image009 11月9日、自治労連は「人事評価制度」とたたかう全国学習討論集会を開催し、19地方組織から、全体で82人が参加しました。

 開会にあたり田川副委員長があいさつを行い、確定闘争の課題のひとつである人事評価制度について、その狙いを学習し、職場の実態を交流しようと活発な討論を呼びかけました。

  第一部は、「人事評価制度」の狙いと実態をつかむ学習会。黒田兼一氏(明治大学教授)、九後健治氏(国公労連・全労働省労働組合書記次長)、小松康則氏(大阪府関係職員労働組合書記長)の各講師から報告を受けました。

  黒田氏は、アメリカ・イギリスの人事評価制度の概要および現状を紹介し、地方公務員法の「人事評価制度」のどこが問題かを話しました。人事査定の母国・アメリカに進出した米ホンダでは、組合員には適用されない、客観的な評価ができる要素を重視して主観性を外している、評価結果について被査定者の署名を求める(署名のないものは無効)、雇用差別禁止法制が適用されている制度となっていると紹介。イギリスでは、地方自治体にも90年代をピークに人事考課制度が導入されたが、労組が介入し苦情・救済処理制度の確立や不当な格差を許さない闘いとして運動を進め、現在は一部を除いて廃止されているとし、その理由として、①費用がかかりすぎる、②全職員に一貫した制度を適用することは困難、③モチベーションの低下を招く、の3点を挙げました。

  黒田氏は、地方公務員法「改正」で明示された「人事評価制度」の問題点として、「任命権者」に権限が集中、査定結果に対する苦情についての具体化がまったくない、労使関係の視点が軽視されていることを挙げ、労使関係が大きく改変されかねないと指摘。日本の多くの企業では、組合や労使協議制等の話し合い、また異議申し立て制度の導入が進んでいないとして、公務員が人事評価制度について大いに発言することが、民間企業が突破していく大きな力になるのではないかと述べました。

  国家公務員には、人事評価制度が本格実施されています。九後氏は、不適切な目標設定、トップダウンによる組織目標の押しつけによって、過度なコスト削減や節電の強要、超勤削減が掲げられ、不払い残業につながっている実態を紹介しました。国公労連アンケートからも、評価が職場に与える影響として、チームワークを阻害する、パワーハラスメントの原因となるなどが明らかになっています。人事評価の結果に昇給などの区分が必ずしも連動していないなど、絶対評価と相対評価の矛盾、評価者が制度を熟知していないことによる昇任・昇格の遅れなども生じています。

  九後氏は、一方で「きちんと認めてほしい」という現場の声があるのは事実で、行政民主化とセットで、賃金の個別管理がさらに進むことに対する運用のチェックや苦情処理への労働組合の関わり方を課題に挙げました。

  大阪府では、2001年度から人事評価制度が導入され、昨年度からは、これまでの労使関係を無視し、職員基本条例で定めた相対評価が実施されています。小松氏は、当局が実施したアンケートで、「資質・意欲・能力の向上」について77.6%の職員が「つながると思わない」と回答、また、相対評価によって、下の区分に落とされ、その結果ボーナスが減らされるという事態が起きている、と報告。職場では目標を無理やり数値化させるという圧力も強まり、知らず知らずのうちに、「住民のための仕事」が「評価のための仕事」に変質していく恐ろしさを感じる職員も出ていると述べました。住民との共同を広げるなかで、「職員が住民のほうを向いて仕事ができなくなるのでは」という不安の声も出ています。「評価制度は管理運営事項」とする当局に対し、府職労は実質的な協議を保障させ、矛盾や問題点を徹底したキャンペーンで明らかにし、庁内世論の変化も生まれています。

  小松氏は、こうした取り組みや職場に根づいた運動を通じて、大阪府職労は1,020人を超える新たな組合員を迎えていると報告しました。

 

  第二部では、「人事評価制度」とのたたかいについて全体討論を行いました。最初に、熊谷中執が、4~5月に実施した単組の聞き取り調査も交えて報告を行いました。「人事評価制度」が政治主導で進められてきた「公務員制度改革」に位置づけられたものであること、調査結果から「人材育成」につながっていない、職員に評価によるプレッシャーが強くかかっていることなどが明らかになったと述べ、全国でのたたかい、実践の交流をよびかけ、討論に入りました。

 会場からは、すでに導入されている単組から、「たった3分の面談でどう評価するというのか、納得できない」「異動したら、前の仕事のことを知らない上司に評価される期間設定になっており、おかしいと交渉で追求している」など問題点の告発がありました。また、人事評価制度に幻想を抱いている若手職員にどういう運動をして、結集させていくか、の議論では、ていねいな学習会の開催・積み重ね、全職員の世論形成、組合討議を重ね、組合員を増やすなど、様々な運動、工夫の提起がありました。

 また、「民主的な人事制度の対案を示していかないといけないのではないか。人事評価制度によって職員を分断することをどう考えるのか。組織、集団としてのパフォーマンスへの影響を解明してほしい。議論を進めてほしい」との要望も出ました。

  最後に、中川書記長が「イギリスの人事評価制度の破たんは自然発生ではなく、労組のたたかいがあってこそ。この闘いは長くなる。労働組合が積極的に関与し、当局と徹底的に議論を重ねることが必要」とまとめ、「人事評価制度は、まさに職場に『格差』を持ち込むもの。公務の本質がねじ曲げられてしまう。確定闘争も山場にさしかかる。沖縄知事選挙勝利、派遣法の改悪阻止の課題もあわせ、全力で奮闘しよう」と締めて集会は終了しました。