果、進捗状況を検証中で、住宅や生業、心のケアなどを含めた今後の検討をしているところ。                     

4.被災地の自治体で働く自治体職員・公務公共関係労働者の健康保全、メンタルヘルスケアのための経費は、派遣職員も含めて全額を震災復興特別交付税の対象とすること。総務省の要請に基づき地方公務員災害補償基金が実施している「東日本大震災に関連するメンタルヘルス総合対策事業」は2016年度以降も継続・拡充して実施すること。

(総務省)職員派遣や採用の経費については、復興特別交付税で対応しているが、メンタルヘルスケア等の経費については地方公務員災害補償基金での対応となる。メンタルヘルス総合対策事業については、25年から3カ年スキームで行っており、継続して行う。28年度以降については26年度、27年度の結果を踏まえて検討していくことになる。 

 政府の回答に対して、現地、岩手自治労連からも地元の実情を訴えました。

(大船渡市職)現在、大船渡市は全国から85人の派遣職員の協力で復興業務が行われている。

 岩手県内の工事の着手率は防災集団移転促進事業が57%、災害公営住宅が41%と極めて低調となっている。被災自治体では技術職、専門職の職員が不足しており、募集をしても応募が悪く復興がすすまない。岩手、宮城、福島の仮設住宅では昨年1年間で、孤独死が44名と報道された。避難の長期化で健康を害する被災者が多くいる。今年、来年が正念場ではないかと考えている。

また、自治体では派遣を含めた職員が月70時間の残業をした場合、保健師が面談し残業をストップさせている。復興を支える職員のケアも自治体の役目であり重要と考えている。 

大船渡市は2002年に合併して、10年間で92人が削減された。現在、85人の派遣職員が応援に来てくれて行政が成り立っている。技術系の職員や保健師など専門職員が必要とされていて増員が急務となっている。行政は住民の命を守る事が使命である。十分な予算と人員を確保する措置を行っていただきたい。

 (大槌町職)とにかく人もお金も足りていない。自治体職員だけでなく、土木作業員や大工、運転手など復旧に関わる人が地域に足りていない状況。地元業者は機械やトラックが流されてしまっているため、ガレキの除去では、神奈川や奈良のナンバーを付けた地元以外の業者が請け負っている。自治体職員も不足しており、総務は現在、正規と任期付き合わせて4人、財政も予算規模が100倍以上に増えているにもかかわらず2人、工事の契約に関する担当も2人で対応している。正規職員でないとできない専門的な仕事も数多くある。全国的にも職員の人員削減が行なわれているため、派遣する側も専門職員の人員は厳しく派遣に出せない状況である。また、全国からの派遣職員の旅費について、派遣元の自治体の基準で来ているので、移動に飛行機が使えないなど、その都度、派遣元の旅費規則に合わせて算定しなくてはならないことや、毎月の報告を求めている自治体もあるため、事務量が膨大になっている。毎月60時間以上の残業を強いられている。派遣元自治体によって手当てや休暇に違いがあるなど、復興のために共に働く職員間で処遇の格差が問題となっている。国として改善を行っていただきたい。

 (総務省)派遣職員の旅費や残業時間の把握、差額など人件費に関わる計算など、事務処理に不都合があれば、派遣元と協定について調整することは可能なので、派遣元と受け入れ側の両者で調整し、改善をお願いしたい。

 (自治労連)派遣元の自治体と協定で決めればいいと言うが、全国数十カ所の市町村から受け入れている側には職員も数名しかおらず、一件一件対応することは大変な負担になる。また、受け入れ側はお願いして派遣してもらっていることもあり、派遣元に要望は出しづらい。国の方から具体的な援助をお願いしたい。

 (岩手自治労連)復興を担う派遣職員や地元の職員が自ら命を絶つなど、現場の職員は本当に疲弊している。労働組合として、正規も派遣も臨時も健康で一体となって住民本位の復興がすすむように応援している。「被災地に心を寄せて復興を最優先」と国が言うのであれば、施策の中で具体化していただきたい。不安を少しでも解消できるように、28年度以降の予算措置を早く出してほしい。

 (総務省)メンタル問題や財源など、被災地からどんな要望があるのか認識している。28年度以降の予算についても、被災地の要望を反映できるよう努力していきたい。

技術職・専門職の職員が不足していることも認識しており、義務付けはできないが、各省庁にも被災地への職員派遣の依頼をお願いしている。引き続き問題意識を持ちながら取り組んでいかなくてはならないと考えている。