2月17日、自治労連都道府県職部会は、全国知事会と懇談しました。懇談には、都道府県職部会の森部会長(京都府職労連)をはじめ、部会四役と幹事、白鳥政策委員長(千葉県職)、自治労連本部から田川副委員長と久保・杉本中央執行委員が参加しました。懇談では、森部会長から要請書を手渡し、地方財政や道州制・地方分権改革などの課題について、自治労連の立場と要求を伝え、全国知事会としての考え方を質しました。全国知事会からは、調査第一部長をはじめ、懇談項目を担当する事務局職員が対応し、要請項目についてそれぞれ考え方を述べました。懇談のやり取りの概要は次の通りです。

 「財源不足解消へ、地方交付税を抜本的に拡充すべき」(自治労連)

「交付税の不足を臨時財政対策債でまかなうのは問題だ」(全国知事会)

image005 (1)地方財政の確立について、自治労連からは「地方の財源不足の解消へ地方交付税法定率の抜本的引上げが必要」、「法人事業税の外形標準課税の拡大には反対」、「地方交付税の算定に『行革』努力を反映させるべきではない」、「老朽化対策を理由にした公共施設の統廃合は許されない」、「医療従事者の確保・待遇改善による公立病院の充実を」と考え方や要求をのべ、全国知事会としても地方財政の拡充へ国に要請を強めてほしいと求めました。

 要請に対し全国知事会は、「2015年度地方財政対策について基本的には評価している」とした上で「本来の財源不足の解消にはならないが、一般財源の総額では前年度よりプラスにはなっている。但し、地方交付税の不足を臨時財政対策債でまかなう手法には問題であると感じている」と述べました。また、地方財政対策の中で「まち・ひと・しごと創生事業費」1兆円が計上され、前年度からの「地域の元気創造事業費」については、人件費削減などの「行革」努力を反映させるとしている問題について知事会は、「地方交付税の主旨から問題はあると考えているが、一部には『反映させるべき』という意見もある」と述べました。

 自治労連は、「行革」努力を反映した算定は「地方自治の理念に反するものであることから、あらためること」とする地方議会の意見書が岩手、宮城、和歌山、広島、高知の各県議会など多数あがっていることを紹介。三位一体改革で大幅に減らされた地方交付税を抜本的に拡充するよう、全国知事会としても国に強く要請するよう求めました。

 公共施設の老朽化対策について全国知事会は、「統廃合が必要な場合もあると思うが、国が強制すべきものではなく、各地方の判断で実施されるべき」との考え方を示しました。また、公立病院の充実については、「医師不足等の問題もあり、医師確保のための措置は必要であるが、経営状況が厳しいもと、見直しも必要だと思う」と述べました。自治労連は「公立病院は、不採算医療や地域に不足する医療を担うのが役割であり、利潤の追求が目的ではなく、経営状況が厳しくなるのは当然」と指摘し、国に対して必要な財政措置を求めていくことが必要だと主張しました。

(2)道州制について、自治労連は「都道府県の役割をなくし、国のナショナルミニマム保障の責任を投げ捨てるものであることから知事会としても反対の態度を貫くべきだ」と要請。全国知事会は「臨時国会の前に議論がされていたが、道州制推進法案は出されなかった。政府というよりは自民党主導で進められていると認識している。今後も動向を見守っていく」と述べました。

 「住民の安全を軽視する、福祉施設の規制緩和は許されない」(自治労連)

「地域の実情に合わせて、進められているものと考える」(全国知事会)

 (3)国から地方・基礎自治体への権限委譲について、自治労連は「権限委譲は都道府県の空洞化にもつながる問題であり、結局は人員削減がすすめられ、移譲先では人が増えないという実態がある」と指摘。保育所など福祉施設の安全を守る面積基準を緩和したり、保育士資格のない人に保育を担わせるのは、ナショナルミニマムの崩壊にもつながり、住民の安全・安心が守れないと追及しました。全国知事会は、「あくまで地域の実情に合わせて進められているもの」との認識を示し、「待機児童が多いもとで、保育所が設置できる土地や保育士が不足している実態があるので、規制緩和はやむを得ない」という考えを述べました。自治労連は「経済性・効率性の名のもとに、住民の生命、安全を軽視することがあってはならない」と追及し、考え方をあらためるよう求めました。また、「国民健康保険」保険者の都道府県移管について全国知事会は「財政基盤確立の観点から国に緊急要請も出している」と述べ、今後も状況に応じて必要な要請を行うとの考え方を示しました。

(4)「給与制度の総合的見直し」について全国知事会は、「これまで全国知事会として反対の立場を表明してきた」と説明したうえで「地方公務員の給与がまだ高いという議論がまだあることを懸念している。地域間較差が拡大しないように、地方創生にしっかりとりくんでほしいと考えている」と述べるにとどまりました。都道府県を介さず、直接、市町村や民間事業者に交付されている補助金、いわゆる「空飛ぶ補助金」については、「全国知事会として現状は把握していないが、そういった交付金については都道府県に対し交付するよう意見を述べている」と答えました。また、集団的自衛権の法整備や特定秘密保護法施行にあたっての対応等について、全国知事会は「現在のところ、全く議論はしておらず、見解は持ち合わせていない」と説明しました。