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自治体の仲間

 

2006年新年号 Vol.386


市の財政が苦しくても 「福祉は削らないで」
「財政健全化」のタウンミーティングによせられた市民の声

  小泉内閣は、「小さな政府」など世論を動員して、自治体や公務・公共労働者のあり方を根本から変えようとしています。吹田市労連は、吹田市の「財政健全化方策」に対して、市民のくらしの目線からの討論をすすめようと、市民の意見と要望を聞くタウンミーティングを開催して、市民の共感が広がっています。



▲昨年9月に行われた第23回「よっといで祭」。市民といっしょにつくる手づくりの市民祭として定着しています。
▲吹田の夏祭り「吹田まつり」でも吹田市労連は、”ふとんみこし”で参加


大阪吹田市労連「福祉の吹田」と誇れる街

 吹田市は2004年『行政サービス調査』(日経新聞)でも、全国10位、近畿1位の行政水準と評価され、「福祉の吹田」とも言われてきました。こうした実績を築いた土台には、住民と自治体労働者の共同の力がありました。1981年には「吹田住民懇」が結成され、毎年9月には「よっといで祭」、11月「市政研究集会」、地域ごとに「地域のつどい」を開くなど共同の輪を広げて発展させてきました。
  しかし、長引く不況や減税の影響、さらに小泉「構造改革」の三位一体改革の追い討ちの影響で2005年度予算は、約1000億円の歳出に対し、約70億円の歳入不足が生じました。こうした事態に吹田市は、2000年の「財政健全化前期方策」に続き2005年度より5カ年の「財政健全化後期方策」の策定に向けた考え方を打ち出しました。しかしその内容の柱は、市民サービスの削減とアウトソーシング、職員の削減でした。



市民の共感を広げた「タウンミーティング」



▲小学校給食の民間委託をはね返そうと、中学校区単位ですすめる「給食のつどい」では1700人の市民と交流

 吹田市労連は、「財政困難だから市民サービスを削減という安易な立場で策定されれば、市民生活に重大な影響をおよぼす」と、市方策が出る前に、市労連の「財政健全化」での提起をし、地域に入って住民の意見を聞くタウンミーティングを開くことにしました。
  隣接する大阪市の『厚遇職員問題』が騒がれていた最中でしたが、2005年5月下旬から約1カ月間「吹田の財政問題とまちづくりを考えるタウンミーティング」が開始されました。市内の中学校区15カ所で200人を超える市民が参加し、財政問題にたいし「何を大事にするか」をテーマに討論、市民からはさまざまな意見や要望がだされました。
  タウンミーティングでは、「財政がいくら厳しくとも子どもお年寄りなど弱者を守ることが大切」「財政が苦しいといいながら必要性がわからない公共事業の計画がどうなっているのか」「福祉、子育て、教育など市民のいのちとくらしを支える事業は削らないで」と市民から貴重な意見が出され、市労連の提起した「市民のくらしを守りつつ財政問題の打開を」の訴えに共感が広がりました。
  「タウンミーティングでは、保育、学童、給食、清掃など市民サービスの最前線で奮闘する職員が、自らの仕事を大いに語り市民からの、『市職員の頑張りが頼もしい』の声にはげまされました」と、市民からの共感を岩根良・市労連委員長はしっかりと受け止めています。



「市民生活の中に、市の職員がいる」と市民が実感


 タウンミーティングに参加した市民からは、「厚遇問題が騒がれている時期に、市民と真正面から討論しようとする市労連の姿に共感する」「市民生活の中に市職員がいることが、市民にとってありがたい」と、期待の声が寄せられ、組合員は勇気と励ましを得ました。
  副委員長の有田八郎さんは、「困難ななかでも、市民とのこうしたとりくみは、お互いの信頼関係を築くことができて市労連の大きな財産となっています。とりわけ、自治体労働組合としての視野と活動がひろがりました」と語ります。
  吹田市労連は、タウンミーティングを2006春闘の柱にしてとりくむことを提起しています。住民とともに歩む自治体労働者、自治体労働組合の、住民との共同の力を土台に市民をまもる活動がすすめられています。





勇気ある活動をもっと充実させて
社会福祉法人さつき福祉会常務理事、吹田住民団体(運動)交流懇談会代表代行
鈴木 英夫さん



  私は、吹田で長年障害者運動や住民運動にかかわってきました。市労連がこの時期にタウンミーティングを開いたのは、勇気あることだと思います。私も参加し、住民は自分の身近な施設や学校の役割など、いままで見えなかった地域や街のことに、気づいたことは大きいですね。
  財政問題で住民とともに討論したことは、この街をどうつくっていくのか、という市の将来ビジョンにもつながります。さまざまな人たちを集めてより充実させてほしい。そのためには、自治会長さんや公民館との提携などの工夫もほしいし、行政への多様な意見や賛否、批判などたくさんの意見を拾いあげることは大切です。






池子の森全面返還は市民の願い
米軍 住宅の追加建設に反対

米軍基地・憲法・平和を語る

 昨年10月の日米協議にもとづく「中間報告」で、在日米軍の再編・強化をめぐって基地を抱える自治体・首長からは、強い反発と抵抗の声があがっています。原子力空母が配備される横須賀基地に隣接し、市内の米軍家族住宅の追加建設にも直結すると危惧される神奈川県逗子市。日米協議での基地問題、憲法・平和などについて、長島一由逗子市長にインタビューしました。







神奈川・逗子市
長島一由市長にインタビュー
 

長島一由逗子市長のプロフィール

1967年1月18日生まれ。1990年早稲田大学教育学部卒業、1993年青山学院大学大学院修了(国際政治学修士)、1998年東京大学大学院終了(法学修士)、1998年逗子市長に初当選、全国最年少市長に。2002年12月再選2期目、2003年8月池子米軍住宅問題における市長の政治姿勢を市民に問うため市長を辞職。同年9月市長選挙に出馬し3選。
 
聞き手
川俣勝義さん
(自治労連副委員長)


米軍住宅の追加建設は基地強化に直結する可能性が高い


川俣副委員長  池子の森の米軍住宅の問題では、裁判も含めて国に対して、自治体の市長の立場からいろいろと意見を表明されています。この問題と地方自治、基地問題についてどうお考えですか。
長島市長  池子の米軍家族住宅問題では最初につくるときには、反対と容認とが市を二分して争った経過があり、苦渋の選択の末に854戸の住宅を受け入れた逗子市の歴史があるわけですね。そうした経過のある中で、「追加建設は考えない」と明確に市民に約束をしていたものを反古にしようとしていることに対し、約束を守るというのは法治国家ですから当たり前です。これが守れなければ、自治体は国の安全保障に対しての約束ということができないという話になります。いま、裁判で逗子市の正当性をずっと粘り強く訴えていきたいと思っています。
川俣副委員長  横須賀に2008年度から原子力空母を配備する動きが進んでおり、神奈川県内の住民も自治体首長や議会も反対をされています。
長島市長  原子力空母の母港化となれば、池子米軍家族住宅の追加建設問題とも密接し、また直結する可能性が非常に高いということで、逗子市としても危惧をしています。また、横須賀でも45万人以上の署名が集まったと聞いています。座間、相模原の問題もある、地元の自治体の意向が尊重されるようにアメリカに要望したいということで、防衛庁、外務省、それからアメリカ大使館に、強い懸念を要望書というか意見を表明させていただいています。
川俣副委員長  特に、原子力空母ということで、事故による被曝の問題なども危惧されます。
長島市長  本市は、2005年が市政50周年ですが、これを節目に非核平和都市宣言をしています。そういった観点からも、横須賀市の意向がきちんと尊重されるように、政府に対応をお願いしたいと思います。
川俣副委員長  「中間報告」での在日米軍の再編強化に、基地を抱える自治体でこぞって反対の声が上がっています。
長島市長  新聞報道などを通じて把握できる情報を分析しても、世界的に米軍の再編が行われているわけですが、在韓米軍とかが縮小される中で、なぜ日本ばかりが池子の追加建設も含め、強化されなければいけないのか。私自身は、安保に反対をしているわけではありませんが、対テロなど世界の戦争の位置づけが変わっている、そんな中で、なぜ在日米軍が再編強化され、それが神奈川県に集中して強化されるのかということについては、やはり疑念を抱かざるを得ないと思っています。
川俣副委員長  安保条約への態度には、それぞれの首長の考え方がありますが、地元の自治体の意向などが全く無視されて、議論抜きでこれが押しつけられていることに、いろんな方面で怒りを呼んでいます。
長島市長  日米地位協定でも、そもそも遊休化している施設というのは直ちに返還されなければならないと取り決めでなっているわけですね。運用面でも例えば今回、池子の住宅追加建設というのが横浜の4施設の返還とセットで出されているわけです。ところが、これは別に池子の追加建設が条件にならなくても、そもそも遊休化しているわけですから直ちに返還されなければならないわけですね。


憲法9条の理念は絶対に守らなければなりません


川俣副委員長  改憲の動きですが、焦点となっているのが9条2項の問題です。その点で今回の米軍基地の再編強化の動きと、非常に関連を持った動きになっていると思いますが、どうお考えでしょうか。
長島市長  基本的に、私自身、憲法改正自体には反対する立場ではありませんが、ただ、憲法9条の理念というのは世界的に見てもすばらしい、その後の歴史とか世界的な評価を見ていると、その理念は絶対に守らなければならないと思っています。イラク派兵のときも、きちんとした説明責任が果たされない中で派兵をしたということについては、私自身やはり疑問は持っています。戦争というのは本当に非常に難しくて、あってはならない中、過去の歴史を見ても、みんな自衛のための戦争だということで行われているわけですね。そういったことから考えると、間違った形で海外派兵が行われて、戦闘に巻き込まれて、事実上戦争に参画しているというようにならないように、よく議論もして、慎重に判断をしていただきたいと思っています。
川俣副委員長  改憲との関連で地方自治について、自民党の新憲法草案の92条では、「国と地方との役割分担と相互協力」がうたわれています。池子の住宅問題などでは、やはり「公益」という形で押しつけてこられるような方向というのも含まれているように思うのですが。
長島市長  憲法がなぜ大切なのかというのは、それは過去の歴史の中で、国家権力が多くの市民とか国民の人権を侵害してきた歴史があるから、まず人権を守るにはどうしたらいいか。例えば、条例で独自に自治体が「知る権利」と明記してあります。そういった観点から、個人の人権を保障するためには、より明記されなければいけない規定が幾つかあるのだろうと思います。小泉さんは「民間にできることは民間に」と言っていますが、具体的な政策の中身で、本当に税源移譲も含めて、もっと地域が地方自治、住民自治を確立できるような体系に変えていっていただければと思っています。そういった意味では、憲法を改悪することに対して賛成する人はだれもいないわけですから、改悪はしていただきたくないと思いますし、変えるのであれば、やはり市民の権利、国民の権利がより担保されるように、いい形で変えていっていただきたいとは思っています。
川俣副委員長  私たちも、とくに憲法を守り、地方自治を生かすために、今の米軍基地の再編強化の問題については、大いに一致できると思いますので、ぜひ一緒に頑張りたいと思います。お忙しいところどうもありがとうございました。




21世紀の日本の未来がかかったこの1年
自治労連中央執行委員長
駒場 忠親

  2006年の幕が明けました。21世紀の未来を方向付ける1年になるのではないかという想いから、いつになく緊張して新年を迎えたところです。決意の一端を述べます。
  2006年は日本国憲法が公布されてから60年目の節目の年に当たります。最初に申し上げたいのは、あらためて憲法を守り活かすため全力を挙げ奮闘したいということです。
  昨年11月、政権党である自民党が結党50年の党大会で日本を戦争する国に作り変え地方自治を否定する「新憲法草案」を決定し私たちを驚かせました。通常国会には自民、公明、民主の3党によって改憲のための「国民投票法」案が上程されることになっているといわれていますから、2006年は文字どおり「戦争する国」と「平和な国」を巡り岐路に立つ年ということになります。
  緊迫したこの1年、自治労連は、自治体首長をはじめとした地方自治体関係者の間に日本国憲法を「守り活かす」世論を広げるため全力を挙げると同時に、自治労連が日本国憲法で「憲法尊重擁護義務」を課せられ、「全体の奉仕者」としての職務を担うとされた職員を中心に組織した全国産別組織であることから、仕事を通じても日本国憲法を「守り活かす」ことができるよう奮闘する決意です。
  ふたつ目に申し上げたいのは「小さな政府」「自治体構造改革」と対峙し、住民との団結で人権・平和・自治が息づく地域を作るためがんばりたいということです。
  昨年末「行政改革の重要方針」が閣議決定されました。改憲・大増税で「戦争する国」作りへという狙いを背景に、公務員総人件費削減の実行計画や市場化テスト、政府系金融機関の統廃合などを盛り込んだもので、通常国会に提出される「行政改革推進基本法」案の元になると言われるものです。
  一方で「小さな政府」を巡っては、昨年秋から「安心・安全の危機」「格差の拡大」「地域切捨て」といったことから政権与党を支える有力な層から批判の声が起こり始めました。住民に奉仕をする職務を担う仕事の面からも自治労連の出番といえます。自治労連は全労連が設置した「闘争本部」での奮闘とともに「こんな地域と日本をつくりたい・基本目標」を共同の結集軸に大きな役割を発揮する決意です。
  最後に申し上げたいのは本年が戦後労働運動の歴史にとっても節目に当たることから、全国自治体産別組織として、決意を新たに全労連の一翼を担い社会的役割を発揮したいということです。
  戦後労働運動は1946年8月、産別会議(156万人)と総同盟(85万人)という二つのナショナルセンターの発足からスタートしたと言われます。自治体全国産別組織も1946年6月に全公連が、そして11月に都市同盟が生まれています。したがって2006年は、幾多の先人たちがナショナルセンターや全国産別組織を確立し日本の労働運動を本格的にスタートさせてから60年目の節目の年ということになります。
  自治労連はこの1年、戦後の労働運動のスタートや自治労連の結成時に片時も離すまいとした自治体労働者の果たす役割、つまり「自治体当局に雇用されて働く労働者であるとともに住民全体への奉仕と言う特殊性を持つ職務を行う」という見地をかみ締め、歴史の検証に耐えられる新たな歴史をつくるべく前進したいと考えるものです。





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