トップ  >  自治体の仲間

自治体の仲間

 

2006年12月号 Vol.397

悠湯旅情
第82湯
静岡県 大観光地に隠れた大仁温泉
富士山と黄金伝説のまち
 新幹線で三島駅に降り、伊豆箱根鉄道に乗る。快適とはいえない路面電車のような車両だが、ガタゴトガタゴトと旅の風情を感じさせるに十分なローカル電車だ。20分ほどで大仁駅。降りる人もまばらだ。あと二駅で伊豆の名湯・修善寺温泉だけに、その手前にある大仁温泉などはほとんど素通りされてしまうのだろう。
 2006年4月の市町村合併で、大仁町は「伊豆の国市」というちょっと風変わりな自治体名になった。狩野川をはさんで対岸にある修善寺温泉も同様に伊豆市という自治体名になったので、どうにも紛らわしい。この地方は戦後まもなく、大型台風が襲い甚大な被害に見舞われた。後に「狩野川台風」と名付けられた。狩野川は「友釣り」発祥の地でもあり、鮎料理が自慢だ。
 大仁駅前に小さな生垣と水場がある。湯を引いていて、飲泉所と歩行浴の施設がある。木々の間に隠れるようにして、温泉の由来が書かれた説明版があった。大仁温泉は「黄金の湯」とあった。その昔、大仁には金の鉱脈があった。終戦間際の1938年、隣接する大仁鉱山から温泉が湧出し、金の採掘が不可能となった。この温泉の処理に困った鉱山会社が、敷地内にヘルスセンターを開設して鉱山労働者と観光客向けに温泉を供した。戦後1949年には旧大仁町方面への給湯も開始される事となった。かつては長島茂雄が、現在は清原和博がキャンプを張ったのがこの大仁温泉だ。
 駅から高台にかけて7軒の旅館がある。大仁駅から歩いて3分ほどのところに日帰り入浴施設「城山荘」がある。施設はちょっとひなびている。浴室には4〜5人が浸かることのできるタイル張りの湯船が1つ。無色透明の湯がかけ流し。湯はさらりとした感じで、癖がない。駅の背後にある特異な岩山が城山。大仁は何といっても、標高100メートルの高台にある温泉ホテルからの富士山の眺めがすばらしい。駅からの急な坂道をあえぎあえぎ上り詰めたあとの大展望。まさに風景画か絵ハガキそのもの。何よりも、ほどよい距離と大きさがいい。そして季節は空気の澄んだ冬がいい。大仁には富士が似合う。


 


温泉メモ
●大仁温泉「城山荘」
所在地/ 静岡県伊豆の国市大仁289−1
交通/ JR三島駅から伊豆箱根鉄道大仁駅
下車5分
泉質/ ナトリウム・カルシウム塩化物泉
効能/ 慢性リウマチ、神経症、腰痛、皮膚病
営業時間/ 10時〜9時
入浴料/ 300円
問い合わせ/ 0558−76−1364
定休日/ 木曜日
宿泊/ 大仁ホテル 0558−76−1111

プリンタ用画面