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自治体の仲間

 

2006年新年号 Vol.386 憲法と自治体特集版


日本の「九条」は世界中の願い
元気ハツラツ
栃木公務公共一般労組の仲間たち

 昨年、侵略戦争を賛美する「歴史教科書をつくる会」の教科書を採択し、一夜にして全国で有名になった栃木県大田原市に国際医療福祉大学があります。大学で英語の教鞭をとっているアメリカ人のケビン・ダブスさん、ジョージ・コータさん、そして中国語の教員だった鄭譚毅(テイ・タンイ)さんは47都道府県の最後に自治労連の旗がたった栃木県の公務公共一般労組の組合員です。今、大学の不当労働行為とたたかっています。教育や平和の想いを熱く語ってくれました。



▲朝市での「考える会」のミニ喫茶コーナーには、待ちかねたように来客が次つぎと
▲ジョージ・コータさん、ケビン・ダブスさん、テイ・タンイさん


地域ぐるみの闘いで
はね返すぞ!差別と解雇

国際医療福祉大学の
不当労働行為と闘い


 大学は一昨年4月、外国人教員の一方的賃金引下げ、短期雇用への変更を押し付けてきました。このため先生たちが労働組合を結成すると、今度は嫌がらせや差別に終始し、テイさんを解雇し、ダブスさん、コータさんを雇い止めにしようとしました。そこで、よりよい大学を作るため、学生・父母・地域のみんなで「大学と地域の連携を考える会」を結成。地方労働委員会でのたたかいがはじまりました。
  アリゾナ州立大学で日本文化を学んだダブスさんは「真実をみつけ、自分のアイデンティティを構築することができるような授業を心がけています。正義を欠く大学のやりかたは、教育を破壊し大学の質を下げることになります」と話してくれました。



国籍・思想信条をこえ
「九条」に感動


▲朝市でニュースを配り訴える

 昨年、テイさんは「那須野が原・九条の会」の結成集会に参加し、戦争を放棄して平和を守ろうという、日本国民のすばらしさに深く感動したそうです。「それは、国籍・思想信条の違いをこえたフィーリングでした。とても貴重な経験でした」とテイさん。
  松本清張の作品の翻訳も手がけるなど日本の文学や歴史にも精通しているテイさんは、「日本と中国の交流は長い歴史を持っています。遣隋使や遣唐使の渡航や源氏物語で書かれているように、文化の共通性が多くあります。しかし、今、アジア諸国と日本の関係は冷え切っています。中国人は日本の憲法を『平和憲法』と理解しています。その思いを逆なでしてほしくありません」とキッパリ。
  ハワイの大学で日本文化はもちろん、日本国憲法を学んできたコータさんは、「日本の憲法は、平和主義や基本的人権など大変すばらしいことが書かれています。しかし、女性差別など各種の差別など守られていません。憲法を変えるより、守り発展させるほうが良いと思います。不動産屋さんをまわったとき、(1)ノー・スモーキング(2)ノー・ペット(3)ノー・ガイジンと書かれてありました。私はペットより下なの?と思いました。まだまだ日本社会が外国人を受け容れていないことは悲しい」と率直に話してくれました。
  地域に根ざしてたたかう3人の生き方は地域との連帯をつくり憲法を守る運動へと大きく発展しています。



昨日をかえりみ、今日を生き、未来に向かって!
改憲・創憲は戦争への道

小川 薫
自治労連青年部長


自治体職員として、住民のためにいい仕事がしたい。憲法改悪はさせません

清水 亜紀
自治労連青年部書記長


保育士をしています。子どもたちの笑顔や希望、未来を曇らせたくありません


 自民党が先の結党50年の大会で「新憲法草案」を決定しました。日本国憲法の平和主義・平和的生存権を放棄し、基本的人権保障を解体して、もっぱら戦争する国づくりと、市場万能・自己責任の「構造改革」をめざそうとしています。しかもそれを地方自治の仕組みを悪用して進めようとしています。憲法を守り、くらしと福祉の向上を任務としている私たち自治体労働者にとっては、特に切実な問題です。ここで、憲法と自治体労働者のつながりを、戦前から振り返ってみましょう。



【戦前】
天皇制国家の絶対的支配下で
大日本帝国憲法
[明示22年2月11日]

▲女子学生も銃を持って行進に

●戦前の天皇制下の自治体は

  明治憲法のもとでは、「自治」なき地方制度、絶対主義的天皇制の統治機構として、道府県は内務省が直接にぎる国の地方行政機関であり、市町村は、道府県のきびしい監督のもとで、兵役、義務教育、徴税その他の行政をすすめていました。そこで働いていた職員は、すべて「天皇の役人」として、中央政府の下働きの役割をになわされていました。

●自治体労働者は

  「天皇の役人」は、国民にたいして特権的にふるまい、官僚機構内部は厳しい身分差別で締め付けられていました。官公吏(いまの国家公務員の上層部は官吏、地方公務員の上層部は公吏と、区別してよんでいた)の賃金は、天皇からの「賜りもの」であったので、民間の労働者より高い賃金(給与)が保障されていたものの、地方行政機関で働いていた多数の官名のない「雇員」「傭人」といわれる身分の低い人たちの賃金はいちじるしく低く、食堂やトイレも差別されていました。







自治体労働組合の結成へ
東京、横浜、大阪、神戸などで
下級公吏が「従業員組合」を結成
▲昭和3年当時の横浜市従の大会風景

 明治期には組織的なたたかいはみられませんでしたが、第1次世界大戦(1914〜19年)直後からの労働運動の波が大きく高まるのに刺激されて、下級官公吏のなかから、自然発生的な「反抗」の動きが生れ、全国各地で待遇改善を要求する怠業やストライキが頻発するようになりました。こうした動きのなかで、東京市をはじめ横浜、大阪などの大都市では、雇員、傭人、人夫など下級公吏が中心となった「従業員組合」が生れました。
  1927年、横浜市従連盟には、1840人の組合員がいました。政府の干渉は厳しく演説ひとつとっても、内容によっては首切り・逮捕の時代でした。







【戦時下】
自治体労働者の業務
赤紙を配った父を思い、同じ轍は踏めない

福島・郡山市職労
坪井賢雄さん



 私の父・坪井末男は、1909年(明治42年)福島県田村市に生まれ、尋常小学校の教員のときに出征し、陸軍13師団の58連隊に所属して中国の侵略戦争に従軍しました。
  戦闘で足を負傷した父は、療養後郡山市役所に入職し、兵事課において、敗戦まで赤紙配布の業務に従事しました。赤紙は郵送ではなく、役場の職員が、本人または本籍地の家族に届け、受領日時を記載させられました。
  私は7年前に父の戦地に赴き、中国人民への謝罪と慰霊の旅を試みました。小泉内閣が、憲法第9条、教育基本法の改悪を企てていることは、断じて許されません。再び父と同じ轍をふまないために、あらゆる立場の市民と改憲阻止にたたかいます。






【戦後】
新憲法の制定と自治体労働者

 新憲法の制定により「すべて公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない」ことが明確に規定され、「天皇の官吏」から、「主権在民」の原理にのっとった、「全体の奉仕者」としての公務員が確立しました。


戦後労働組合の高揚

 労働組合の組織化は短期間のうちに飛躍的に拡大し、1946年には全国で368万人に達し、自治体職場でもぞくぞく労働組合が結成されていきました。こうしたなか東京都庁関係の労働組合(都労連)が1946年6月、「飢餓突破」「職階級による差別待遇の撤廃」を要求してたたかうなど、全国各地でたたかいが沸き起こりました。賃金の要求と同時に基本要求のもう一つは、庁内の民主化でした。



▲戦後公務員労働者のたたかい
▲1946年、新しい日本国憲法が制定され、当時文部省は、新憲法の理念を説いた「あたらしい憲法のはなし」を発行しました



【明日へ】
憲法を守り生かそう

 大江健三郎、奥平康弘、小田実、加藤周一、鶴見俊輔氏ら有識者9人が「日本国憲法を守るという一点で手をつなぎ」、「一人ひとりができる、あらゆる努力を」と呼びかけた「九条の会」は、いまや、全国で3600を超える職場や地域に野火のように広がりを見せています。
  自治労連は、憲法尊重擁護義務を宣誓した公務・公共労働者で組織する労働組合として、現憲法を政治とくらしにいかすことこそが重要であると考えています。改憲を絶対に許さないたたかいを、職場・地域から全力を挙げて進めましょう。



▲改憲を許さない思いがひとつになって自治労連定期大会(05年8月)
▲憲法を守るとりくみを交流(12月)





輝け憲法九条

 自治労連が12月10日、都内で開催した「憲法闘争をすすめる全国交流集会」の記念講演において、九条の会事務局長の小森陽一さんは、憲法闘争における「自治体労働者の役割」を強調しました。その一部を紹介します。

自治体労働者は、胸をはって憲法を守ってほしい

 小森さんは、「行き詰まった国が最後にとる手段は、外側と内側に敵をつくって、その敵に、国民感情をむけさせ、問題をあいまいにし、敵が全部悪いとする、ナチスドイツがとった『沈黙の螺旋』の手法です」と指摘しました。そして「いまの日本は、外側の敵は北朝鮮だと言い続け、公務員を内なる敵に仕立てようとしています。今の財政赤字は、バブルでの不良債権を税金で穴埋めして大銀行を助けたこと、そして最大の原因は、日本がアメリカの赤字国債を買い続けている政府の政策にこそあります。この国を悪くしたのは誰か、財政赤字の責任は誰にあるのか、私たちでは無いことあきらかにしていくことです。そして、これまでの運動をもう一度問い直し、地方公務員として胸を張ってがんばることです。」と激励しました。
  最後に、「みなさんは、憲法第99条に基づいて、憲法擁護の宣誓をしています。みなさんほど、憲法の守り手はいません。国民から信託され、憲法を生活に根付かせることを本気でできるか、改めて、私たち一人ひとりが、主権者であることを問い直して、憲法前文の理念に立った運動をしていきましょう。それが、私たちの憲法闘争です」と結びました。



各地の職場でつくられた「職場九条の会」

大阪府職労
「ほけんしょ九条の会」
滋賀県職
県関係職員でつくる
「九条の会」
名古屋市職労
「けんぷく九条の会」
「神奈川県職員
九条の会」


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