「給与制度の総合的見直し」の地方自治体への強制は許されない

総務省「地方公務員の給与制度の総合的見直しに関する検討会」最終報告書について 

2014年12月25日

日本自治体労働組合総連合

書記長 中川 悟(談話)

 

 総務省の有識者会議である「地方公務員の給与制度の総合的見直しに関する検討会」(以下、「検討会」)が、12月22日に最終報告書(以下、「報告書」)をまとめ公表した。

 「報告書」は、国家公務員に対する「給与制度の総合的見直し」(以下、「見直し」)が盛り込まれた8月の人事院勧告を受けた、「地方公務員の給与制度の総合的見直しに関する基本的方向性」に続くもので、その後の地方人事委員会勧告等を踏まえながら、「見直し」を地方自治体にいっそう強く迫るものとなった。

  自治労連は、全教(全日本教職員組合)と連名で、6月、「検討会」に対し、次の意見表明を行なった。国公・地公を問わず「見直し」を強行することは、地方に働く公務員賃金の引下げに止まらず、地方・地域の民間賃金の抑制につながり、国民多数の願いである景気回復・地域経済活性化に冷や水を浴びせかけるものであるとともに、地域間や世代間の配分の見直しの理由自体が、これまでの公務員賃金決定の原則やルールをことごとくないがしろにするものであって、「見直し」実施は、到底、認められるものではないというものである。

 こうした意見は、「報告書」の資料にも示されているように、「検討会」が行った全国知事会など地方団体等からのヒアリングでも出されており、労使を問わず共通したものである。

 しかしながら、「報告書」は、こうした意見にまともに応えるどころか、これまで総務省が繰り返し述べてきた、地方公務員の「給与制度は国、給与水準は地域」とする一方的な考え方に無批判に追随し、「見直し」を地方に押し付ける口実づくりに手を貸したにすぎない。

  全国知事会など地方三団体は、8月に出された人事院勧告について、「地域経済は予断を許さない状況」としたうえで、「官民を通じて地域間格差が拡大することとなりかねない」との懸念を表明した。今なお日本経済、とりわけ地方経済が、多国籍大企業偏重の歪んだ経済政策のもとで、大変な困難を抱えている中、「公務員賃金が高いのではないか」とする意見のみを口実に強引に進められた「見直し」に対し、地方からの懸念を一顧だにすることなく、有識者で構成された「検討会」が、地方自治体で働く公務員の賃金を論じること自体、無責任で恣意的な制度政策論議と言わざるを得ない。

 公務員の賃金決定原則やルールに関わっては、人事院勧告を受けた地方人事委員会勧告において、「地域民間給与に準拠」するなどの理由から、6府県が「見直し」を見送り、他にも9県が国家公務員とは異なる賃金水準に調整するとした。これに対し、地公法が地方公務員賃金の「均衡の原則」で考慮すべきとしている「生計費」や「民間給与」等の中で、「国家公務員給与」のみを唯一絶対であるかのようにとりあげ、国公準拠を求めるなどは、「霞が関」と地方との格差を2割にまで広げ、生活圏・経済圏など地域の実態とも大きくかけ離れた地域手当支給率の押し付けとともに、「地方公務員の賃下げありき」の、一方的かつ地方の自主的な判断を否定するものとして、絶対に容認することはできない。

  実際に、「見直し」を実施するとの勧告を行った都道府県や、その中の市町村においても、「見直し」に慎重な姿勢を示している自治体が多く存在し、2015年4月からの実施を決めた自治体は、未だわずかにすぎない。

 先に強行された総選挙における低投票率と、大政党有利の民意を歪める小選挙区制をもってしても自民党が議席を減らしたことは、各種世論調査の結果とともに、国民の多くがアベノミクスなる大企業・富裕層本位の経済政策に厳しい批判を示すものであり、地方・地域を本気で励ます施策こそ求められている。

 自治労連は、「すべての労働者の賃上げで景気回復を」を掲げたたかう15国民春闘に勝利するためにも、14春闘から続く「賃上げの流れをここで止めてはならない」との立場で、「見直し」実施阻止、「見直し」を超える実質賃金改善を実現するたたかいを、職場組合員、そして地域の民間の仲間と連帯してたたかうことを表明するものである。

 以上

(地方公務員の給与制度の総合的見直しに関する検討会報告書)

http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01gyosei12_02000054.html