1月25日(日)林野会館において、医師不足と地方財政危機、政府の社会保障費削減を中心にした医療費抑制政策のもとですすむ、自治体病院と地域医療の深刻な危機の中で自治労連が進めてきたいのちと地域を守る運動を継承し、全国の取り組みを大きく進めるための意思統一の場として、今回で8回目を迎える「いのちと地域を守る学習・意思統一集会」を18地方組織からimage00563名の参加で開催しました。

 主催者を代表して自治労連本部の福島副委員長は、この間の社会保障の大改悪のながれ、26日に開会する通常国会で提出が予定されている社会保障改悪関連法案について触れ、憲法が保障する生存権は国民が全国のどこに住んでいようとも基本的人権により最低限度の生活を保障するものである。安倍政権が行なおうとしているのはこれとは真逆のものだ。春闘と一緒にたたかわれるいっせい地方選挙では、どういう自治体をつくっていくのかが焦点になっていく。この2日間全国の教訓に学び、地域での運動にいかしていこうとあいさつしました。  

続いて、伊藤周平・鹿児島大学法科大学院教授より「医療・介護一体改革と対抗の課題」と題して記念講演をいただきました。医療介護総合確保法の目的とねらいや、改正医療法の問題点、改正介護保険法の問題点等について詳細に解説いただき、続いて医療費・介護費の抑制を既定路線にしている安倍政権のもと、引き下げとなった介護報酬の問題や、国民健康保険の都道府県単位化問題、混合診療の解禁へとつながる患者申出療養制度の創設をはじめとした、今後注視していかなければならない社会保障課題について説明いただきました。

 また、地域医療・公立病院をまもる運動の成果と今後の展望については、新段階に入った「棄民」政策ともいうべき安倍政権の医療・介護一体改革を含む社会保障改革に対して、全国各地で「地域医療を守る会」が結成され地域医療をまもり充実させるという一点で共同を広げる運動が展開されていることなどが紹介され、自治体レベルで地域医療をまもるという一点で共同する運動の拡大、そして地域医療と地域包括ケアシステムのあるべき姿を対案として示していく運動が必要だと語られました。この間、地域医療崩壊がすすんで地域はどうなっているのかという問題では、東日本大震災における被災地の現状として、本来であれば救えるはずだった多くのいのちが救えなかったこと。地域医療をまもるということは災害対策でもあると話されました。

 講演の最後に、改憲をめざす安倍首相は2016年の参議院選挙を衆議院選挙とダブルで行い、一挙に改憲の発議、国民投票にもっていくとの見方もある。その意味で、次期総選挙までに消費税増税と社会保障削減の問題点を広く知らせ、それに反対していく運動を拡大しリベラル勢力の政治的結集をはかっていけるかが最大の課題。なによりも社会保障の充実を求める運動は、貧困や格差をなくし、日本を戦争する国にしないための平和運動である、とまとめられました。

 國貞中央執行委員(自治体病院闘争委員会事務局長)より基調報告が行なわれ、本集会の目的や医療・社会保障をめぐる動き、地域医療をめぐる状況や全国各地での地域医療を守る運動の展開、医療現場の実態やこの1年間の取り組み等が報告され、地域医療と自治体病院を守り、より一層の充実を求める取り組み、医療改悪反対、安全・安心の医療の確立をめざす取り組み、医療労働者の労働条件改善をめざす取り組み等を大きく進めるために当面、3月3日の医療三単産の署名提出行動、6月20日-21日に開催予定の第19回社会保障集会、11月に開催予定の第17回自治体病院全国集会の成功に向けた全国各地での取り組み強化が提案されました。

 特別報告では、「静岡市立病院独法化を許さないたたかい」が静岡自治労連の志田剛さんから報告され、続いて「半田市民病院の組織拡大・強化のとりくみ」について、愛知県半田市職の小原春美さんが報告しました。

 記念講演、基調報告、2本の特別報告を受けて、フロアから全国各地の取り組みが6本発言されました。青森からは、全国の取り組みに学んで返信用封筒も活用して看護アンケートに取り組んだところ自治労連未加入の病院から多くの返信があり、その中には厳しい職場環境の中、職場環境を良くしたいとの思いがびっしりと書き込まれてきたことや、組合に入りたいとの回答があったこと。次は組織化にむけて県本部ニュース(医療特集)等を届けながら、労働環境の改善で働きやすい職場づくりを一緒にがんばりましょうの声掛けをすすめたいと報告されました。神奈川からは、独法化されて5年を経過する中での、賃金確定のたたかいとその成果について、通年で行っている基本要求交渉について、また独法化されて感じている独法上の課題について報告がされ、助産師手当の提案や看護師に対する放射線の手当化について継続課題として奮闘していることなどが報告されました。高知からは、四万十市の取り組みについて12月学習会を開催し、独法化・民営化されると病院はどうなるのか、公立病院の役割について学んだこと。1月17日の学習会では災害時に備える西土佐診療所の取り組みを学び、災害に対する意識の向上がはかられたことなどが報告されました。東京からは、公立病院改革プランによって、局の統廃合や病院の統廃合が推し進められ、公社化、独法化されてきた都立病院の現状、独法化された病院では成果主義賃金が導入されていること、PFI方式で運営されている病院や、非営利HD構想について語られ、昨年特区に指定されたことで2020年の東京オリンピックに絡めて外国人専門の病院づくりや株式会社病院の許可がすすめられていること、これらに対抗する守る会の活動などが報告されました。岡山からは、岡山市立病院における26年4月からの独法化問題と、玉野市における財政悪化と老朽化を理由として独法化か指定管理かを迫られている状況などが報告されました。福岡からは、有期看護助手の雇い止め問題について現在裁判闘争をして頑張っていることや、こども病院と市民病院の独法化について、22年の独法化から5年を経過するが独法化にあたり給与水準が大幅にダウンする世代があり、5年間の現給保障を勝ち取ったが期限がきれるため、今後どうするかが課題。また病院の移転により通勤が困難になり、唯一の交通手段であるバスも運行本数が少なく、バスの時間に合わせるため業務が止まるということが多く発生している。バスの増発やコミュニティバスの運行などを職場要求としていることなどが報告されました。

 特別報告とフロア発言を受けて、伊藤先生から自治体病院の役割を知らせていく大切さや、住民を巻き込んで地域医療を守る運動・共同を広げる重要性、世間はいまだに身を切る改革と言われると賛成してしまう風潮があり、現場の過酷な状況が知られていない。地域を守る、いのちを守るという一致点で住民・団体との共同が大切だという感想が語られました。

 集会の最後に江花憲法政策局長が、本日の集会の中で医療職場をとりまくリストラ・独法化をはじめとした状況が生々しく語られた。経営や効率最優先でいかに安上がりにできるかという思想しかない、金がなければ医療にもかかれない、国民・住民のいのちや健康の問題を放棄する国の姿勢が明らかになった。署名提出や府省要請行動など国の姿勢をかえていく運動の重要性と、地域医療をまもるため住民と一緒になって共通する要求で共同してたたかう必要性、あわせて医療労働者の労働条件改善を勝ち取るため奮闘しましょうとまとめの発言を行い集会を閉じました。