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第11録 古代の伝説と歴史あふれる飛鳥の里

いい旅ニッポン見聞録2016年12月号 Vol.517

奈良県・明日香村

古代の伝説と歴史あふれる飛鳥の里

自然や風景も大きな魅力
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▲天武・持統天皇陵は合葬墓

 奈良県中部に位置する明日香村。隣接する市町村の一部を含め、飛鳥地方と呼ばれています。

 遥か1400年前、古代の伝説と歴史、当時の営みを感じられる場所が数多く残り、豊かな自然と古き良き里山の風景と調和する不思議な空間が広がる明日香村を訪ねました。

 近鉄京都駅から橿原神宮前駅に到着。ここでさらに近鉄吉野線へ乗り換えて「飛鳥駅」で下車。東へ歩くとそこはもう古代史の里・明日香です。

歴史を雄弁に語る資料館

 県道209号線を東へいくと国営飛鳥歴史公園館に着きます。飛鳥地方の地下から発掘された遺構や遺物を雄弁に語る資料館です。まずは古代の歴史に触れてみてください。近くには、高松塚古墳があり、南へ1キロほど行くとキトラ古墳があります。

 飛鳥歴史公園館から東へ進むと、壬申の乱(672年)で大友皇子を倒した大海人皇子(即位後に天武天皇)とその皇后である持統天皇の陵があり、陵の近くには「鬼の雪隠」「鬼のまな板」「亀石」など、誰が何のために作ったのか定かではない謎とベールに包まれた古墳時代の石造物にお目にかかります。東へすすめば、聖徳太子が生まれたとされる「橘寺」に到着。北側に目をやれば蘇我馬子の発願で建てられた日本最古の寺「飛鳥寺」が集落の風景のなかに見え、手前の田園風景には「伝飛鳥板蓋宮跡(飛鳥宮跡)」があります。

 645年、中大兄皇子と中臣鎌足は、ここで豪族支配を強める蘇我入鹿を倒し「大化の改新」で律令政治を進めていったことを中学校の社会科で学びましたよね。

 さらに東へすすむと、入鹿のおじいちゃん蘇我馬子の墓と伝えられる石舞台にたどり着きます。30数個の岩の総重量は約2300トン、天井石は77トンもあるそうです。

 石舞台近くの北側の小高い山に登ってみると、遠くに蘇我一族の居城があったといわれる甘樫の丘、手前は明日香村の集落が見えました。

 古代の史跡や遺構ばかりではなく、「日本人の心の故郷」とも称される自然や風景も明日香村の大きな魅力です。

 季節によってさまざまな形を見せる風景は、都会での生活に疲れたとき、悩んだとき、あなたを優しく包んでくれるのではないでしょうか。

見聞メモ
明日香巡りは「レンタサイクル」がおすすめです。
自転車(平日:900円、土日・祝日:1000円)電動自転車(一律:1500円)
他に明日香周遊の「かめバス」があります。かめバスは近鉄橿原神宮前駅と飛鳥駅から運行。詳細は明日香村役場 電話:0744-54-2001

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▲聖徳太子が生まれたといわれる橘寺
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▲蘇我馬子の墓といわれている石舞台古墳