3月7日(土)、国公労連、自治労連と地方自治問題研究機構、自治体問題研究所、行財政総合研究所の5団体による合同研究会は、「安倍政権の改憲動向と道州制・地方創生がもたらすもの」をテーマに公開研究会を明治大学で開催し、全国から53名が参加しました。

image003 この公開研究会は、安倍政権が5月の連休明けに集団的自衛権行使容認にむけた法案を提出し、来年7月の参議院選挙後に憲法の改正の発議を行う意向を明らかにしていることや、人口減少問題を口実に「地方創生」と称して、「選択と集中」による広域的な地域の集約化を推し進めようとしていることなどの問題を明らかにし、憲法改悪や道州制・地方創生による地方の切り捨てを許さない世論を広げることを目的に開催しました。

公開研究会には、学習院大学の青井未帆教授、専修大学の晴山一穂教授、龍谷大学の本多滝夫教授、行財政総合研究所の永山利和理事長から報告があり、会場からの発言を受けての質疑・討論を行う形で進められました。

 学習院大学の青井教授からは、「安倍首相は、来年夏の参院選後に憲法改正について賛否を問う国民投票を行う認識を示しており、3つの否法律学的で曖昧な表現(①積極的平和主義、②安保環境の変化、③我が国の存立)を基に改正をねらっている。有事と平時の判断に『存立事態』という理屈を無理矢理加え、防衛出動可能にしようとしている」と、安保法制懇で検討されているグレーゾーン対処、防衛出動の国会承認と対処基本方針などの矛盾について報告しました。

 専修大学の晴山教授からは、「憲法15条だけでなく公務員が生まれた歴史や世界の流れから公務員の役割について考えることが大切」として報告を行いました。昨年行われた内閣による幹部人事の一元管理などの公務員制度改革は、公務員の独自の役割を軽視・否定するもので歴史的な流れにも逆行するものであると指摘しました。

 龍谷大学の本多教授からは、「政府は、地 方創生による連携中枢都市圏への財政的な優遇措置と連携協約によって自治体を『選択と集中』に誘導し、市町村合併への基盤形成をすることで巧みに道州制導入を進めようとしている」と、状況を報告しました。「持続的発展の可能な地域の形成には、人口減少の問題にしっかり向き合うことが必要。国のナショナルミニマムを遵守させ、地域内再投資力を高め、個々人の生活や生業を成り立たせること。そして、自治体の自主性を喪失させるような安易な『連携協約』は結ばせず、都道府県の役割を空洞化させないような努力を引き続きしていく必要がある」「今年度中に各自治体が地方版創生総合戦略をつくることになっており、各地域でどの様な動きが進むのか注視が必要」と訴えました。

 行財政総合研究所の永山理事長からは、地方創生については、地域商品券が地域経済に環流しない実態や、小さくても輝く自治体が取り組んできたバイオマスなど環境関連産業の成果を政府が勝手につかっている実態などが紹介されました。大型店舗が低賃金アルバイトで24時間営業していることが小規模事業者や家族的営業の経営を破壊し、高齢化や後継者の問題に繋がっている。そういうマクロ的な状況について認識のない者が地域創生やTPP、農業への企業参入などを進めている。今後の地方創生における検討の中で個々の質を守る観点から新しい地域のあり方を提案することが大切であると述べまとめました。

 会場からの質疑では、沖縄の辺野古新基地建設に反対する住民が道路(国道の歩道)にテントなどを設置している状況の指導のため、沖縄総合事務局北部国道事務所の職員が24時間3交代での監視を強要されている実態が報告されました。反対運動の排除に向けた「道路管理者」としての対応を超えた過剰な警戒対応へ多くの職員を動員し、県民同士の対立をあおるような行為は県民の安全・安心を守る役割を担う行政機関として異常な事態であり、「県民の一人でもある職員の思いをも無視して動員される職員は体調と気持ちが落ち着かない状態にある」と、開建労(沖縄総合事務局開発建設労働組合)が総合事務局へ申し入れ書を提出し、そのことが職員の支えになっている実態や住民の理解に繋がっていることが報告されました。

 最後に行財政総合研究所理事でもある国公労連笠松書記次長があいさつを行い「本日の報告を職場・地域で活かし、今の状況を打破していこう」とよびかけ締めくくりました。